土笛をつくる

歴史をさかのぼること数千年前、まだ文字や楽譜のなかった時代から、
すでに人々は折りにふれ歌をうたい、踊り、楽器を奏でていました。
そんな古代の人々の営みと音楽との関わりを
古代楽器づくりを通して考えてみませんか。

土笛とは

最古の楽器の一つと言われ、世界の各地で出土しています。
中国で約6500年前に生まれたといわれ、雅楽等に使われていました。
国内では主に中国地方の日本海側で出土しています。縄文時代のものには指孔がなく、
単調な音色で、祭具として使用されたのではないかと考えられています。
弥生時代の前期になると、指孔を持ちいくつかの音階を出せる
卵型の土笛が中国から伝わってきたようです。

■準備と指導のポイント

粘土(1kg入り)は、袋から出して針金で4等分し、新聞紙の上に並べ配布に備えます。

教室内の四隅に水を入れたバケツを用意させます。

4〜5人あたり1日分の新聞を配布し、広げさせておきます。

すててもよい古タオルを濡らして、軽くしぼらせて手元に用意させます。
濡れた古タオルは、作業中に乾燥してきた粘土を潤すのにも便利ですし、
作業後手に付着した粘土をふき取るのにも使います。


途中で作業を中断しなければならなかったときは、少し水をふりかけて
ビニール袋に入れて密閉させます。夏場でも1週間は持ちます。


作業工程は、以下の順に1行程ごとにやってみせて説明します。
あとは、教室を巡りながら、個人的にアドバイスするのが効率的です。

■作業工程

ねん土をたまご型に丸めます。
親指に水をつけて、ねん土の中にその指を押し込んでいきます。
この時、左手でねん土をまわしながらゆっくりと押し込むようにすると、丸い形が維持されます
押し込んだ指で、内部の空間を広げていきます。この時、中にある親指の腹と外側にある左手の手でねん土をはさむようにして、ゆっくりと回しながら広げていくのがコツです。
内部を広げているうちに、多少は入り口も広がってこんな感じになります。
次に吹き口になる穴を小さくしていきます。
手を水でぬらし、ねん土を回しながら少しずつ穴のまわりを寄せていきます。
穴が指一本が入る程度まで小さくなったら、穴の形を整えます。
このときも、作業は回しながら少しずつ進めていくのがコツです。
爪楊枝や竹串で、指孔をあけます。一気にブツッと突き刺してからグリグリと孔を広げる感じです。
指孔は、図のように、前面に4つ背面に2つ開けます。持ってみて、指孔を押さえやすい場所を確認してから、孔をあけましょう。(手前:親指 向こう側:人差し指と中指で持ちます。)

■焼成(野焼き)

野焼き奮戦記2003年7月16日実施

バーベキュー用の炭を使いました。点火直後は、周りに並べて、
土の中にわずかに残っている水分を飛ばし、ねん土の温度を上げていきます。(約1時間)
その後、火力をアップしながら、次第に土笛を火に近づけていきます。
ただし、今回使用したねん土は教材屋から購入した「テラコッタ用ねん土」。
直接火に火のついた炭に接すると、容易に破裂してしましました。
仕方なく、遠火のままで、4時間ぐらいかけてじっくりと焼き上げました。
ねん土が土色からレンガ色になるのが焼成の目安です。
後で知ったのですが、「野焼き用ねん土」というのがあるそうです。
これなら、破裂しにくいかもしれません。
いずれにしても、破損のおそれがあるので、
焼成時に、あまり子どもを近づけすぎないことと、
作品は一人複数作らせるか、予備にいくつか作っておくことをお勧めします。

■完成

土笛の中には、焼成時の灰やゴミが入っています。一番はじめに吹かせるときに
必ず目をつぶって中のゴミを吹き飛ばすように指示してください。

■たいていの土笛は鳴る。

吹き口の向こうの縁に息を当てるのが上手に鳴らせるコツです。
(ビール瓶の口に息を当てて音を鳴らせる要領です。)
焼成する前でも鳴りますので、指導者があらかじめ
吹くコツをつかんでおきましょう。
内部の空間が極端に狭すぎない限りたいていの土笛は鳴ります。
「先生〜。私の鳴らない。」と言ってくる児童が必ずいます。
そんなときは何食わぬ顔で「貸してごらん」
といって「ホ〜〜。」と鳴らせて見せてあげましょう。


■煉瓦の窯で焼成成功

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