コラム

社員の化学日記 −第166話 「10年も経つと色々とね・・・の続き」−

みなさんこんにちは。コロナ禍での生活にも慣れてきて、いつもどおりの日常を取り戻しつつある昨今、突然のようにロシアとウクライナが戦争状態に。政治的なことなのでコメントは差し控えさせていただきますが、何れにしても当該国を含め全世界の人々にとって平和な日常となりますよう切に願っております。

さて、今回のお話ですが、昨年に私のコラム(第160回)でお話した続きになります。 さらっと振り返りますと、我が家のワンちゃんの太ももにしこりが出来て、おそらく軟部組織肉腫(悪性腫瘍)だろうとのことで、動物病院にて切除と病理検査をお願いしたところ、先生の診断どおりの肉腫でした。抗がん剤をメトロノーム療法にて投与し続けて再発の防止を願いつつ前回のコラムに至りました。

と、ここからが続きなのですが、丁度前回の原稿を作成している最中に体調が悪くなり、空咳が続き、これまでなら55kgの全体重を掛けてダイブしていた「お帰りなさい」も出来ない様子。

さすがに様子が変だったので再度病院で診察し、症状を伝えて念のためレントゲン写真を撮ってもらったところ肺に影が写りこんでいて。

「現段階で確定診断は出来ないですが、症状とX線画像からみておそらく原発性の肺がんで間違いないと思われます。そのがん細胞の一部が気管支に掛かっていて多分喉が気持ち悪いのだろうと。まだ自力で歩けているので数ヶ月程度は大丈夫だろうとは思います。」

10才という年齢的にいつ何があってもおかしくない気持ちは持ち続けていたのですが、どこかでショックというかやるせない気持ちもあったりでして、家族で動けるうちに色々楽しませてあげようとそんな会話をしていた1週間後・・・

様態が急変、自力での歩行が出来なくなり寝たきり状態になり、突然やってきた大型犬の介護の難題。ここからは試行錯誤の連続となります。

大切なのは床ずれ(褥瘡)対策

人間でもそうですが、同じ体制でずっと寝ていると、寝床と体で圧迫されている部分血流が悪くなり皮膚の炎症を起こします。

自力でトイレに行くことも出来ないので排尿などからフローリングを守るビニールシート、そこにウレタン性のマット(100円ショップのものを2段に重ねて厚み2cm程度)を敷き詰めて保温効果とクッション性を持たせ、さらに毛布とペッシートで排尿、排便はいつでもOKにしておりました。

ただ定期的に寝返りを打たせる必要があるのですが、体重55kgの寝返りはさすがに大変で、清潔な毛布を横に並べて元の毛布ごと持ち上げて転がすように寝返りをさせたり、ハーネスとチェーンブロックで少し吊り上げてその間に毛布とシーツを交換したりと色々試行錯誤の連続。

また他にも見落としがちなのが脱水対策。

寝たきりなのでもちろん自力での水分補給もできなくなるので脱水症状にもなります。そうなると血液粘度が高くなり、血栓が出来て突然死といったこともあり得ます。

ワンちゃんの体重1kgあたり1日50mlの水分が必要と言われております。55kgだと1日2.5L以上必要となりますが、寝たきりのワンちゃんではそんな量を飲むことはまず出来ません。まず誤飲します。

そのためにまずドライフードをお湯でふやかしてウェットフードにしてある程度の水分も一緒に摂れるように食事させ、注射筒を使って誤飲しないように少しずつ1日10回程度に分けて飲ませ、足りない分は獣医の先生に往診をお願いして点滴にて輸液を入れてもらえるように段取りして。

そんなこんなで試行錯誤しながらも2週間ほど経った夜、家族に見守られながら静かに息を引き取りました。

食べることが何より大好きだったのですが、亡くなる直前まで食べていましたよ。 最後の晩餐はホットケーキでしたが。

今はまた新たにワンちゃんを迎え入れてこれまで以上に楽しく出来たらと思っております。

そのお話はまた次回?にでも。

【からくり長屋の錬金術師(ペンネーム)】

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