コラム

社員の化学日記 −第6話 「10月,てんびん座に因みまして」−

コラム作成が,てんびん座(9月23日から10月22日生まれの星座)が重なるということもあり,今回は,三津和でも使用する上皿天秤について少しだけ紹介したいと思います。

上皿天秤というと・・・普段の生活ではあまり使用することはないとおもいますが,ほとんどの方が小学校や中学校の理科の実験で使用した経験が あると思います。私も分銅がいくつ積み上がるか友達と遊んで先生に怒られたことがあります。

そもそも上皿天秤のはかりの仕組みといっても原理は公園のシーソーと同じです。簡単に言えば,ものをのせたときに重いほうに傾くことを利用した仕組みですが, ある程度の精度も求められるものですので少し複雑な構造をしています。

梁 棹(梁)

写真の部品は「棹(さお)」または「梁(はり)」という部品で,天秤のなかでも重要な部分,天秤の"腕"にあたる部分です。

写真ではわかりにくいと思いますが,棹の中央,左右に刃がついています。中央の刃は「棹」全体のバランスをとるための支点となる部分で, 左右の刃は棹に傾きが生じたときに,その上に乗っている皿との摩擦を少なくするためのものです。

重さを量るときは,片方のお皿に重さの基準となる分銅を,もう片方のお皿には重さを量りたいものを載せると,この真ん中の刃を支点として傾きが生じます。 このバランスがつりあったときの分銅の重さから,もう片方の皿に載っているものの重さを測定することができます。

天秤の"腕",実はもう一本あるのをご存知でしょうか?普段,使用するときにはまったく見えないものなのですが, 実は"第2の腕"は天秤の中に隠れているんです。

第2の「腕」? "第2の「腕」"?

右の写真では少しわかりづらいかもしれませんが,"第2の腕"は台上の棹に比べるととても簡単なつくりで,中央部でつながった2本の棹でできています。 しかし,この"第2の腕"があるおかげで,計量時に棹が傾いたときに,台上の棹と"第2の腕"が連携して平行四辺形の形をつくることで, 棹が傾いても皿を水平に維持することができ,皿のどの場所にものを置いても正確に量ることができるのです(ロバーバルの機構というものらしいのですが, 詳しい原理については物理学になりますので私には分かりません)。

最近はより精密に重さを量ることのできる電子天秤を使用することが多いです。上皿天秤は電子天秤とは違い (正確には電子天秤も上皿天秤の一種ですが),基準となる分銅と重さを比較して質量を量るものですので,地球の重力に関係なく, 例えば重力が地球の6分の1しかない月面上でも正確に重さを量ることができます。

近い将来宇宙へ旅行ができることになったときには,一番簡単な方法として,上皿天秤で宇宙の隕石の重さを量ったり するのかもしれませんね(もっとも,無重力状態では質量も測定できないと思いますが・・・)。

【栗林】

次のコラムへ>>

<<前のコラムへ

▲このページのtopへ