オゾン概説、歴史


オゾンのにおい

オゾンは人間の生活の場でも少量であるが常に我々の身近にあり、それほど特異な物質ではない。木々が生い茂る森の中を歩いているとき、落雷時やコピー機の使用時にもその匂いをかすかに体験することができる。

オゾンは悪者であった。

近年工業化および車社会が進むにつれてオゾンは光化学スモッグの元凶と見なされ有害物とされてきた。また、ゴム製品等を劣化させ亀裂を生じさせる原因ともなっている。

オゾンは紫外線をカット

最近フロンガスによるオゾン層の破壊が地球環境の重要な問題として提起されて以来、オゾンは地表から約25km付近にオゾン層を形成し、太陽からの過剰紫外線の照射を防ぎ、地球上の生物を守る重要な気体であると認識されている。

オゾンの発見と命名

このようにオゾンは常にそば近く存在するが、その本来の性質が理解されるようになったのはそれほど昔のことではない。ノーベル賞を受賞したドイツ人C.F.Schoenbein(当時スイスのバーゼル大学教授)は1840年に発行された著書の中で水の電気分解中に陽極から発生するガスと雷のような放電中に観察されるガスが同一の物質であると言う考えを世界で初めて述べている。Schoenbeinはこの未知のガスをその特徴的な匂いから英語でsmellを表すギリシャ語にちなんで、ozoneと名付けた。彼はオゾンが、雷光、化学反応、および鉛筆状に一点から伸びる光線の束、の三つの方法でオゾンが発生することも示している。1999年は彼の生誕200年を祝う国際会議が催され、スイスでは世界初のオゾンをモチーフにした記念切手が発行された。(彼のノーベル賞は1845年に発明した爆発性のニトロセルロース(後にダイナマイトの発明につながる)の発明によるところが大きいと思う)。

オゾン研究の第一歩

オゾン発見後すぐにこの新物質への関心が高まり研究が始まった。1845年にオゾンが放電の影響により純酸素からも生成されうるという観測から、RiveとMarignacによりオゾンの性質が酸素の同素体として最初に述べられている。1890年にはOhmuellerがオゾンの殺菌効果を発見することにより、オゾンの実用的な使用の可能性が初めて見いだされた。
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