劇団「あるくおもちゃ箱」 Kumiko&STAFF171















 椿紅もゆる頃・・・刹那の想い






 彼の名は 刹那・・・
 生まれてすぐ椿の木下に捨てられていた・・・
 どこで生まれたのかも 親の顔すらわからない・・・
 醜さゆえに
 見世物小屋に引き取られ・・・
 格子でさえぎられた暗い座敷に閉じ込められ・・・誰からもうとまれし赤子物心ついたころには皆の慰みモノになっていた 

            

 




 椿の咲く頃 愛にはぐくまれ産まれし赤子と
 椿の下で拾われ誰からもうとまれし赤子と
 神はどうして引き合わせたのだろう



 
   
           




 椿のごとく紅に唇に 雪のごとく透けるように白き肌の少女の名は・・・椿乃
 燃えるように赤い髪の色 紅の目の色の少年の名は・・・刹那

 「俺は なんで生まれて来たのだろう・・・」

 「生まれを恥じるな 姿を恥じるな
 神が刹那だけに与えられた姿だ・・・人と違うと言う事に胸を張れ・・・
 もし私がお前より年上で椿の木の下で赤子のお前を見つけたとしたら
 椿の露で髪が染まり 椿の色を目に宿した神からの贈り物だと
 愛しく抱きしめ連れ帰ったであろう・・・

                 

 「私の魂が・・・お前を必要としている・・・」

 見世物小屋で弄ばれた魂に・・・光が降り注いだ・・・

 それぞれに 生まれ落ちた運命と諦めてきた二つの魂が 惹かれあった瞬間

 重なり合った歯車が心の音をたて 動き出した・・・

 


秘話

刹那
とは 1と0の狭間…単位


1にも0にもなれない そんな想いで彼にこの名を付けました


椿乃は…椿の固い蕾が美しく咲き誇り…誇り高きまま 朽ち

果てる…

その凛と強い姿に彼女を見つけました


我町にあります 水無瀬神宮の境内に 

大きな椿の木が生い茂っております

そこで赤子の鳴き声が聞こえた様に感じます

物語はさかのぼり・・・

とあるお屋敷の奥方に男の子が授かりました…

顔立ちも凛々しく しかしその子は髪も目も赤く

その姿に驚きその子を誰にも知られず奥深い山の椿の木の下に
捨てたのです

しかし うずく胸の痛さに 立ち戻った時には もう赤子は

居なく

獣に連れて行かれたものと 自分の罪深さに母は椿の木下で

泣き崩れ命果てました

その魂は椿乃となりこの世に生を授かったとしたら・・・

…と言う話が われわれの中で創り上げられ

歳は下でも椿乃は刹那を愛しく母がわが子見守るよう愛をこ

の世で感じ

次の世でこそ 幸せにしたいと 感じ願ったのだろうな…と

出逢いは意味があるのだと感じます

そう輪廻の様なものを感じた時…次の台詞を最後に付け加え

ました

 「刹那…今度生まれ変わったらおまえの傍で生きよう…と

もに命果てるまで

なあ 刹那…私を次の世でも必ず見つけ出しておくれ・・・

それまで この温もりを忘れないでおくれ…」




どうぞ 椿乃と刹那の世界に・・・お待ちしています




    

京都公演にて…


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