コラム

社員の化学日記 −第80話 「どうして?を片隅に」−

「寒いなあ,昨年の秋の天気予報は暖冬の予報やったのになあ,でもゆうてる間に梅が咲いて桜が散って梅雨になり気がついたら暑い暑いとゆうてるんやで」 という何でもない話題から,岡山では桃の花(和歌山の北部でも有名らしい),東北ではりんごの花が話題になるという人がいました。  [林檎] → 「あの人誰やったかな,りんごが落ちるのをみて重力を発見した人」とか馬鹿話をしていた翌日の新聞に「ニュートン 植物も詳しい」 という題名の記事が載りました。 なんという偶然!ちょうどこのコラム作成依頼が来たので今回はこの話題をネタにします。

ニュートン[Sir Isaac Newton] 近代物理学の父と記憶にあります。 英国の物理学者だったんですね,どういう訳か僕はアメリカ人だと思っていました,桜の木を折ったワシントンとごっちゃになっていたようです。

ニュートンの幼少の頃は学校での成績は良くなく,友達といえば犬や鳥,木々や花だったそうで独りで考え事をしているときが多かったようです。 あらゆることに対してどうしてそうなるんだろうという疑問は絶えず持っておりその疑問を解くために猛勉強してトップの成績になりケンブリッジ大学 (Trinity College of Cambridge University)に入学したそうです。

ニュートンの行動について印象にあるのは集中力の話で,よくたとえになる時計にまつわる出来事。 朝食を作るときに卵を茹でるつもりが間違って時計を湯の中に入れてしまったという話で,勉強だけではなく何事にもこのように真剣に取り組め! と言われたことを覚えています。

閑話休題 新聞記事の内容に戻りましょう。

2月2日付の英科学誌ネイチャーの関連誌で, [ニュートンが,植物が水を吸い上げる仕組みについて現在広く受け入れられている学説を ノートに残していた]と発表されました。

現代受け入れられている説とはどんなもんじゃと読んでみると

植物が水を吸い上げる仕組みは,水分子が互いに引き合っているので葉っぱから水が蒸発すると出ていく水に引っ張られて根から水がくみ上げられる。

という考え方です。

僕が(50年程前に)小学校か中学校で習ったのは植物が水を吸うのは毛細管現象によるということだったと思います, 今広く受け入れられている仕組みが水がつながっているからということは知りませんでした。 そして重力を発見したニュートンが≪生物内の仕組みにも興味を持っていた≫ということに感銘を覚えます。

僕は個人的に「粒子の細かい水」について疑問を持っており,このことについてよく人と話します。 (以前このコラムでも取り上げました)

水は極性をもっていて(難しいと叱られるので言い換えます)→ 水は[二つの水素H]と[一つの酸素O]が結びついた物体(分子)で酸素側がマイナス, 水素側がプラスと,ひとつの水分子の中で電気的に偏りができています。 プラス状態にある水素が他の水分子のマイナス状態の酸素と引っ付いてつながる(水素結合)性質があるのは 氷(固体)が水(液体)に浮くことでよく知られています。 そやのに細かい水が存在するとはどういうことやねん?と今でも疑問に思っています。 ニュートンのこの話がきっかけになって長年のもやもやが解消すればありがたいです。

ニュートンのこのノートは1660年代に書かれたものらしいですが,日本では,江戸幕府第四代将軍,殉死を禁じた徳川家綱の時代ですね。 次の将軍が動物や鳥を保護した徳川綱吉でニュートンの幼少時代とかぶるところがあるように思えます。 江戸時代の日本の科学者といえば(ノートの100年弱後になりますが)エレキテルで有名なうなぎを食べろといった平賀源内が有名ですね。 彼は物体が地上へ落ちるのに月は落ちてこないということに疑問を持っていたのかどうか。 ということに僕は疑問を持ちました。調べてみます。

これからも,どうして……かな?という事象があれば調べていきたいと思います,「妖怪のせいです」と言わずにね。

そしてニュートン自身,重力という概念を考え付いたときには他人に説明できなかったけど20年の研究努力のすえ理論として確立させて世界を変えた。

このことに敬意を払いつつ。

参考資料:
朝日新聞3版 2015年(平成27年)2月3日夕刊
NHKラジオテキスト エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 9月号

【今田 美貴男】

次のコラムへ>>

<<前のコラムへ

▲このページのtopへ