宮古馬…宮古の在来馬(日本固有の馬)  沖縄県


13世紀以前から沖縄県の宮古島で飼われ、他の品種と交配されることなく、現代まで系統を保ってきました。

宮古馬は平成13年11月現在、島内に19頭・農林水産省家畜改良センター十勝牧場で3頭、飼育され日本在来馬8馬種のなかで、一番少ない頭数です。昭和55年に宮古馬保存会を結成して、保存と「サニツ浜カーニバル」等のイベントへ積極的に参加しPRに努めています。

宮古馬

H8/6/30 第6回サニツ浜カーニバルの浜競馬
(写真は宮古毎日新聞より)

1.宮古馬(在来馬)

琉球王府時代、宮古馬は武士の乗用および江戸幕府や中国への献上品としての御用馬として、生産されました。
また速歩競馬も奨励されましたが、これは騎馬戦のとき先兵隊は弓隊であり、馬上から弓矢を放つには宮古馬のように、速歩競馬で訓練された馬が最適であったと考えられます。

明治39年以降、陸軍は軍馬生産のため、国策として馬の改良に乗り出したが、島民には受け入れられず、 未改良のまま残されました。

2.宮古馬の特徴

体高は、平均メス117cm・オス120cm位で小さい。
性格が温順で、飼い主によくなつきます。
粗食と重労働に耐え、耐久力に富み、小柄ながら負担力大きく、駄載に適しています。
蹄質は堅く、サンゴ石岩石の悪路でも、蹄鉄をはめる必要がありません。

3.日本の在来馬の主なもの (日本在来馬8馬種)

宮古馬沖縄県宮古群島、平成3年1月沖縄県天然記念物に指定
平均メス117cm、オス120cmの小形馬 
北海道和種北海道
体高125cm〜140cmの中形馬
木曽馬長野県開田村、岐阜県
124cm〜142cmの中形馬
わが国旧藩制時代産馬の遺残馬種
御崎馬(みさきうま)宮崎県都井岬、国の天然記念物指定
124cm〜138cmの中形馬
わが国旧藩制時代産馬の遺残馬種
対州馬(たいしゅううま)長崎県上県(かみあがた)郡、下県郡
体高107cm〜136cm(125cm〜127cmが平均)で、
小形馬と中形馬の中間
トカラ馬鹿児島県トカラ列島、昭和28年鹿児島県の天然記念物指定
108cm〜122cmの小形馬
与那国馬沖縄県八重山群島
109cm〜123cmの小形馬
野間馬愛媛県今治市、昭和60年日本馬事協会より8番目の日本在来馬に認定される。
昭和63年今治市の文化財に指定し保護している。
体高107cm以下の小形馬 

4.宮古群島における馬の飼養頭数の推移

明治18年に糖業が始まってからは、馬は糖業と深く関わってきました。
昭和31年の12,428頭をピークに減少の一途をたどります。

これは、
(1)畜力依存の小型製糖工場から、昭和27年以降動力の大型製糖工場へ移行して行った。
(2)運搬手段が、荷馬車から昭和37年頃からトラックへ移行していった。
(3)昭和38年以降トラクターが導入されたこと、が主な原因です。

大正元年〜昭和58年の推移

 宮古群島における馬の飼育頭数の推移 大正元年〜平成11年(Excelデータ)

5.宮古馬の現状

飼育場所
飼育頭数 (H13/11/1現在)
 オス 
 メス 
 宮古農林高校 
 個人飼育管理者 8名 
16
11
 農水省十勝牧場 
合計
22
13

     

飼育場所
飼育頭数 (H 9/ 3/1現在)
 オス 
 メス 
 平良市植物園 
 宮古農林高校 
 個人飼育管理者12名 
14
合計
19
10

宮古馬は平成13年11月現在、島内に19頭、農林水産省十勝牧場で3頭と、日本在来馬8馬種のなかで一番少ない頭数です。

このため、昭和55年に宮古6市町村で構成した「宮古馬保存会」を結成し、現存する全馬を保存馬に指定し、増殖を計っています。
平成3年1月には沖縄県指定天然記念物に指定されました。当面の間は、宮古圏内の保存事業に賛同する個人・団体に委託して飼育しています。

「宮古馬保存会」の結成(新城明久著宮古馬より)

「宮古馬」保存へ牧場開く(沖縄タイムス2002年1月元旦の記事より)

この内の3頭(明け6歳のオスと明け5歳と3歳のメス)が、平成9年3月22日から国の種の保存のためのジーンバンク事業により、家畜改良センター 十勝牧場で繋養されています。

家畜改良センター 十勝牧場の宮古馬  2001年5月待望の子馬が産まれました!

2006年春・荷川取(にかどり)牧場がオープン 6,000坪の広大な牧場で、引き馬体験乗馬(有料)なども出来ます。

6.宮古馬の馬具は、中国雲南省・貴州省と深い関係

宮古馬には、 オモゲー(面繋)という制御具が一般的に用いられています。 オモゲーは、宮古馬、与那国馬、トカラ馬など沖縄・奄美群島の馬が、この馬具をつけています。

中国の西南部にも「四川馬」と呼ぶ小形馬がおり、オモゲーと同様の馬の制御具をつけています。(この項は資料2による。1999/05/23up )

*参考資料*
1.「日本の在来馬−その保存と活用−8.宮古馬 新城明久」から、 1984年 日本馬事協会
2. 「東アジアひょうし図譜」小島摩文 民具マンスリー第29巻1号 1996/4 神奈川大学日本常民文化研究所発行
3.宮古馬の現状については、宮古馬保存会より資料提供いただきました

このホームページは、平成9年(1997年)8月7日に作成
宮古馬保存会より資料を提供いただき平成13年(2001年)12月に補正しました


平良市熱帯植物園にいた宮古馬

農林水産省十勝牧場の宮古馬

オモゲー(面繋)


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