家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

季刊ないおん冬特別号(2021年1月1日発行)は

新聞の投書に、『チョコレートを買って、お金を払うと、レジの女性が私の顔をじっと見て「このままの私でいいですか?」とおっしゃる。「ありのままのあなたでいいですよ」と私が言うのも変。もう一度聞いて「このままの渡しでいいですか?」だったと分かった。(レジ袋有料になってたんだ)』(2020年10月31日『朝日新聞(いわせてもらお)』)とありました。何か、考えさせられる内容でした。

妙好人として有名な浅原才市さんの言葉に、

かぜをひけば せきがでる
さいちが ごほうぎのかぜをひいた
ねんぶつのせきが でる でる」

というものがあります。
新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)が発生したというニュースを聞いて、新型コロナウイルス感染防止に努めなければと思うと同時に、御法義のかぜのクラスターが各お寺で発生し、お念仏のせきをする人が、あちこち歩いていたら、どんなにすばらしいことだろうという思いが湧いてきました。

先日、テレビを見ていると、「お父さんパンダと、お母さんパンダの間に、赤ちゃんパンダが生まれました」というニュースが流れてきました。私の中で、その台詞が引っかかりました。何に引っかかったかというと、「お父さんパンダ」と「お母さんパンダ」がいるのではなく、赤ちゃんパンダが生まれたから、「お父さんパンダ」と「お母さんパンダ」になったのに、赤ちゃんパンダが生まれる前に、「お父さんパンダ」と「お母さんパンダ」と呼んでいる所です。
おめでたいニュースに、ケチをつけるわけではありません。「お父さんパンダとお母さんパンダの間に、赤ちゃんパンダが生まれた」でいいのですが、ふと、子どもが生まれたお蔭で、親にならせてもらったんだなあと感じた出来事でした。

世の中では、「鬼滅の刃」の映画が流行っているそうですが、「スタンドバイミー ドラえもん2」の映画も公開されています。それを記念して、先日、前編をテレビで放映していました。
この映画が公開された時、家族で見に行って感動した記憶がありますが、今回も改めて感動しました。中でも、しずかちゃんの結婚前夜の、お父さんの台詞です。のび太君とうまくやっていけるか不安だというしずかちゃんに対して、「やれるとも。のび太くんを信じなさい。のび太くんを選んだ君の判断は正しかったと思うよ。あの青年は決して目立ったとりえがあるわけじゃない。しかし、人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことが出来る。それが人間にとって一番大事なことなんだからね」と語るのです。
『人の幸せを願い、人の不幸を悲しむ事が出来る』それは、まさに仏さまのこころです。
ドラえもんの番組を見ながら、仏さまのこころに思いをはせたひと時でした。
(小池秀章)

寺院版

巻頭エッセイ

一枚の年賀状   教恩寺住職 シンガーソングライター/やなせ なな

冬号巻頭エッセイは、やなせななさんが、「一枚の年賀状」にまつわるエピソードを、あたたかなお味わいとともに、ご紹介してくださいました。
お正月だからといって、「おめでとう」のお祝いばかりではない。さみしい気持ちや悲しい気持ちを抱えて迎えるお正月もある。でもそんなときでも、み仏さまのお顔は光り輝き、わたしたちを照らしてくださっている。そんなことを感じながら、ありがたく拝読させていただきました。

声に聞く

「いくつになるぞ」   龍谷大学非常勤講師 善教寺副住職/赤井智顕

『声に聞く』は、「いくつになるぞ」と題して、赤井智顕先生のご寄稿です。
赤井先生は「蓮如上人と勧修寺村の道徳との有名な話」を引用しながら「限りあるこの人生のなかで、本当に大切にすべきものは一体何であるのか」を、蓮如上人が道徳に伝えられたように、わたしたちにも伝えてくださいました。
蓮如上人が生きておられた時代は、死や病い、災害などに絶えず直面しなければならず、お正月を迎えて年を一つ重ねることは、今、わたしたちが感じるものより、もっと「有り難い(有ることが難い)」ことだったのではないかと想像します。
けれどわたしたちも、コロナ禍を経験するなかで、物質的に豊かな「長寿社会」にもかかわらずそれを支えるものがいかに脆いかということに、やっと気づかせていただいたのではないでしょうか。
「聞くべきもの、遇うべきものを大切にさせていただく」そんな年になるように努めていきたいと思います。

ビハーラのこころ

第四回   藍野大学短期大学部学長/佐々木恵雲

『ビハーラのこころ』は、佐々木恵雲先生の連載です。佐々木先生は「大切な人を失った深い悲しみに苦しむ人たちに私たちはどう接すれば良いのでしょうか」と、問いかけてくださいました。
第一に「傾聴」。
第二に「自分の思想、信条、信仰にとらわれるのではなく、今まさに亡き人との関わりの中で悩み・苦しむ人々が多くいることを直視し、その現実から出発すべきでしょう」と、佐々木先生は述べられます。
ともすると、わたしたちは、その人のためだと思って、その人のことを思うあまり、自分の思いを押しつけてしまうことがあるのではないか、そんなことを感じさせていただきました。

てらんち

冬は温かいものを   食文化・食育料理研究家/坂本佳奈

『てらんち・冬』は、坂本佳奈さんが「スナック・スープ」を紹介してくださいました。おやつに温かいスープというのは、とてもヘルシーです。寒い日に家に帰ると、温かなスープが待っている。そんなうれしいことはありませんね。
「おいしく作るコツは、にんじんをたっぷり入れ、あとの野菜はどんな野菜でもOK。その日の気分で選びます」とあります。いろんな野菜を試してみるのも楽しいかもしれません。

仏教絵童話

元旦会   文・なかがわあきら/絵・みよこみよこ

冬号の『仏教絵童話』は、「元旦会」のお話を、なかがわあきらさんとみよこみよこさんのコンビでお届けします。
蓮如上人の「道徳はいくつになるぞ。道徳念仏申さるべし」のお言葉が、手を合わせる子どもたちや大人たちに届いている、そんなことを感じさせていただく「絵童話」です。お正月には、ぜひご家族で「絵童話」を楽しんでいただけたらと思います。

貴重なお話をありがとうございました。
(森 千鶴)

令和2年12月1日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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