プラスチック(ポリ塩化ビニル)管の加工
 
ねらい
 熱可塑性プラスチックは、加熱することで曲げたり引き延ばしたり接続したりできる。ポリ塩化ビニル管を使って加工してみよう。
 
準備と留意点
器具:ガスバーナー、糸のこ切り
材料:硬質のポリ塩化ビニル管(厚さ2mm,30cm×3本)
・ポリ塩化ビニルの熱変形温度は、57〜82℃である。
・加熱の時、ガスバーナーの炎は弱火にする。炎の先端から2〜3cm上のあたりで管を回転させながら、おだやかに加熱する。
・炎に触れるとこげて臭いにおいがする。
・ガラス細工などとおなじで何度かやってみて加熱時間や力のいれ具合を感覚で会得するとうまく行くようになる。
・成形した後、冷えて固まるまでそのままの形を保持しておく必要がある。手を離すと元の形に戻ろうとする。
・アクリル樹脂パイプでもできる。アクリル樹脂は、加熱しすぎると樹脂内に気泡を生じる。メタクリル樹脂の熱変形温度は、74〜107℃であり、熱湯をかけても少ししか曲がらない。
・アクリル樹脂パイプ、外径10mm×内径7mm×500mmで、900円程度。
 
操作と留意点
@丸く曲げる
広い範囲(15cmくらい)を管を回しながら加熱し、軟らかくなってきたら火から離す。ゆっくり曲げ、冷まして硬化するのを待つ。
・加熱が足りないときれいに曲がらず。へこんでしまう。
・加熱し軟化するとパイプがやや膨らんでくる。
・やかんでお湯を沸かし、注ぎ口から出てくる蒸気で加熱するか、曲げたいところに熱湯をかけて軟化させてもよい。
A直角に曲げる
2〜3cmの範囲を管を回しながら加熱し、軟化したら炎から離す。ゆっくり曲げ、冷えて硬化するのを待つ。
Bノズルをつくってみる
5cm程度の範囲を回しながら十分加熱し、軟らかくなったら炎から離す。まっすぐに引き延ばす。中央が2mm位になったら引くのをやめて硬化するのを待つ。
適当な太さの個所をはさみで切る。
・曲げるときよりも、もっと軟化していないと引っ張ったときちぎれてしまう。
 
発展実験
ポリ塩化ビニル板(20cm×10cm程度)の加工
@丸く曲げてみる
 10cmくらいの範囲を前後左右に動かしながら、均一に加熱する。
 軟らかくなったら炎から離し、ゆっくり曲げて冷ます。
 
A直角に曲げてみる
 前後に動かしながら線上に加熱する。軟らかくなったら炎から離し、曲げて固まるまで待つ。
・アクリル樹脂用の加熱工作器(プラスチック折曲器)を使ってもよい。温度調節ができるし、角が鋭角に曲がる。
 
■参考文献
・長倉三郎・高田一美監修,「新訂図解実験観察大辞典」,東京書籍(1992),pp.423〜429,宮川保之,”付録2 プラスチックの加工・接着”,ポリエチレン容器・アクリル樹脂板の加工について書かれている。
 
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