百瀬川扇状地−扇状地のあらまし

【扇状地とは】
▼山地から流れてきた河川が平野や盆地などの平地に出るところでは、川の流れがゆるくなって山地から運んできた土砂が、出口を頂点として堆積(たいせき)します。特に、土砂が扇(おうぎ)のような形で堆積するので、このような地形を「扇状地(せんじょうち)」とよびます。

▼そして、扇の要にあたる頂点の部分を扇頂(せんちょう)、端の部分を扇端(せんたん)、中央部を扇央(せんおう)といいます。

▼このような地形は、川の流れ(河道、かどう)が何度も変わることによってつくられます。つまり、川は山地から多くの土砂を運んできますが、平地に出ると流れがゆるくなるために土砂がたまってしまいます。そのため、川の流れているところの土地が高くなってしまい、川は周囲のより低いところを選んで流れるようになります。このようなことを何度も繰り返すことによって、山からの出口を頂点に全体に土砂がたまり、扇のような地形がつくられるのです。

▼扇状地を地形図で見ると、同じ高さの点を結んだ等高線(とうこうせん)が扇頂(せんちょう)を中心に同心円を描いています。しかし、細かい地形(微地形、びちけい)を見ると扇にも骨があるように放射線上に起伏(きふく、凸凹のこと)があります。低いところ(凹部)はかつて川が流れていたところ(旧河道、きゅうかどう)の跡です。

【百瀬川の流れ】
百瀬川は、近江盆地北西部の山地に源を発し、西から東(下の地図のX→Y→Z)に流れて琵琶湖に注いでいます。

百瀬川扇状地のあらまし〈地形図1/25000「海津」(平成11年部分修正測量)より〉
▼地図Yを中心にしてXからZまでの長さ約4300mの川の断面図(下)を作成すると、川が山地から平地へ出るYのあたりから川の流れがゆるやかになってくることがわかります。
 地図X(標高254m)−地図Z(同90m)、直線距離4.3km、標高差164m〈高さは水平距離の2倍に強調〉

百瀬川(地図X−Y−Z)の断面図

【百瀬川扇状地とは】
百瀬川扇状地は、滋賀県高島市北部にある百瀬川によって形成された扇状地(上の地図)です。
扇端には、北から順に新保、中庄、大沼、深清水の4つの集落があります。

▼扇頂から扇端までの断面図(下)を作成すると、全体がなだらかな勾配(こうばい)になっていることがわかります。このことは、琵琶湖岸から扇状地を眺めた下の写真からもよくわかります。
 地図A(標高151m)−地図C(同87m)、直線距離約2000m、標高差64m〈高さは水平距離の2倍に強調〉

扇頂(地図A)−扇端(地図C)の断面図

扇頂(地図A)−扇端(地図B)の写真〈地図Dのあたりから北西方向を撮影〉

【土地利用】
扇央は、雑木林(広葉樹が中心で、一部は針葉樹)となっていますが、近年になって広葉樹林の中に永住や別荘のための住宅地となってきました。
 また、南半分の大沼や深清水では、水田果樹園などが広がっています。

扇端には、4つの集落があり、学校や病院、工場、JR駅などもあります。

扇端から琵琶湖岸にかけては、水田が開かれています。また、JR湖西線も通っています。

【アクセス】
▼最寄り駅はJR湖西線近江中庄駅(地図C)、自動車の場合は国道161号線バイパス大沼ランプ(地図E)または沢ランプ(地図F)です。なお、地図では、国道バイパスは地図では未完成ですが、すでに開通しています。


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