百瀬川扇状地−畑作と農具

【畑のようす】
▼写真は、扇端近くにある畑のようすで、耕せば土が地表に出ますが、いったん雨が降れば土は沈んでしまい小石が敷き詰められているようになります。かつての川原を開墾したことは容易に想像できます。

▽オットーも自宅裏の小さな菜園を耕しますが、石を除いてやっと畑らしくなったと喜ぶのも束の間、雨が降ればがっかりです。


畑のようす
▼畑の土には保水性がなく(水はけがよすぎて)、日照りには土が焼けます。作物栽培にあたっての先人の苦労がしのばれます。しかし、昔から果樹やサツマイモなどはたいへんおいしいといわれています。現在は、畑では柿などの果樹や茶が栽培されています。一方、野菜は休耕田などの田に栽培されることが多くなりました。

▽オットーの子どものころ、家で自家用の桃を栽培していました。たいへん甘く、井戸水で冷やして食べるととってもおいしかったのを今でも思い出します。

茶園(扇端近く)
▼石の多い土地を耕作するためには多くの苦労があったはずです。今でも畑の隅(隣りの畑との境)には、石がうず高く積まれています。これは「イシグラ」とよばれ,先人が開墾や農作業をしたときに出てきた大きな石をまとめて捨てたところです。

▽オットーも子どもの頃に、このような作業を手伝ったのを覚えています。

「イシグラ」(扇央)

【農 具】
▼農作業の苦労は、農具からもうかがうことができます。昔から「一里ちがえば鍬(くわ)がちがう」といわれたように土質(重くてかたい土、軽くてやわらかい土など)や傾斜(急なところ、ゆるやかなところ)によって、鍬の形や柄(え)の角度がちがうようです。当地で使う鍬に「トンガ」(唐鍬がなまったものか?)とよぶものがあります。幅が狭くて、先がとがっている分厚いものです。当然、相当重いもので、石の多い畑での農作業の苦労がしのばれます。

▽オットーが近くのホームセンターで手に入れたものは、厚みがないために無理に土を掘り起こすと曲がってしまいます。また、角度がゆるいため作業に疲れるような気がします。

▽屋敷の除草などには、細くとがっていて、分厚い手鍬(てぐわ)の一種で、「セセリ」とよぶものを使います。オットーが、近隣町在住の同僚と話していたときもこの道具の名前が通じなかったほどローカルなものです。

下がトンガ、上はホームセンターで購入したもの


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