1.ガイザー(間欠泉)とベイスン(温泉の池)めぐり 
     (Geyser & Basin)

 歩いた日;2012年7月20日 & 21日

間欠泉と温泉の池の多くはイエローストーンの南西部にあります。主な所は、
 アッパー・ガイザー・ベイスン(Upper Geyser Basin)
 ブラック・サンド・ベイスン(Black Sand Basin)
 ビスケット・ベイスン(Biscuit Basin)
 ミッドウェイ・ガイザー・ベイスン(Midway Geyser Basin)
 ロウアー・ガイザー・ベイスン(Lower Geyser Basin)
が連なっています。ロウア―・ガイザー・ベイスン地域は車で走っただけですが、他の地域は全て歩いてきました。
少し離れて西中間にノリス・ガイザー・ベイスン(Norris Geyser Basin)がありますが、ここは時間の関係で省略。東のマッド・ボルケーノ(Mud Volcano)は、翌日キャニオン(峡谷)に行く途中に立ち寄りました。
訪れた順番に紹介します。

ニュージーランドやヨーロッパで、もちろん日本で、噴出するお湯や温泉を色々と見てきたが、景色や規模の違いは別にして、他の国と何が一番違っていたかと言えば、入浴できる温泉移設が無かったということでした。ノリス・ガイザー・ベイスンの地域には一箇所だけ川の中の温泉で入浴できる所があるそうですが、今回歩き回った所には全くありません。カナダのロッキーエリアでも入浴できる温泉施設が幾つか有ったのですが、カナダと同じような文化を持つと思っていたアメリカのこの地では、全く見られなかったのが不思議です。
幾らでもある温泉を、ただ見るだけで満足してしまうアメリカ人の気質や文化は、まったくもって「もったいない」と思います。



 アッパー・ガイザー・ベイスン(Upper Geyser Basin)
ブラック・サンド・ベイスン(Black Sand Basin)

 アッパー・ガイザー・ベイスンには、イエローストーンを代表する大間欠泉のオールド・フェイスフル・ガイザー(Old Faithful Geyser)が有る所で、他にも大小の間欠泉や湧き出る温泉池(プール)が広い範囲に点在している。オールド・フェイスフル・ガイザーの正面には大きな建屋のビジター・センターが建ち、近くには立派なホテルが3つもあり、充実したレストランや店も数多くある。

アッパーガイザー・ベイスンの西側の近くにあるブラック・サンド・ベイスンは、さほど大きいエリアではないが綺麗な温泉池群を短時間で見て回ることができる。
 
 
ビジター・センター前 
コース
Upper Geyser Basin:Visitor Center から Morning Glory Pool迄の往復:2時間強 
Black Sand Basin周回:約20分



 アッパー・ガイザー・ベイスンを歩く  

 泊まった宿近くの南口(サウス・エントランス)からイエローストーン国立公園に入り、ウェスト・サム・ジャンクション(West Thumb Junction)を経由して暫く西に走るとオールド・フェイスフル・ガイザーの標識があり、右に入る。色々の標識がありうろうろしてしまうが、ビジターセンター(正式にはOld Faithful Visitor Education Center)の標識に絞って進むと、センター前の大きな駐車場に着く。
大間欠泉(オールド・フェイスフル・ガイザー)の噴出が始まった 噴出の勢いが増す

 ビジター・センターで大間欠泉の次の噴出時間が表示されているので確認すると9時58分。20分ほど時間があるので、ビジター・センター内の展示物を見て回る。間欠泉はビジター・センターの直ぐ前にあり、センターの大きな窓越しからでも見ることができる。
ちょっとゆっくりし過ぎて、気が付くと既に噴出が始まり、大急ぎで外に出る。大間欠泉は座って見られるようにベンチが半円状に並べられていて、それ以上は近づけないようになっている。既にベンチは埋まっていてベンチの外周に立った。
何ともすごい音と共に吹き上がり、次第に吹き上げが高くなる。これは圧巻。結構長い間高い噴出が続いたように感じた。それも次第に収まり最後は蒸気が細く上がるだけの静けさに戻った。

以前、ニュージーランド北島のロトルアのファカレワレア地熱地帯で初めて間欠泉を見たが、噴出口のそばまで近づけ頭から噴水を被った経験がありその時は冷たかった。
ここの間欠泉は熱湯なのだろう、近づくことはできないが、ニュージーランドのものよりは遥かにスケールが大きい。
当地でもらったパンフレットによれば、噴出時間間隔は50分~127分で平均は93分。噴出時間は1分半から5分間続き、前の噴出時間が長いと次の噴出までの間隔も長くなる。噴出高さは30m~55mとのことで、 噴出する時間が信頼できるのでフェイスフル(Faithful)と名が付けられたそうだ。
 噴出最高潮 

オールド・フェイスフル・ガイザーの 大間欠泉があまりにも有名だが、この地はアッパー・ガイザー・ベイスンという地域で他にも大小様々な間欠泉や温泉池(プール)が沢山ある。トレイルは大半が立派な木道で繋がっていて、この上を進めば自然と全体を見て回れるようになっている。
オールド・フェイスフル・ガイザーから川を渡って進むと直ぐに蒸気の立ち上がる小さな間欠泉などが次々に木道の両側に現れる。この程度のものかとドンドン進むと、左側にバサバサと音を立てながら噴出する間欠泉が見えた。ソーミル・ガイザー(Sawmill Geyser)と表示してある。歩いていてうまく噴出のタイミングに合った時に吹き出す間欠泉を見られるということで、通り過ぎて来た所もタイミングさえ合えば見ごたえがあるのかも知れないと、ここに来て初めて分かった。
トレイルの大半は木道で繋がっている ソーミル・ガイザー

先に進むと、右手にグランド・ガイザー(Grand Geyser)の標識があり、見ると先ほど見た大間欠泉よりももっと高く噴出すると書いてある。但し7~15時間間隔とあり、見ることはできず、ここは素通り。

少し進むと綺麗な池が現れた。その名もビューティー・プール(Beauty Pool)。更にちょっと行くとやはり右手に同心円のカラフルな池が見える。その名はクロマティック・プール(Chromatic Pool)で、彩色された池といった意味。色々な色が出るのはバクテリアの働きとのこと。 
ビューティー・プール クロマティック・プール

川を渡って右手に噴気孔のように 盛り上がった変わった形をした間欠泉がある。ジャイアント・ガイザー(Giant Geyser)と言い、説明書きによると何時噴出するか分からないほど回数が少ないが、起これば70mもの高さの大噴出となるそういです。
 ジャイアント・ガイザー

 続いて奇妙な形のグロット・ガイザー(Grotto Geyser)の前を通る。ほら穴間欠泉という意味になるが、往きには何の動きもなく変わった形だな、と思っただけで通り過ぎたが、帰りに通ると「ゴボ、ゴボッ」と異様な音を立てながら盛んに大量の熱水を吐き出している所に出くわした。直ぐ近くにあるグロット・ファウンテン・ガイザー(Grotto Fountain Geyser)も何時の間にか噴出している。
グロット・ガイザー  グロット・ファウンテン・ガイザー

次にリバーサイド・ガイザー(Riverside Geyser)の標識があり、それに従って河原の方に向かうと、さほど広くない川の向い岸から蒸気が上がっている。噴出を待つ人が沢山たむろしているので暫く待ったが一向に噴出しないので、表示板を良く見ると噴出予定時間が書いてある。あと30分も待たねばならないと分かり、あきらめて先に進んだ。後でパンフレットを読むと、噴出は川を覆い20数メートもの高さになり最も絵になる間欠泉、と書かれてある。我慢して待つべきであったようだ。 

木道が終わる所にモーニング・グローリー・プール(Morning Glory Pool)という温泉池に出る。朝顔の花の意味。緑がかったブルーで、限りなく透明な水がどこまでも地底深くまで続いているように思え、なんとも美しく神秘的な池でした。
 モーニング・グローリー・プール

   モーニング・グローリー・プールで、進むのを止め来た道を引き返した。
来た時には通らなかった道の先に噴火口のように蒸気が立ち上がる小山が見えるので行ってみる。キャッスル・ガイザー(Castle Geyser)という名で表示板には今日の噴出の予報無し(No Pridiction)となっている。噴出すればかなり大きいそうだ。

ここから先は、木道に戻らずアスファルトの道を通りビジターセンター方向に帰った。

歩き始めてから2時間強の行程だった。
各間欠泉の噴出時間をもっと詳細にビジター・センターで調べてから歩き出せば良かったかもしれない。
 キャッスル・ガイザー

 アスファルトの道を進むと、自然とホテルの前に着いた。オールド・フェイスフル・イン(Old Faithful Inn)というホテルで、午後1時近くになっていたので食事をしようと入ってびっくり。巨大な吹き抜けのロビーは全て丸太づくり。レストランを探して奥に入ってみると、ここも全部丸太。
 何の予備知識もなしに偶然入ったホテルだが、1904年に完成した世界最大のログキャビンで歴史的建造物になっているそうだ。泊まらなくても一見の価値が十分にある。
 歴史的建造物・オールド・フェイスフル・インの手前 内部のレストラン



ブラック・サンド・ベイスンを歩く  

 アッパー・ガイザー・ベイスンを歩いた後、車で道路を北に少し行くと、ブラックサンド・ベイスン(Black Sand Basin)の表示があり左折すると直ぐ駐車場がある。
さほど大きくないエリアに木道で道が作られていて、短時間に見て回れ、しかも綺麗な温泉池が3つある。レインボー・プール(Raimbow Pool)にサンセット・レイク(Sunset Lake)、それにエメラルド・プール(Emerald Pool)で、他には、温泉が川となって流れる中にクリフ・ガイザー(Cliff Geyser)の間欠泉があり、数分間隔で噴出するので常時見ることができる。
   
 レインボー・プール サンセット・レイク

クリフ・ガイザー 
 
エメラルド・プール




 ビスケット・ベイスン(Biscuit Basin)

ブラック・サンド・ベイスンから車で更に少し北上すると左手にビスケット ・ベイスン(Biscuit Beysin)の駐車場に出る。こじんまりした所だが、ここにも綺麗な温泉池(プール)がある。
 コース:
 Bisuit Beysin周回:約25分

 駐車場から木道を歩いて川を渡ると直ぐ右側に小さな温泉池が現れる、ブラック・オパール・プール(Black Opal Pool)と言い、少し名前負けしている感じだが、横を流れるファイアーホール川(Firehole River)が背景となって美しい。
その次に現れたのはサファイア・プール(Sapphire Pool)で、こちらも宝石の名前、蒸気が立ちあっがているが透明なブルーで深い池が底まで透き通って見える。比較的大きな池で見ごたえがある。

他にも幾つかの間欠泉と温泉池があり、ぐるっと一周廻って見られるようになっている。
 ブラック・オパール・プール、川はファイアーホール・リバー
   
 
 サファイア・プール




ミッドウェイ・ガイザー・ベイスン(Midway Geyser Basin)

ビスケット・ベイスンから車で暫く北上するとミッドウェイ・ガイザー・ベイスン地域に入る。広い範囲に間欠泉や温泉池が点在しているようだが、この地域では巨大な温泉湖のグランド・プリズマティック・スプリング(Grand Prismatic Spring) が特に有名で、出発前の下調べの時に写真を見ると、高い所から見下ろして温泉湖の全体を写したものがあり、これは是非ともこの場所から見てみたいと、色々調べてみた。
.1つは車道に車を止めて東側の山に登り見下ろす方法があり、もう一つはフェアリー・フォールズ・トレイル・ヘッド(Fairy Falls Trail Head)からこのトレイルを進み、途中から西側の山に登り見下ろす方法があることが分かった。西側の山を登った方が温泉湖を間近に見られるようなので、こちらを選択することにした。
コース
高い所から見下ろすLookout往復:約1時間
Grand Prismatic Spring周回:約30分

   グランド・プリズマティック・スプリングの周回道を歩く前に上から見下ろす展望台に行くことにした。
フェアーリー・フォールス・トレイルの入口の駐車場に車を停めて、登山靴を履き一応の山歩きのスタイルでフェアリー滝へ向かうトレイルを進んだ。直ぐにファイアーホール川に架かる鉄骨の立派な橋を渡る。川の流れに沿ってあちこちから蒸気が上がっているのが見える。この辺一帯に沢山の間欠泉があるようだ。道は四駆の車が走るような平らな道で3~4人は並んで歩ける。

15分か20分程度歩いた辺りで、右にグランド・プリズマティック・スプリングから上がる蒸気が広い範囲で見え出し、左手の山には人が登った後がはっきり分かる踏み跡がいくつも見え出した。しかしどれも急な上に倒木が転がっていて道とは言えないような代物ばかり。どうやらオフィシャルな展望地(ルックアウト)などは何処にも無いようだ。

よりましと勝手に判断してその1つを登りだす。急坂の上に至る所に倒木が転がっていて跨いだりくぐったりしながら登る。這い上がるようにして暫く真っ直ぐ登った所に少し平らな所があり、先着の若い男女のグループが拍手で迎えてくれた。

振り返ると、温泉湖がくっきり見える。赤茶色した大きなサークルの中の水の青が素晴らしい。悪路を登ってきた価値が十分にある。
やっと登って、グランド・プリズマティック・スプリングを見下ろす
右の大きい温泉湖がグランド・プリズマティック・スプリング(Grand Prismatic Pool)、 中央奥の湯気が激しく上がっている所はエクセルシオ―・ガイザー(Exceisior Geyser)、一番左端はオパール・プール(Opal Pool)、その右奥はターコイズ・プール(Turquoise Pool)
 グランド・プリズマティック・スプリング(Grand Prismatic Pool)の全景

良く見ると、温泉湖を超えた右手の奥の車道に車が止まっている所から山に登る道が見える。多分そこが東側の山に登って見下ろす所ではないかと思う。
展望地からの下りは登りより時間がかかったが、スリップすることもなく、無事下りた。登山靴で正解だった。

次に周回木道に行く駐車場に移動し、大温泉湖を間近に見ることにする。ここは沢山の人、中国人の団体が観光バスを連ねて来ていて丁度戻ってきた所だったので、テンヤワンヤ。最初は木道をスンナリとは進めない状態だったが、少ししてやっと落ち着いて歩けるようになった。
最初に、左手に湯気を盛んに上げているエクセルシオ―・ガイザーの横を通る。次いでグランド・プリズマティック・スプリングの湖畔に出る。大きいのは分かっても盛んに湯気が上がっているせいか雄大さは感じない。山の上から見ておいて正解だった。丁度正面に登った山が見えるので、どの辺りを登ったのか探したが良く分からなかった。
更に木道を進むとオパール・プール(Opal Pool)、次いでターコイズ・プール(Turquoise Pool)の横を通る。どちらも爽やかな淡いブルーの温泉池だった。

もし、イエローストーンで時間があまり取れない場合でも、大間欠泉のグランド・フェイスフル・ガイザーと、この大温泉湖のグランド・プリヅマティック・スプリングだけは外せない所と思う。
   
 エクセルシオ―・ガイザーの横を通る木道  エクセルシオ―・ガイザー
 ターコイズ・プール
 
 グランド・プリズマティック・スプリング、背後が登った山  



マッド・ボルケーノ・エリア(Mud Volcano)

ここは今までとは違った場所で、イエローストーンの東側にあるマッド・ボルケーノという所。キャニオン(峡谷)地域に行く途中にあり、イエローストーン・レイク(Yellowstone Lake)から北上して行くと何やらイオウ臭くなってきてあちこちから蒸気が上がる所がある。そこがマッド・ヴォルケーノ。
泥がブツブツと煮えくり返って蒸気を出しているのがメインですが、その近くには噴煙のように蒸気を活発に上げている温泉池もあります。
コース :Grand Prismatic Spring周回:約20分 

 
 マッド・ボルケーノの温泉池 マッド・ボルケーノ近くの道路脇で休むバッファロー