食べる立場からの魚の歳時記「夏」


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かます・あなご
たこ・海藻類
さざえ・するめいか
たちうお・いさき・
すずき(せいご)
とびうお・あゆ
あじ・うなぎ・鯉
しじみ・はも
湯引きハモ






「するめいか」は、五月頃から稚魚が出回る。しかし、ここ数年、水温の関係か、予定どうりに出てこないこともある。
九州、山陰、北陸、東北と北上し、七月いっぱいは青森からの入荷が中心になる。(青森・小泊港が「するめいか」の一大基地)
「するめいか」は、料理用とが多彩で、多獲性大衆魚として消費者に人気がある。なお、北の方では「するめいか」をお造りにすることが多いが、南の方では、お造りには「やりいか」が主体で、「するめいか」はあまりしない。(身が少し黄色いのが欠点?)

「あゆ」は、出回りがだんだん早くなってきた。以前に書いた文書を見てみると「4月から出回る」と書いているが、このごろは3月から出回っている。
これは量販店関係が「旬の先取り」とかで、「夏の魚」でいいものを「春の魚」にしてしまったからで、3月に売場に出しても実際は売れない。
「アユ」が本格的に売れるのは、6月1日以降。やっぱり、新聞やテレビで「アユ漁解禁」のニュースが出てからである。
産地は、鹿児島、徳島、静岡、和歌山、滋賀など。生産量は、徳島が一番多いという。稚魚の死亡率が高く、今年も不足気味で高値傾向。

「ウナギ」は、5月の連休が一つのピークで、ここで売れなかったら、相場は不透明感を増す。今年は天候が不順であまり売れなかったようで、5月連休以降、相場は低迷しだした。フランス物が中心になっていた関係もあり、各インポーター筋でも、在庫の読み間違いがかなりあったようで、6月〜7月はじめと相場は「暴落」していく。最終的には、サイズによって「10kg」で10000円を切る物も出たようで、出血したところが多かった。
土用の丑は、幸いにして雨が降らず、なんとか売れたようである。食べる側として覚えておいて欲しいのは「ウナギの旬」は決して夏ではなく、11月以降であるということである。冬に、たくさんウナギを食べよう。(それも「活鰻蒲焼」を食べよう。)

「土用しじみ」と言って、7月中旬にシジミを食べる風習があるが、実際にシジミがうまいのは、やっぱり「寒シジミ」の時期である。

「ハモ」「湯引きハモ」は、夏場の人気商品、特に祇園祭前後に良く食べる。その変わり、値段も高くなる。「ハモ」には、ランクがあるので注意。
「活ハモ」「国内産のハモ」「中国産の活け締めハモ(冷凍)」「中国産の野締めハモ(冷凍)」など。左側から順に美味しいが、値段も比例する。

「あなご」は、瀬戸内が本場なのだが、あまり獲れない。(兵庫の垂水あたりで夏に夜釣りをすれば、小さなアナゴが釣れるから、いなくなったわけではない。)大衆的な価格でスーパーの売り場に出ているのは、ほとんどが「韓国・中国」産である。蒲焼きがうまい。

「たちうお」は、瀬戸内ものが多い。しかし、今年はあまり獲れていない。八幡浜でも、トロールものが大漁に水揚げされるが、これも少ない。
塩焼きにしてレモンをかけて食べると美味い。大きなサイズで鮮度の良いのは刺身にすると良いが、かなり良い値がついている。高級魚である。

「すずき」は、出世魚で、小さなほうから「コッパ」「セイゴ」「フッコ」「スズキ」「トド」と呼ぶが、京都の市場では40センチくらいで、「スズキ」と「セイゴ」に分けているようで、それ以外の呼び方はしない。大阪湾ものと瀬戸内ものが中心で、大阪湾ものは一時「異臭」がして人気がなかった。
最近は、養殖のスズキがたくさん出回っており、価格が安定している。養殖のスズキは中国のタネを使っており、体側に顕著な「黒点」があり、「星スズキ」と呼ばれている。四国の養殖場の近辺などでは「星スズキ」が野生化しているという。(八幡浜の大星水産常務からの情報)

本来、今の時期(8月5日)位には、「ツバス」が大量に漁獲されるのだが、今年はほとんど見かけない。いっぽう、6月頃から、日本海方面の各地で「平政」が獲れている。「平政」はもともと南方系の魚で、南に行くほど大型がいる。引きが強いので釣りの対象魚として人気がある。刺身でうまい。

「モズク」は沖縄産の養殖物が中心。天然物もあるが値段が倍以上する。「O-157に有効」との情報で、画期的に利用が伸びている食品。

「サザエ」は最近「韓国産」が多い。鮮度の良いのは刺身にできるが、鮮度判断がむずかしく、死んだサザエでの苦情がけっこうある。
                      1997年6月記

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