コラム

社員の化学日記 −第171話 「未来少年」−

今の砂糖は石油から出来ている。昼食で、出てきた言葉だ。砂糖は体に良くないとの会話から砂糖の種類や、原材料、体への影響のことなど。

ただ、砂糖は石油からの言葉で、思い出すことがあった。

子供のころに、よく観ていたアニメ未来少年OOOだ。そのアニメの描写で、ゴミから、合成パンを作るシーンがあり、ゴミから、食品ができるなんて夢のよう、一度は食べてみたいなんて思っていた。将来こんな世の中になる日がくるのだろうかと未来を想像していた。

もし、現実に石油から砂糖などの食品が工業的に作られているのが本当であれば、アニメで観た世界が実現しているのではないだろうか。

現在、石油から食品ができていることはならしい。しかし、1960年代には、食料問題の解決のために石油から食品をつくる研究がされていたようである。

1895年に炭化水素(石油は炭化水素の混合物)を食する(資源化する)微生物(酵母菌)が日本で発見され、石油からタンパク質を作る基礎ができた。

それからしばらくたち、食用料利用の為1948年ベルリンの発酵研究所がフランスに特許を申請、1963年には第6回石油会議で“石油の用途の中でもっとも将来性を期待され、またも っとも画期的なものは石油からの蛋白であり、この種の食物はすでに実験室で作られ試験生産の段階に入っている”と石油会議で述べられている。

その後、実用段階に向けて各企業が研究開発を進められていたようだが安全性を問題視され、1973年に、日本では製品化中止が決定した。

子供のころ見た未来少年OOOは70年代のアニメ、このような時代背景を受けて描いた未来だったのだろう。そして、アニメの設定は2028年の話、数年後の未来の話である。2022年の今現在では、石油由来の食品を作る事よりトウモロコシやサツマイモなど食料などからバイオエタノールなどの石油化学製品を製造する時代になってきている。

現実の世界は、子供の頃に観た未来少年OOOとは別の方向へ進んでいるようだ。

【白色林檎】

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