3.タガート・レイク と ブラッドリー・レイク・トレイル 
     (Taggart Lake & Bradley Lake Trail)



前の2日間はイエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)に行っていたのだが、今日はアメリカのハイキングの最後の日だし天気も良さそうなのでグランド・ティトンのハイキングとした。

当初は標高2960mのアンフィシアター・レイク(Amphihtheater Lake) に登ることも考えたが、標高差960mを疲れている最終日に登るのもどうかと、あっさり諦めて、ノンビリと歩けるタガート・レイクとブラッドリー・レイク湖畔を歩くことにした。

このコースは標高差がさほどなく、間近にグランド・ティトンの主峰を眺めながら静かな湖畔を巡るトレイルで、動物にも巡り合えたし、花も結構咲いていたし、傍らに沢山なっていたブルーベリーや真っ赤なスイカズラの実を食べながらの楽しい歩きができた。
 タガート・レイク出発点の駐車場
 歩いた日;2012年7月22日
 コース;
Taggart Lake Trailheadー(55min)Taggart Lake(5min休み)ー(1hr)Bradley Lakeー(25min)Bradley Lake Bridge(10min休み)ー(1hr)Taggart Lake分岐ー(30min)Taggart Lake Trailhead
合計時間:3h50min、総合計時間:4h05min
最高標高:約2200m、標高差合計:約270m


 朝早く宿を出て、トレイルの出発点になるタガート・レイク駐車場に着いたのが朝7時、未だ数台が止まっているだけ。トレイル入口に立派な表示板があり直ぐ分かる。トレイルに入って直ぐに分岐に出る。右はタガート・レイクとブラッドリー・レイクに行く最短のルートだが、2つの湖をぐるっと一周するコースを取ることにして左に進む。
小さな川を渡って直ぐの所で茂みに何か動くものが見える。馬のようだが顔が違う。ムース(ヘラジカ)のメスだ。パンフレッドなどで何度も写真では見てきたが実際に見たのは初めて。オスは角を持ちもっと立派な顔をしているはずで周りにいないか見渡したがオスの姿は無かった。
更に進むと、道端の直ぐ近くの草地に野ウサギがじっとしている。海外のハイキングで野ウサギを見たのも初めてのように思う。
メスのムース 野ウサギ


歩く方向が南から西に次第に変わってきてグランド・ティトンの山々が正面になる。一帯が山火事になった後なのか、樹木の背が皆低いし高低差が殆ど無い道なので、展望を十分楽しみながら歩ける。  
展望の良いトレイル 


 山を眺めながら歩いていると、大きな岩の上に寝そべりながら、まるでグランド・ティトンの山を眺めているような動物がいる。気持ちよさそうにしているのでどうしようかと思ったが、何の動物か分からないのとバカチョンカメラでは写真に撮るのに遠すぎるので少し近づいたら、邪魔するな、という顔つきでこちらに向かって睨んできた(と思えた)。
その顔はマーモット。ゴメン・ゴメンと謝ってその場をそっと立ち去った。
 
 グランド・ティトンを望む岩の上のマーモット



 低木の樹林帯の中の殆ど平らなトレイルを歩き、小さな橋を渡ると、そこがタガート・レイク。湖の対岸にティトンの山々が綺麗に並んで見える。ここからはサウス・ティトンとミドル・ティトンの山はクラウドヴェイル・ドーム(Cloudveil Dome)やネズ・パース(Nez Perce 先住民族の名)の前峰の陰になっていて見えない。しかし前峰そのものが立派で大きく聳えて見える。無風で快晴、山々が湖に綺麗に映っている。
トレイルは東側の湖畔を歩くようになっているが、背が高く密生した針葉樹で囲まれているので、歩きながらスカッと見える所は少ない。
湖岸の中ほどに来た所に大きく西側が開いたスペースがあり、湖に映った山々が綺麗に揃って見える場所に出た。カメラをかまえたが実在の山と湖面に映った山の両方が画面に同時に入らない。カメラを縦にしてようやく撮れたが、それほど山が近くて迫力があった。  
 タガート・レイクに出た所 湖岸の中ほどまで来て、
山は、左はサウス・ティトンの前峰、中央グランド・ティトン、
その右に少し見えているのはマウント・オーウェン、右端はティーウィノット・マウンテン
 



   樹林の中の湖岸を進むと西向きの歩きになり、次第にタガート・レイクから離れながら緩い坂道の登りになる。右上の写真に写っている正面の少し高くなった樹林の中を歩いていることにんる。

登るにつれてタガート・レイクが下にその全景が見えるようになる。
大した登りではなかったが、唯一ここだけがこのトレイルで登りだったと記憶に残る場所でした。
 タガート・レイクを見下ろす


   下りになって、樹林が密になり視界が殆どきかなくなって、下りきった所で駐車場から直接来る道と合流する。そこから直ぐブラッドリー・レイクに出るが、あまり良い広場ではないので少し先に進むと、展望が開けた場所に出た。

山並みが鏡を置いたように綺麗に湖に映っている。しかも映る範囲が広い。カメラの画面に入るように縦にして撮る。
グランド・ティトン国立公園に来て、水面に映る景色を何度も見ることができたが、ここも一際美しい。暫く無言で眺めた。

タガート・レイクからさほど歩いたとは思えなかったが、見る角度が変わったので、タガート・レイクでは見えなかったサウス・ティトンとミドル・ティトンのピークが見えるようになり、山もより迫力が増した感じがする。

 ブラッドリー・レイク
 
 ブラッドり―・レイク湖岸からの展望
山は左から、マウント・ウィスター、ギザギザで少し見えるのがサウス・ティトン、その右はクラウド・ヴェイルなどの前峰、
一段低くなってミドルティトン、尖った山はグランド・ティトン、少し見えるのがマウント・オーウェン、右端はティーウィノット・マウンテン
 



 東側の湖畔を歩くが、殆どの場所は針葉樹が密生して生えていて木の隙間から山が垣間見える程度。暫く平らな道を進むと、しっかりした木橋に出た。ここは湖が細く東に延びた場所で、このまま先に進めばルーピン・メド―ズ・トレイル繋がる道だが、ここで引き返すことにする。
この辺は浅くなっていて橋の上から小魚が泳ぐ姿が見える。風は全くなく木々も水面もピクリともせず、小魚以外はピタリと止まった景色で静寂そのもの。時々どこからか小鳥のさえずりが聞こえるが、それすら更なら静けさを感じる。
 
 ブラッドリー・レイクの橋 ブラッドリー・レイクの橋の上から



 戻り始めて直ぐ、道端に赤い実がなっているのに気が付く。何の実か分からなかったが、食べられそうなので口に含んだ。やや渋みのあるうす酸っぱ味であまりおいしいとは言えない実だったが、帰って調べてみるとユタ・ハニーサックル・ベリーという名で、スイカズラの仲間だそうだ。通常スイカズラの実は熟すと黒っぽい色になるが、この実は熟しているのに鮮やかな赤色だった。
  あまり美味しくないなーと辺りを見渡すと、ブルーベリーの実がその辺に沢山なっている。売っているものよりは小粒だが食べてみると美味しい、しばし自然のブルーベリーの味を楽しんだが、野生の動物のエサを横取りしているような気がして、程々にして帰りについた。  
 Utah honeysuckle berry
(スイカズラの仲間)
ブルーベリー 沢山のブルーベリーに満悦



 暫くは歩いてきたブラッドリー・レイクの湖畔の道を戻り、タガート・レイクへの分岐で左に入り、出発点の駐車場に直接向かう道をとった。暫く背が高い針葉樹の林を進み、次第に低木になった辺りでタガート・レイクのへのもう一つの分岐に出て、これを左に取る。
この辺りは丘陵地といった感じで背後にティトンの山々が広がり、道端には高山植物の花が咲き、爽快なアメリカ最後の歩きとなった。

駐車場に着いたのはまだ11時少し過ぎ。これからハイキングに出かける人や、車を止めて景色を眺める人などで結構な人の数であった。

 ブッラドりー・レイクからの帰り