グィ〜ってゴキッってバチンッ

いやはや不定期にも程がある当コラムですが、なな何と1年半ぶりの更新でございます
お客様からは「コラムの更新楽しみにしてます!」と有難いお言葉をちょくちょく頂くのですが,そうそう面白いネタもありませんし何せ文章を書くのが苦手でなもので避けて通ってきた結果気が付けば1年半経っておりました
やっとこさ重いケツを上げられたんで後2.3回は続けて更新しようと思っています
あくまで「思ってます」ですけど…(^_^;)

で〜本題に入りますが、ウチのお客様であちこちから中古楽器をかき集めて修理・クリーニングしてからリサイクルショップなどに卸している方がいらっしゃるのですが
クリーニングや簡単な修理はご自分でされますが手に負えない状態の物は当店に修理ご依頼下さいます
手に負えないとは言っても大方は良くある不具合なのですが、時々?????となってしまう物もございます
ずいぶん前の事で画像も残していないですが「これブリッジ貼り直して欲しいねん」と持ち込まれたクラシックギターがありました
見るとブリッジが半分剥がれかかっているのですが剥がれ方がかなり汚くいかにも素人が修理したような形跡がありました 
「あ〜元の持ち主がブリッジ剥がれたのを自分で直したんですね」と話しながらもその状態に並々ならぬ違和感を感じました
画像が残っていないのでクラシックタイプのギターの画像を細工して再現してみたのが
下の画像です

これ見て分かります??
パッと見てすぐ分かった方は凄いと思います
(と言うか私がボ〜っとしてるのか?)
何と!サドルがボディエンド側にあるんです!!
多分以前にブリッジ接着不良でブリッジが剥がれててしまったんでしょう
それを元のオーナーが自分で貼り直したんでしょうがブリッジを貼り直す時に上下を間違えて貼り付けてしまったらしいんです
気が付いた瞬間「あ〜っ!!!!」って言って大笑いしたのですが
クラシックタイプのブリッジは完全な長方形で逆さに貼っても元の位置に収まってしまいますからねぇ〜
弦を張る段階になって貼り間違えたのに気が付いて投げ出してしまったんでしょう

と、云う様なトンデモな物が時々あるのですが今回ご依頼頂いたのはピックガードの製作
で、何故ピックガードを作り直す必要があったかというと…

 元のピックガードがこんな事になっていたからです
とりあえずギターにのせてみたところ…

 
この様な有様です
これはもう割れたと言うよりグイ〜っと曲げてゴキッっと折ってバチンッっと引きちぎった様な感じです
一体何があったんでしょう???
普通の人間なら余程の癇癪を起こさない限りこんな事はしないでしょうが,ピックガードがギターに付いたままではこんな事は出来ないのでギターから外してやったらしき行動は癇癪とは繋がらない冷静さと言うか…
想像するにポットとかジャックとかの電気パーツを自分で交換しようとピックガードを外したは良いが手に負えない事に気が付き 自分の不甲斐無さにキィー!!!!!っとなって起こしてしまった行動では無いでしょうか?
想像は尽きませんが、はてさてどう作り直すか…
ピックガードを作り直す時は通常 元のピックガードを「型」にしてそれをなぞる様に削り出して製作するのですがこれは引きちぎった時にプラスティックが延びて変形し形を成していません
「工賃は高くなりますけどこれは元の型から作り直さないとなぁ…」とお客さんと話していてふと気が付きました
変形した部分を切り取ってから組合せば「型」に出来る!
という事で普通のピックガード作り直し工賃にちょっとプラスの工賃でお受けしました
具体的にどうやるかも言いますと、こんな感じ↓

 
まず 曲がった部分を切り取ってギターに取り付けます

切り取った部分を繋ぐようにピックガード表面に何らかの板を両面テープで貼り付けます
今回はピックガード板の端材を貼り付けました
ピックガードの製作で出た端材はこう云う時に役立つのでストックしています
 
 
 ギターから取り外し裏側に別の板を貼り付けます
はじめの白い板は両面テープで貼りましたが今回は瞬間接着剤でしっかり貼り付けます

 
接着剤が乾いたら表にして白い方の板を剥がします

 
裏側に貼り付けた板は予め元のピックガードの外周線に合わせて貼り付けていますが
画像右側の先端部分は少し曲線になっていますのでこの後 元のピックガードに合わせて削ります
で、これを型にして新たにピックガードを製作するわけですがその削り出しにはこんな道具を使います↓

 
 コロ付きビットと言われる刃物です
これをトリマーと言う機械に取り付けて高速回転させて使用するのですが
上についているベアリングが「型」にした元のピックガードをなぞり下の刃がベアリングと同じ直径で板材を削っていく仕組みになっていてこれによって全く同じ形をコピーする事が出来るんです
左側の傘状のコロ付きビットは3ピースのピックガード材などで外周の面を取る時に使用します

 
これはその作業をするための台です
左からジグソー、面取り用トリマー、外周用トリマーと工具を逆さまに取り付けています
これを使って↓の様に作業する訳です

 
「型」をピックガード素材の角板に両面テープで貼りつけてバンドソーやジグソーを使って「型」に合わせておおまかに切り出してからコロ付きビットを使って綺麗に形を合わせて行きます
上画像は外周を削っている所ですがこの後 横の面取り用トリマーに移って面取りをします

 
出来上がりはこうなりました
アッセンブリの取り付けはお客様が自分でやられますんで私のお仕事はココまで 

今回のように簡単な所は自分で出来るので難しい所だけ施工して欲しいと云った様なご依頼も承ります
お気軽にお問い合わせ下さい


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