家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん10月号(2023年10月1日発行)は

長年、卓球選手として活躍された石川佳純さんの引退会見が、5月18日に開かれました。石川さんは、19歳の時、チーム最年少でロンドンオリンピックに出場し、女子団体・銀メダル、23歳の時、リオオリンピックで女子団体・銅メダル、28歳の時、後輩と挑んだ東京オリンピックで、女子団体・銀メダルと、3大会連続でメダルを獲得されました。
引退会見で、石川さんの先輩にあたる平野早矢香さんからの質問がありました。
平野「(リオから東京までの)5年間を振り返って、今、どのように感じられていますか?」
石川「何事も追い抜く時は、すごく楽しいんですけど、追い抜かれる時は、苦しいものもあって、(中略)その5年間が自分自身を選手としても人としても大きく成長させていただいた貴重な時間だったなっていう風に思っています」
追い抜く時に成長していることは当然ですが、実は、追い抜かれる時の生き方にこそ、人間は成長させてもらえるのだと気づかされる瞬間でした。

NEWS23(2023年7月24日)というニュース番組の中で、バドミントン混合の渡辺・東野ペアについて、「武器は最強の絆=vというタイトルをつけて、取り上げていました。スポーツキャスターの高橋尚子さんは、「二人が大切にしているのは、お互いに弱みを見せること。体調が悪いとか、プレッシャーがかかっているっていうのを伝えることで、信頼関係やプレーに繋がっているそうなんですね」とコメントされていました。
それを聞いて、「弱みを見せることで信頼関係に繋がる」とも言えますが、「弱みを見せても受け止めてもらえる、という信頼関係があるから、弱みを見せることができる」とも言えるのではないかとも思いました。弱みを見せても、受け止めてもらえなければ、そこに信頼関係は生まれません。どちらが先とは言えないかもしれませんが「受け止めてもらえる」ということが根底にあると感じました。

2023年7月24日の『朝日新聞(夕刊)』に、「連れて帰ったボロボロのウルトラマン」というタイトルで、しろつさん(46)と息子はるた君(5)の事が載っていました。
「リサイクルショップで塗装のはがれたソフトビニール製のウルトラマン人形(税込み200円)。その人形をみて『連れて帰りたい』と話すはるた君に、しろつさんは『ボロボロだけどいいの?』と尋ねます。返ってきた言葉は『たくさん戦って、みんなを守ってケガだらけなんだよ』。家に連れて帰ったはるた君は、ウルトラマンに絆創膏を貼り、一緒に寝た」
この記事を読んで、このような「子どもの頃のやさしい気持ちを忘れないでいてほしい」と思うと同時に、「私の子どもの頃はどうだったのだろう、そして、今は、どうだろう」と、ふと考えさせられました。
(小池秀章)

育心

今だからわかる親心    超勝寺住職/大來尚順

今月の『育心』は、大來尚順先生のご執筆です。
先日ある研修会で、「お父さん」は最初から「お父さん」ではなく、我が子が生まれて初めて「お父さん」にならせていただくのです。というお話を聞かせていただきました。
ですから、「お父さん」と「子ども」の年齢は同い年。子どもが生まれた瞬間から一緒に「お父さん」としての経験を積み重ね、成長していくということですね。最初から完璧な「お父さん」は存在しないということです。
大來先生は、「お父さん」になられて初めて感じられた娘さんへの思いを通して、ご自分のご両親のお気持ちに気づき、娘さんとの時間をより大切にされ、そして、仏さまの「大悲」(はたらき)を味わわれています。
ご両親ともに就労されているご家庭は、自宅と職場、園を行ったり来たりの忙しい毎日で、なかなかゆったりとお子さんとふれ合う時間が取れないことでしょう。
そんな時でも、ほんのひと時、仏さまの「はたらき」を感じ、我が子との何気ない日常の瞬間を大切にしながら、親も子も共に成長していけたら、幸せだなと感じました。

鈴木翼のかんたんふれあい遊び手遊び歌

♪タオルくんがやってきて♪    あそび歌作家/鈴木翼

2ページ目は、鈴木翼先生の『かんたんふれあい遊び』です。
今回は『♪タオルくんがやってきて♪』の、タオルを使った手遊び歌です。
先日、3歳児クラスのT先生が、私の園に学びに来ている実習生に、こんな話をしているのが聞こえてきました。
T先生「バタバタした一日で大変だったでしょう?私も毎日全員の子どもと、たとえひと言でも話しをすることを目標にしてるのよ」
その日の実習生の目標は「クラスの子どもたちと親しくなる」だったようです。
子どもと親しくなるのは、自らのこころをオープンにして、こちらから関わっていくことが早道です。
そんな時にぴったりの『♪タオルくんがやってきて♪』の手遊び歌です。
QRコードから、YouTubeで動画を見ながら、まずはチャレンジしてみてください。
子どもたちの楽しい笑い声が聞こえてきそうですね。

私の雑記帖

人を傷つけてしまうこともある   
浄土真宗本願寺派 圓満山 本光寺衆徒・(一社)えんまん 代表理事・浄土真宗本願寺派布教使/八幡 真衣

今月の『私の雑記帖』は、八幡真衣さんの『テンプル食堂』(地域こども食堂)の活動を通してのお話です。
八幡さんは、生きづらさや悲しい気持ちを抱える人たちと一緒に、時間を共有していける居場所づくりに取り組まれていますが、あるひとり親家庭の母娘さんとの出来事を通して、「時にはその活動が、人を傷つけてしまうこともある」ということを学ばれました。
自分だけの見え方や考え方のみではなく、様々な人達の感じ方や見え方を柔軟に受け止めながら活動を続けておられ、とても素晴らしいなと感じました。
貴重な原稿をありがとうございました。

お話の時間 つきみとほし23

言葉をこえて おともだち   文・絵/三浦明利

今月の『お話の時間』は、外国のお客さんと、お互いの言葉はわからなくても、音楽の力でこころが通じ合った、つきみちゃんとほしくんのお話です。

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風が少し涼しくなって、トンボたちが空を泳いでいます。
(鎌田 惠)

令和5年9月15日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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