食べる立場からの魚の歳時記「秋」

メール     ホーム    お魚情報館

さんま 秋の魚と言えば、なんと言っても「サンマ」でしょう。
サンマは「秋刀魚」とも書きますし、文字通り、秋にでてくる刀の格好をした魚です。
今年は、今日(2000年7月11日)、築地に「初お目見え」しました。(10日らしいです。)
秋の魚といいつつ、実際は「盛夏」になるまえに、もう新物が出まわるのです。
ちなみに、今日の築地の相場は、kg10000円、1尾 2000円だったようです。
ご祝儀相場とは言いながらも、ちょっと高すぎますね。(脂ものってないですよ。)

美味しいのは、盆をすぎてからのものですから、「新物」「初入荷」という言葉に踊らされて、
高いものを買うのはやめておきましょう。
秋刀魚はやっぱり「塩焼き」がうまいですが、刺身でもいける鮮度のものが入荷しますので、
刺身にもチャレンジして下さい。(アニサキスには気をつけましょう。)

2000年7月15日下期分加筆
  • 14日の朝、京都の市場で、仲卸の大衆魚担当者に「新秋刀魚はいつから入るねん。」と尋ねました。
  • そしたら、「荷受けは、8月10日頃から入れる見たいですよ。」とのこと。
  • これで、きれてしまいました。(以下、京都弁丸出しです。(^_^;)
  • 「なんでやねん。和歌山でも、もう新物が入ってるねんで。京都はなんで入れへんねん。」←私
  • 「入れても、売れへん。と荷受けは言うてます。」 ← 仲卸さん
  • 「5匹ずつでも出したらええやろ。」←私
  • 「まだ、小さいし・・・・ようないです。40尾とか、そんなんで高いし・・・・」 ← 仲卸さん
こんなやりとりで、キレてしまった私は、あとで大阪北部の仲卸に電話して確認しました。
やっぱり、まだ、小さくて高い、美味しくないとのこと。
それでも、「新物やから、ちょっとでも入れるべきです。」というのが大阪北部の姿勢。
「いつでも、持っていきますよ。電話して下さい。」との事。
この辺が、京都と大阪北部の違いで、だから京都は攻められるのですよね。
京都の市場の展望は・・・・・・くらいなあ(^_^;)

うーーんと・・・・・ でも、やっぱり、秋刀魚がほんとに美味しくなるのは、盆以後。値段も味も落ち着いてくるのは、
9月に入ってからでしょう。(新秋刀魚が高い時期には、解凍のヒネ秋刀魚のほうがうまいかもしれない。)
秋鮭(白鮭)

いくら
秋鮭も、もうすぐでてきます。(盆前後くらいにでます。)
お店で売る順番としては、「土用の丑」が終わっても、まだまだ暑い日が続きますので、
ウナギは売れます。
しかし、盆頃になると、朝夕が涼しくなりますので、上手に「ウナギから秋刀魚」に、
おすすめ品を切り替えていきます。
そして、秋刀魚を売りながら、盆過ぎから徐々に秋鮭の売り場を広げます。
秋鮭は淡泊な魚で、アトランティックサーモンなどのように脂がのっていません。
したがって、サーモンと同じような料理法を提案するのは間違いです。
ソースやタレで、濃いめの味をつけて食べるのが正解でしょう。
ここ数年で、「ちゃんちゃん焼き」は、だいたい定着したと思います。
昨年あたりから、「マヨネーズ焼き」という提案もされていますが、これはまだ消費者に浸透
していないので、今年はこの料理法を中心におすすめしてください。
鍋物にも入れるのですが、はっきり言って、美味しいものではありません。
いくらは、輸入物もありますが、本命は9月〜10月に漁獲された秋鮭の卵巣が最高級と
言われます。(標津で漁獲されるの鮭の卵が、一番評価が高いようです。)
だいたい、味と価格は比例しているので、あまり安いものは買わないようにしましょう。
真さば サバは、一年中、出まわっており、7月の盛夏でも、サバはよく売れます。
ただし、この時期に美味しいのはゴマサバのほうです。
数年前に「品名表示ガイドライン」というのが出されて、「真サバ」と「ゴマサバ」を、きちんと
分けて表示しなければいけなくなったのですが、諸般の事情で、やれてない店が多いです。
「真サバ」が美味しくなるのは、9月に入ってからでしょう。
ですから、脂ののった秋刀魚を堪能してから、ゆっくりサバに移れば良いわけです。
11月後半になると、鍋物が恋しくなりますから、サバは9月から11月中旬までと考えれば
いいと思います。
するめいか 肉の厚い「秋するめ」が出まわります。
夏場のスルメイカは、「アニサキス」や「ニベリニアの幼生」などの寄生虫が多いですが、
秋になるとおさまってきますので、刺身・焼き物・煮物に、するめいかをどんどん食べましょう。
秋が深まると、海があれる日もあり、そうなると相場の上下が激しくなります。
ぶり 最近、ブリは「年中商材」になっており、いつでも量販店の売り場にはおいてあります。
しかし、実際に売れるのは、秋になってからです。
ブリは、「焼き物」「鍋物」「刺身」が定番ですが、大きめに切っての「ステーキ」、皮をはずし、
少し薄めに切っての「てんぷら」、また、もっと薄く切って「しゃぶしゃぶ」なども美味しいです。
新しい食べ方を提案していかなければ、ブリの需要拡大は望めないと思います。
2000年7月記

お魚情報館

Copyright(C) july 11,2000 by Toshio Yabe. All rights reserved