家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん9月号(2023年9月1日発行)は

「人生は邂逅と別離の繰り返し」。以前、教えていただいた言葉です。「邂逅」とは「思いがけない出あい」のことで、「別離」は「別れ」を意味する言葉です。出あいなき人生、別れなき人生がないように、私たちの人生は思いがけない出あいと別れを繰り返しながら、ここまで歩んできました。そして出あった者とは必ず別れていかねばならないように、「出あい」と「別れ」は決して切り離すことのできないものでもあります。

もしかすると世間では、「出あい」にこそ意味があって大切な縁とされ、「別れ」は悲しみだけの縁であると受け止められ、敬遠されるものかもしれません。けれど思うのです。もしその方との「出あい」が大切なのであれば、「別れ」もまた、決して悲しみだけでは終わらせてはいけない大切な縁として、受け止めていかねばならないのではないかと。

私たちは忘れがたい方との別れを通して、様々な仏事や法事のご縁をいただきます。この仏事・法事のご縁は、亡き方を偲んでいくとても大切な時間です。「偲」という漢字は、「人を思う」と書いて「偲」となっています。個人的な味わいですが、「偲ぶ」という言葉は先立って往かれた方々に思いを馳せながら、その方からいただいたご恩に心を向けていく、そんな在り方を私に教えてくれている言葉だと受け止めています。
そして亡き方を思うことは、お浄土へ先立って往かれたあの方が、いま私に何を思い、何を願ってくださっているのか、そのことを訪ねていく場でもあると思うのです。

以前、仏事や法事のご縁は、亡き方からの「遺産相続」の場であると教えていただいたことがあります。世間では「遺産」と聞けば、「お金」や「土地」などを連想されることが多いかもしれませんが、亡き方が残していかれたものは、そういったものだけではなく、私たちに仏縁としての様々な場を残してくださっているといわれるのです。
そもそも仏事や法事の言葉には、「仏」・「法」という漢字が入っているように、「仏法と出遇う行事」であることを教えています。私自身が仏前に身を置き、仏法を聞かせていただく。実はそのような仏縁としての場を賜っていくのが、仏事や法事に他なりません。亡き方を偲んでいくことが、私自身が仏法と出遇わせていただく尊い仏縁であったと気づかされていく時、そのご縁一つひとつが、亡き方からの願いである「南無(まかせよ)阿弥陀仏(われに)」をわが身に聞かせていただく、大切な「遺産相続」の場となっていくものと受け止めています。
(赤井智顕)

育心

無限のはたらき    京都女子大学名誉教授/森田眞円

今月の『育心』は、森田眞円先生のご執筆です。私は、二上山を臨んだことがありませんでしたので、インターネットで検索をして、画像で拝見いたしました。
青空に緑の美しい二上山が池に映った画像を見つけました。実際にその場に立って、風や緑の香りを感じながら臨むと、さぞ美しい風景だろうと思いました。
お話の中で「目の前のことに集中するあまり、私を包む大きなるもの「無限のはたらき」に鈍感になってきているのでは?」と先生が問うてくださっています。
あれやこれやと日々の生活に追われる日常の中でも、ふと、手を止めて自分を顧みる瞬間に、「大きなる無限のはたらき」が、変わらずいつもそこにあるということに、気づかせていただけるのですね。
「み仏さま、いつでもどこでも そばにいてくださって ありがとうございます」
これは「幼児のおつとめ」(本願寺保育連盟)の奉讃文の一節です。
子ども達とともに手を合わせる日々の折々に、私たち一人ひとりに、いつでもどこでも願いをかけてくださる、阿弥陀さまのお慈悲のこころを感じさせていただきます。

子育ちフォーラム

オムツはずしにちょっとひと息   
ホッとハウスinおおの代表/梅林厚子

2ページ目は、梅林厚子先生の「子育ちフォーラム」です。お子さんのオムツはずしに悩むお母さん、お父さんへの、大変心強い、そして温かいエールをいただきました。
折しも「ないおん(9月号)」の編集をしている最中、お子さんのオムツはずしに悩むお母さんから相談を受けました。
「同じクラスのけんちゃんは、とっくにオムツがとれているのに、うちの子はまだとれません。私の育て方が悪いのでしょうか?」と、目にいっぱい涙をためてお話しされました。
お子さんをこころから大切に思い、子育てに一生懸命向き合っておられるからこその涙だと、深く感じました。
「オムツはずしにルールはありません……」という梅林先生のおことばを伝えさせていただきました。
すこしホッとされたのか、笑顔で帰って行かれるお母さんの、お子さんへの慈愛に満ちた後姿に、敬意の思いでいっぱいになりました。

私の雑記帖

インプロ(即興演劇)が教えてくれる「いま、関わり合いながら生きる」ということ   
九州短期大学幼児教育学科准教授 子どもと遊びとインプロ&.mosaiques代表/吉ノ佳代子

今月の『私の雑記帖』は、吉ノ佳代子さんが、インプロ(即興演劇)ついてご執筆くださいました。
インプロ(即興演劇)は、特別な人が特別な場所で行うものだと勝手に認識していましたが、私達は「たくさんの「私」を活かしながら、他者と関わり合い、台本の無い人生を即興的に生きているのです」と伺い、インプロが一気に身近なものに感じられました。
そして、子ども達の創造的な未来のために「みたて遊び・ごっこ遊び」を楽しめる環境を、工夫していきたいと思いました。
貴重な原稿をありがとうございました。

お話の時間 つきみとほし22

ドキドキ運動会   文・絵/三浦明利

今月の『お話の時間』は、「ドキドキ運動会」です。あきらめないで、精いっぱい走り切ったほしくんへの、みんなの声援が嬉しい運動会です。

line

残暑厳しき折、どうぞお元気でお過ごしください。
(鎌田 惠)

令和5年8月17日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

目 次