第134回 Column
(2007/12/29)

「LPの音」
曽我部恵一ランデヴーバンド  「おはよう」

最近、新譜をあまり買わなくなってしまった理由に音質がある。
ドンシャリな音圧のある音がどうも苦手なのだ。
あと、製作時、コンピューターで後から補正してるので、ピッチもぴったりあってるし、
タイミングもぴったり。人間くさくない。

LPレコードの音が音圧的にも自分にあっている。
中音が伸びる、丸い音。本を読んでいても邪魔しない音。

曽我部恵一氏のCDって、LPレコードの匂いがする。
安心できる匂い。

最近出た曽我部恵一ランデヴーバンド の1枚目。ドラムレスってのがいい。
一発録音で、ダビングも修正もなし。レコーディング期間も1日だけ。
「そのときそこで」鳴っていた音が、そのまま真空パックされてる。
演奏もいい感じでラフで、ずれている。自然で心地よい。

Tim Buckley 「Dream Letter」みたいな感じで、
フォークって書いてあるけど、僕にはジャズに聞こえる。

大事なアルバムまた1つ増えた。


曽我部恵一「クリスマスの夢」 ( YouTube 映像)
http://www.youtube.com/watch?v=2fXjRhw5CkI

「島津田四郎fet.曽我部恵一」
http://www.youtube.com/watch?v=2UKdfF4_8ak


第133回 Column
(2007/10/29)

「幻の名盤」
Devendra Banhart :Smokey Rolls Down Thunder Canyon

デヴェンドラ・バンハートの新作が出る。

ミュージック・マガジンには、「新譜というよりも60年代から70年代の南米のどこかに残された
サイケ〜アシッド・フォークの”幻の名盤”の再発音源としか思えない。聴いていると時間軸がぐちゃぐちゃになる作品」
と書かれていた。

驚きは、ヴァシュティ・バニアンと共にリンダ・パーハックスが参加しているところ。
この新作、試聴してみたら、サイケ色が強い感じやった。
リバーブ感がなんともいえない。ラテン・フレーバーもたっぷりで、不思議な空気が漂っている。

桃源郷みたいな音楽って好きなんです。
夢見ごこち気分にさせる音楽。
この新作は、どーなんやろ?
ちゃんと買ってみて、じっくり聞いてみよう。


Devendra Banhartのライブ映像 (YouTube)
見た目もあやしさも、やはり60年代〜70年代
http://www.youtube.com/watch?v=UJhR9pcHJwo

「At the Hop」
http://www.youtube.com/watch?v=91-ldjIQKHg

「Sight to Behold」
http://www.youtube.com/watch?v=V39kvVR03AM



第132回 Column
(2007/8/31)

「涙もの」
Neil Young:Live at Massey Hall 1971

ちょっと前に出たニール・ヤングのライブ盤。アコースティック・ギターとピアノの弾き語りアルバム。
初めて聴いた時、あんまり良いので涙出てきた。

この頃のニール・ヤングは声も演奏も見た目も神がかってるように見える。
ピュアで、シンプルで、美しく、透明感があって、力強い。

今年3月31日付ビルボード誌で初登場6位。36年前の音源がこれほど支持されているのにもビックリ。
そんでもって、このアルバム、すごく音がいい。リアルで臨場感タップリ。
お盆に九州帰るとき、車の中でずーっと聴いていました。
至福の時間でした。

Neil Young 1971年のライブ映像 (YouTube)
「Old Man」
http://www.youtube.com/watch?v=dVC2cszdTao

「A Man Needs A Maid」
http://www.youtube.com/watch?v=odWWQswh5wY


第131回 Column
(2007/7/30)

「モード」
CDを何枚か旅に持っていく時は、マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」を持っていく。
車で鳴らしても、旅先で鳴らしても間違いない。
普段、家でも聞いているのだけど、飽きない。

今、NHKでやっている菊地成孔氏のマイルス・デイビス講座がとってもオモロイ。
お話上手なんです。さすが大学でジャズ講座をやっていただけあります。

マイルスが「モード・ジャズ」を作り出すまでの過程を初めて知りました。
ジャズの流れは、1920年代あたりに「スイング・ジャズ」ってのがあって、これはビックバンドで譜面を見ながらやるジャズ。
次に1940年あたりでモダンジャズ革命が起こり、「ビーバップ」というものが始まる。
「ビーバップ」は少人数で譜面はなし、コードだけで、ジャムセッションを行う。アドリブ炸裂のパワー・ジャズ。

若いマイルスは「ビーバップ」を目指したけど、早いアドリブが出来なくて、挫折してしまう。
そんな時、「フランク・シナトラ」の耳元でささやくバラード・ボーカル、「アフリカ楽器カリンバ」の民族音楽スケールからヒントを得て、
モード・ジャズ・アルバム「カインド・オブ・ブルー」を1959年に発表する。

「モード・ジャズ」は、優しい音色、スケール音だけを使った新しい旋律、浮遊感などを生み出した。
どこに音の中心があるのかわからない。音がプカプカ〜と漂っているかのよう。
きもちよいのだ。

マイルス・デイビス「Blue in Green」 (YouTube)
しびれるタバコ映像
http://www.youtube.com/watch?v=YC8sDz_V1uY

マイルス・デイビス「So What」
しびれるライブ映像

http://www.youtube.com/watch?v=U4FAKRpUCYY

マイルス・デイビス「All Blues」
しびれるライブ映像2

http://www.youtube.com/watch?v=RKyiFDLp5xk



第130回 Column
(2007/6/28)

「まさにBRILLIANT」
オランダの廉価盤レーベル「BRILLIANT CLASSICS」は、色んなクラシック・レーベルの音源を契約して販売してるレーベル。
たまたまタワーレコードでジャケ買いしたこのCDがとても良かったので、以後何枚か買っている。

音が良くて、すごく安いのよ。このCD、2枚組で1000円しないぐらい。
安いけど、これ音がホント良い。

BRILLIANT CLASSICS は、コレクターの人もビックリさせているらしい。
「新録音は非常に少ないけど、その再発売盤の中身が実に充実している」とのこと。

このCDの方、「抜群のテクニックと美音、過激な斬新さと甘美さをあわせ持つ人気バロック・ヴァイオリニスト〜」
って紹介されている Giuliano Carmignola(ジュリアーノ・カルミニョーラ)氏。
ホンマ? すごいな〜。
Giuliano Carmignola(ジュリアーノ・カルミニョーラ)のモーツァルト全集。
録音は1997年。もともとは、イタリア・パラゴン・レーベルにレコーディングされていたもの。

Giuliano Carmignola 氏、今年来日してる、シブイ〜この人。
http://www.hmv.co.jp/news/newsdetail.asp?newsnum=611240058


第129回 Column
(2007/5/31)

「♯、♭」
曲づくりをする時、最後に悩むのが、Keyだ。
出来た曲をどんなKeyで演奏するか?

たとえば、D で、出来た曲を
そのまま D でやったほうが良いか、D♯ にした方が良いか?
D♭ の方が良いか?  とても悩む。

曲の雰囲気が全然変わるのだ。歌詞の響き方も変わってくる。
「♯、♭」を付けると、ブルーなトーンになって夜の雰囲気になる。
「♯、♭」を付けないと、明るいトーンで、言葉の意味も軽くなる。

僕の好きな Tom Waits もジャズの濃い曲になると「♯、♭」が付いてくる。
ジミヘンは、ギター・チューニングを元々、半音下げている。

僕はレストランで演奏するとき、ノラ・ジョーンズの「Don't know why」をよくカバーするけど、
昼間やるときは、G のKeyで。 夜、演奏するときは、Gでやっている。
そのときの雰囲気で色々変えたりしてる。

ノラ・ジョーンズ「Don't know why」 のライブ映像(YouTube )
オリジナルは、B♭のKeyです
http://www.youtube.com/watch?v=5NDuj-MyVyA

なんじゃ、これ?「Don't know Y」
セサミ・ストリートで、エルモと歌ってる

http://www.youtube.com/watch?v=aNP8B9olGXc


第128回 Column
(2007/4/26)

「ダリ展」
大阪天保山でやってるダリ展を見に行きました。
ダリの絵、実物を初めてみた。

でっかいカラフルで有名な絵も、もちろん良かったけど
ノートに簡単にスケッチしているような絵が
僕は好みでした。

鉛筆やボールペンで、サクサクって落書きのように書いてるんやけど、
簡単な絵柄とメモから、エネルギーと才能がプワ〜っと溢れ出てた。

この日は、他にもお目当てがありまして。
ここで行われた、沖仁氏によるフラメンコ・ギター・ライブ。
これも良かった。
この方、日本人なんやけど、グルーブはスペイン人なのよ。
うまいし、ギターが歌っているし、素晴らしい。

YouTube 映像
「ダリ即興、フラメンコとコラボレーション」↓
http://www.youtube.com/watch?v=E8hngV5AeKQ


イケメンが好きというあなたには、これ 「Vicente Amigoのイケメン演奏」
http://www.youtube.com/watch?v=8shFW8WfYoY


第127回 Column
(2007/3/24)

1968 image of Vashti by Anthony McCall「Vashti Bunyan」
オリジナルLPの値段が、何十万円もする伝説の Vashti Bunyan。

05年に出た約35年ぶりの新作にともなうツアー。
先月末、そのライブに行ってきました。

サポートメンバーは2人。生楽器を中心とした、シンプルな構成。
「伝説の〜」、「奇跡の〜」などの形容が良く使われるけど、
まさにそんな感じのライブでした。

今までちょこちょこ色々ライブ見て来たけど、こんなん初めて。
本当にビックリした。

その歌声、すーっと空気にしみわたり、すーっと心の奥にもしみわたり
僕はずっと夢を見ているようでした。

ライブ終わったあとの、あの不思議な気分。
長い時間ぐっすり眠ったような、体の汚いものがすっきり流れ出たような。

笑顔がまた良くてね。なんかイングリッシュ・ガーデンが好きそうな、
花の中でニコニコしながら紅茶飲んでいるような雰囲気なんです。

YouTube の映像↓
http://www.youtube.com/watch?v=KdgT1i1LYlU

http://www.youtube.com/watch?v=yz8_LMOK4HA

http://www.youtube.com/watch?v=uxTUQXk7PLY

第126回 Column
(2007/2/26)

「酢と日本酒」
今年になって好きになったもの。

すっぱいものが食べたくてたまらない。どうして?
この欲望を満たすため、黒酢を買ってきた。
何にでもかけて食べている。この美味しいこと。
ジュースにもいれて、ゴックン。美味しいこと。サイダーなんかに入れると最高よ。

写真の黒酢、手ごろな値段でおいしい。
内堀醸造「臨醐山黒酢」360ml、480円ぐらい。
酸味が柔らかく、まろやか。香りもいい。

日本酒もなんでか、好きになっている。
日本人でよかったと思う。しみじみ。
お酒すごく弱いので、おちょこ2杯ぐらいしか飲めないけど、
とても美味しく感じる。幸せになる。

すっぱいラッキョ食べながら、日本酒飲むのが
夜の楽しみ。く〜っぷ。


第125回 Column
(2007/2/13)

「べー先生」

クラシックの王様っていわれてるベートーヴェン。
通称べー先生として書きなぐっている解説書がまたいい。

10枚組クラシックCDセットって、最近たくさん出ている。
いくつか買ったけど、これが一番良かった。2,500円。

タワーレコード限定なので、他のCD屋では買えない。
順番通り聞きながら、解説書読むと、ベー先生のすごい人生が味わえます。

前半の5枚は年代順に収録。
後半の5枚は、先輩、ライバル、弟子、後継者の曲やら、名指揮者、名演奏家の演奏を収録。
ほんま、カッチョいいコンピです。

くるり岸田氏も絶賛のこのシリーズ。
他のも聞きたくなってきたっ。


第124回 Column
(2007/1/29)

「いいわ」

この前、テレビ出てたフラメンコ・ギタリストの沖 仁氏
めちゃめちゃ男前な演奏してはった、格好良かった〜。
キュン ってなりました。

フラメンコ・ギター買ってから、1年になる。
だんだん音が良くなってきて、なんともいえない気持ちよい音色。いいわ。
1981年製 松永仁一朗氏 製作のフラメンコ・ギター、
トップはスプルース、サイド&バックはシープレス、オール単板。
丁寧に作られてる。
ブリッジはTUSQ製に交換してみた。

フラメンコも弾けるように練習しとるけど、
こちらは全然弾けへん。
むずかしい。たまらん。

でも、弾けるようになりたいの、フラメンコ・ギター。
情熱のスペイン・フラメンコ・ギター。
あなたと一緒にフラメンコ・ギター。

赤い洋服着て、パエリア食べながら、ピロピロ弾けるようになりたい。


第123回 Column
(2007/1/11)

「ビンビン」

PARIS,TEXAS/Ry Cooder
レコーディングからミックスまで〜たった3日間で
作られた同名映画のサントラ・アルバム。
ブランド・ウィリー・ジョンソン直系のスライド・ワーク。
アコースティック・ギターのスライドとして、演奏・録音とも最高の1枚
と思う。

スライド・バーのノイズ音、
スライドが弦にこすれる音、ボディーにあたる音、ノイズの全てが音楽の一部になってる。
南部のアーシーな感じがとても心地よい。

東京に住んでたときは、あまりピンとこんかったけど、
滋賀にきたら、このアルバム、ビンビンくる。
滋賀の風景とスライド、とても相性が良い。

「こんな感じでスライド出来たら、ええな、温泉気分、天国気分、最高やな」
つぶやきながら、つぶやきながら、よく聴いている。




もどる