店頭で試奏する時のポイントは?
新型コロナウィルス感染拡大予防対策で自主休業していた間に「ご質問箱」と云うページを設置して皆様から頂いたご質問のお答えさせて頂いておりましたが、これを項目別に整理してコラム記事にさせて頂きました Q:ギターを試奏するとき、「ここが大事!」というポイントは何でしょうか?また、岡村さんが試奏するとき、どんなフレーズを弾いていらっしゃいますか?
ぶしつけな質問ですみませんが、よろしくお願い致します。
A:ギターを試奏する時の「ここが大事!」についてですが、あります! すごく大事なんですが、すごく難しい事が! それは「平常心」です!!!! ギター好きの皆さんは楽器店に行くだけで興奮してしまいませんか? まして「よし!今日は買うぞ!」と意気込むだけで興奮レベルが5くらい上がるでしょ? で、実際にギターを手に取った時、更に興奮レベルは5上がってもう判断力はレベルマイナス10! 楽器店で「これめっちゃイイ!」と興奮して買ったギターが家で弾くとそうでも無かったなんて経験したことは無いですか? なので、ギターを試奏する際に一番心掛けるべき事は「平常心」だと思います だけど、興奮するな!なんて難しいですよねぇ、出来ないですよねぇ〜 そこで判断力を出来るだけ正常に保つ方法としては、これはアコギでもエレキでも同じ何ですが、いつも使っているギターを持って行って購入候補と比較しながら試奏する事です これは音の点でもそうですし、弾き易さの点でもそうですが比較対象がある事で判断基準が定まりますので失敗し難くなると思います 例えば購入候補の楽器はいつも使っている楽器の不満点を補えているか?もし補えていないのであれば購入する意味がありません また今使っている楽器とは方向性の違う楽器が欲しい場合はどれくらい方向性の違いを感じるか?あまり感じなけれ購入する意味がありません 失敗したく無いのであればこの様に減点法で比較すれば冷静を保てると思います 更にエレキの場合は出来ればいつも使用しているアンプを持っていく事です エレキの場合、楽器とアンプの相性も重要になります アンプの個性はメーカーや機種により大きく異なりますから、店頭の試奏用アンプといつもお使いのアンプが全く違うタイプであった場合、判断にズレが起きる可能性が大きくなります 普段、アンプシミュレーターでヘッドフォンでしか使用しない方は見得張らずにいつも通りの機材を持って行ってヘッドフォンで試奏するのもアリでしょう 冷静を保てている状態で閃きに近い「ハッ」とするような感覚を感じたのであればそれは買いだと思います 実のところ、私自身20年以上楽器店でギターを購入していません そもそも今持っているギターはエレキが2本にアコギが1本で一番最近買ったギターは10年くらい前に楽器店の下請け修理で入ってきたシグマのOOOタイプで、これは楽器店が下取りで買い取ったギターのネックに問題があったので当店で修理してから店頭販売するつもりだったのを修理が終わりサウンドチェックした時に「ハッ」っとしたので楽器店にお願いしてこちらに売って頂いた経緯があります もちろん価格もお手頃でしたので(^^) これって一般の方には全く当てはまらない状況で全く参考にはならないと思いますが、私はギターやベースに触れるのが仕事で日常です。ちょっとやそっとのギターやベースでは興奮しません モノホンの'59バーストのフレット交換をした時は興奮どころか恐怖しかありませんでした。時価20,000,000円の代物ですから(^_^;) 作業自体はこれの1,000分の1の価格のギターと何ら変わらないし意気込みも同じなんですが万が一盗難されたりしたら家を売る羽目になってしまうので。 ま、保険に加入してから持ち込んで貰いましたがそれでも怖いですよ 無事仕上がってサウンドチェックをした時は安堵したからか冷静にサウンドチェック出来ましたが。 この様に私はギターに対して常に冷静ですし冷静で無いと大事なところを見落としてしまいますので冷静で居るよう心がけていますが本当に稀に数年に一回あるかどうかの確率で「ハッ」とする事があります そう云った理屈や事前知識とはかけ離れた「感動」を感じたらそれは買いだと思います もちろん予算も絶対条件になりますが。 あと弾き易さに関しては割と後からでも何とかなりますので、弾き易いけど音がもう一つと思う楽器と弾き難いけど音はイイ!と思う楽器で迷えば音が好きな方を選ばれた方が失敗し難いと思います ただ、ネックが好みよりも太い場合は削れば細くする事が出来ますが、好みより細い場合は太くする事は出来ませんので注意してください ただし、ネックグリップを細くする事は出来ますが大きく削るとトラスロッドが露出してしまうかも知れませんし、あまりに太さが変わるとネックの振動の仕方が変わり結果、音も変わってしまう可能性がありますので好みより極端に太いと思われた場合は候補から外した方が良いでしょう それから私が試奏する時どんなフレーズを弾いているか?ですが、まず人のフレーズは意味無くて、それこそ「平常」。ご自身が常日頃弾いているフレーズをいつものように弾いてみるのが良いでしょう。その上でいつもより感動を感じられたら買う価値があるかも知れません 普段ハードロックしか演奏しないのに楽器店の店主がブルース推しな雰囲気を醸し出してるんで日和ってブルースフレーズ弾いたりしても意味ないですよ 私が修理前後のサウンドチェックをする時、まず弾くのはオープンコードのEです ウチの常連さんならもうお気づきかも知れませんがこれワンパターンです でも、件のシグマのアコギはこの「E」一発ジャーンで「ハッ」っとしたんですから本当に直感的に感動出来る楽器は「E」一発で感じるもんだと思います それにEには意味がありまして開放弦で入念にチューニングした上でEをジャーンで気持ち悪ければどこかに問題がある事が分かります 続けてG、D(5,6弦はミュートせず)と弾いて気持ち悪かったり、押弦し難い感じがすればナットの弦溝が高い事が予想されますのでナットのチェックをします オープンコードは押弦した弦と開放弦が混ざりますのでナットの弦溝が高いと開放弦と和音にズレが出て気持ち悪い響きになります E、G、Dと弾けば全弦で押弦と開放弦の組み合わせが完結しますので例えばE、G、Dと行ってGだけ気持ち悪ければ6弦の弦溝が高い事が予想されます まぁ購入時の試奏でこれやって気持ち悪かったとしてもナットの弦溝調整で直す事が出来ますけどね。 後は、フレットの状態チェックの意味でペンタトニックの平凡なフレーズですね、演奏はヘタクソなんで(^_^;) 参考にはなりませんね ではまた! |