家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん園版5月号(2021年5月1日発行)は

コロナ禍に神経をすり減らす1年が過ぎ、新年度を迎えました。どんなことがあっても、季節が正しく移り変わり、子どもたちが日に日に成長し、新しい出会いがもたらされることに、驚きと感動を覚えずにはいられません。あたりまえのことは、決してあたりまえではない。昨年は身をもってそう感じた年でした。
この春も、わたしたちの園では大学を卒業したばかりの初々しい新入職員をお迎えしました。桜色の頬が、マスクの端からこぼれています。緊張した横顔は、新入職員だけに許された頬紅を差しているように、ほんわりと輝いています。卒園児が先生になって帰ってきてくれる、という嬉しいケースも増えましたが、学校を出たばかりの新入職員にとって、「まことの保育(仏教保育・真宗保育)」はもちろん、阿弥陀さまと出遇うのも、手を合わせるのも、初めて尽くしの経験です。辞令の日には保育手帳や制服とともに、お念珠を差し上げます。憧れていた保育者という仕事の出発点で、阿弥陀さまと出遇う。それは本当に不思議なご縁です。
「園に阿弥陀さまがいらっしゃる、ということについて、どう感じますか」と新入職員に尋ねてみると、意外なほど素直に「心が落ち着きます」「安心感があります」という声が返ってきました。初めて阿弥陀さまに手を合わせる子どもたちにも似て、なにもわからないまま無心に手を合わせておられる姿に、こちらの方が教えられることがたくさんあります。

山のくみの担任になってから、本当にうまくいかないことばかりです。でも、本当に子どもに助けられることも多いです。子どもに助けられるたびに、ありがとうの気持ちとごめんなさいの気持ちになります。私の話が通らないとき、おしゃべりしている子どもに注意をします。けれどそれは子どもが悪いのではなくて、まず私の話し方がよくないからです。楽しいことをたくさんして、子どもといろいろな気持ちを一緒に感じる保育者になるというのが私の目標です。今は全然それができていません。「まことの保育」という部分ではまだ何も保育として成り立っていないです。これから子どもたちともっともっと楽しいことをして、もっと体いっぱい遊んで、子どもたちとつながっていきたいです。

新米保育者として悩み、もがくA先生。楽しい保育をしたいけれど、できない。つい子どもを叱ってしまう。心を通わせたいのに、うまくいかない。保育に正解はないと頭ではわかっていても、実際に歩く道の不確かさ、自分の歩みの拙さに、泣きたくなる。ああ、そうだよねと、読みながら頷きます。何年たっても、いくつになっても、同じようにぶつかって悩むのです。けれど、そのままのA先生を、阿弥陀さまが「そのままでいいよ」と抱きしめておられる。だから、心配しないで。そう伝えてあげるのが、わたしの役目です。
「初心」という言葉は、初めての事にあたる純真な気持ちという意味だけではない、と知ったのは最近のことです。初心とは、未熟な自分そのままを指す言葉なのだとか。初心忘ルベカラズ。いつも、自分の不完全さに気付けている保育者でありたいと思います。
(武田修子)

幼稚園・保育園版

育心

心も身体も柔軟に   相愛大学教授/釈 徹宗

今月の『育心』は、相愛大学教授の、釈徹宗先生がご寄稿くださいました。
新年度の保育がスタートし、どの園も慌ただしい毎日を過ごされていることでしょう。
進級クラスで意気揚々としている子もいれば、新しい環境の中で、不安げな子や泣いてしまう子もいます。
不安な気持ちで過ごすのは、子どもたちだけではなく、新入園児の保護者の皆さん、新任の保育者も、新クラスを担当する先輩保育者も、新しい環境下では、みんな不安が多く、バタバタしてしまいがちですね。
そんな緊張の中では、釈先生がご指摘くださいましたように、目先のことばかりに振り回され、ついつい攻撃的になり、自己中心的になり、行き違いが生じてしまいます。そんなとき、「心が柔らかくなる」仏さまの教えに出遇わせていただくと、頑なな自分に気付かせていただき、毎日が軟らかく、温かな日々となるのですね。
ポカポカ陽気の中で、タンポポやレンゲを摘み、虫たちと遊ぶ子どもたちの、キラキラとした笑顔溢れる情景が目に浮かんできます。
五月晴れが広がる季節、釈先生のご指導により、教えに学んで「身も心も柔軟に」元気いっぱい遊びたいと思います。

鈴木翼のかんたんふれあい遊び 手遊び歌!!

だいじょうぶ? ズコッ   あそび歌作家/鈴木 翼

今月の2ページ目は、鈴木翼先生の「かんたんふれあい遊び 手遊び歌!」です。誌面右上のQRコードをスマホで読み取って、動画を見ながら実際に何度も手遊びをやってみました。
「ガクーン」や「ズコっ」などの、へんてこりんな言葉が大好きな子どもたちには、きっと大ウケでノリノリだと思います。
新クラスの「ほぐし」には、ピッタリの手遊び間違いなしですね!
お休みの日は家族でやってみて、大笑いするのも良いと思いますよ。
YouTubeの動画では、ウサギさんから始まって、ヘビさん、キツネさん、カメさんと続き、最後はツバサくんで終わります。(ネタバレ) 忙しい日々の合間に、私も面白い遊びを、子ども達と楽しんでみようと思います。「きっと育児(保育)も柔らかく、優しくなれる」という前頁、釈先生の『育心』にもつながることと思いました。

私の雑記帖

『楽しむ力』を育てよう   子どもミュージアムをつくる会 代表/町田弘法

今月の雑記帖は、子どもミュージアムをつくる会代表の町田弘法先生にご寄稿いただきました。
先生にお出会いしたのは、昨年、丁度秋も深まる夕暮れ時、山のロッジで、先生が子どもたちに提供する遊びや、遊びから子どもたちが見せるイキイキとした好奇心いっぱいの姿、楽しむことを忘れてしまった大人たちに遊びの再始動を促すすばらしさを、熱くお話しいただきました。先生の遊びの姿に学び、「楽しむ力」を持ち続けたいと思います。

実演童話 こころに届けたいお話

◆サーダカの冒険◆ 『安心な国(2)』   文・鎌田 惠/絵・野村 玲

今月の『実演童話』は、独りよがりな王さまが、本当の「安心な国」づくりに気付いていくお話です。

爽やかな5月の空の下、今年も、子ども達とイチゴ摘みなどを楽しみたいと思います。
(鎌田 惠)

令和3年4月15日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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