1994年9月8日午後7時3分頃、イリノイ州シカゴ発ピッツバーグ経由ウェストパームビーチ行きのUSエアー427便ボーイング737-3B7(N513AU)が、ピッツバーグ空港への着陸進入時に空港から15Km手前のペンシルベニア州アリクイッパ付近に墜落した。
この事故で運航乗務員2名、客室乗務員3名、乗客127名、計132名全員が死亡した。
本件の事故原因は、NTSBの事故調査においてもなかなか特定されなかった。約8Km前方を飛行していた他機(デルタ航空ボーイング727)のジェットウォッシュの直撃を受けて、機体が反転、バランスを崩したまま制御不能な降下に陥り地面に激突したとの見方が有力になった時期もあったが、過去のインシデント事例などから、次第に方向舵の欠陥が疑われるようになった。1999年3月24日、約4年半に及ぶ事故調査の結果、NTSBは事故の推定原因を方向舵アクチュエーターのサーボバルブのセカンダリスライドが固着することにより作動油が逆流し、パイロットの操作とは逆に方向舵が作動する状況(ラダーリバーサル)の発生により、事故機の方向舵面のムーブメントがブローダウンの限界まで振り切れたことによって航空機の制御が失われたためであるとした。これを受けてFAAは2000年9月、ボーイング社に同型機の方向舵制御システムの設計見直しを指示した。
本件事故原因の解明により、1991年3月3日に発生したユナイテッド航空機事故の原因も8年ぶりに解明されることとなった。
USエアーは本件事故以前5年間で5件の事故に見舞われた。
事故機は1987年に製造された。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デビッド・ゲロー | 「航空事故」(増改訂版) | イカロス出版 | 1997年 | 240頁〜241頁 |
メアリー・スキアヴォ | 「危ない飛行機が今日も飛んでいる(上)」 | 草思社 | 1999年 | 92頁〜95頁 |
マルコム・マクファーソン | 「墜落!の瞬間」 | 青山出版社 | 1999年 | 299頁〜309頁 |
加藤寛一郎 | 「墜落 第三巻 機体異常」 | 講談社 | 2001年 | 156頁〜237頁 |