コラム

社員の化学日記 −第130話 「人魂 火の玉の原因は?」−

昔,戦前または,戦後すぐぐらいは,死体は火葬ではなく土葬であった。。

お年寄りに聞くと土葬の後に雨が降ると,煙があがることがあるらしいとのこと。

火の玉が出るらしいのだ。でもそれは人魂など心霊現象として火の玉が出てくる訳ではなく,ちゃんとした理由があるらしい。

火の玉の原因は燐らしい...

リンは,マッチの頭薬にも使用され,人体の中で5番に多く含まれる必須元素でもある。白リンないし黄リンは化学的に活性が強く,空気中50℃で発火する。 湿った空気中でリン光を発する。

土葬の後,人体に含まれるリンが気化し放電などでの自然発火や,湿った空気での青白いリン光を人魂や火の玉のように呼んだのだろう。 確かに絵で描かれる人魂は青白い画が多いように思う。

また,リンは食品添加物にも使用されている為,加工食品が身近にある現代人はリンを過剰摂取気味らしい。

もし,リン過剰の現代人を土葬すれば,昔よりすごい火の玉が出てきそうだ。

しかしそんなことはなさそうなのである。 まず人体に含まれるリンは,活性が強い白リンや黄リンではなくリン酸カルシウムなどの化合物で,基本的には安定な状態物が多い。 又,骨のことをカルシウムと呼ぶことが多いが,りん酸カルシウムのことである。 骨はとても安定な物質で,恐竜の化石ように何千年と安定している。 リン酸カルシウムは歯磨き粉にも使われる程水にも安定だ。 土葬や雨によって,人体内のリンが反応することはなさそうなのである

初めて,人魂は人体内リンが原因で一度は納得していたが,よく考えるとリン原因説には,無理があるように思う。結局はっきりしたことは,わからない。

本当に人魂は,魂そのものが可視化されていたのかもしれない。

【白色林檎(ペンネーム)】

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