不覚の涙 の原因は…

 新婦となった長女が、私達両親に書き送ってくれた手紙が原因です。

 披露宴のお開き前に、両家両親に花束贈呈と、恒例のパターンでしたが、
この手紙の朗読が始まったとたんに、堰を切ったように涙が溢れ出てきて、どうしようもなくなりました。

 結婚して、すぐに産まれた長女だったので、人の子の親になるという自覚もあの頃を思うと希薄で、
ただ元気に育ってほしいと願う日々で、
子供と楽しく過ごせたらそれでいいと、しつけを考えるようなことも全くしない、ダメな父親でした。
 そんな日々が思い出されて…。

 手紙の朗読中から、花束贈呈に至るまで、バックに流れていたのは、
サザン・オールスターズの「心を込めて花束を」という曲でした。
婿殿のたっての希望での選曲だったそうです。
この時に初めて聴いた曲でしたが、後日、ゆっくり聴いて、
いっぺんに好きな曲になってしまいました。(実に単純)
 親戚中が、結婚式・披露宴で、私が泣くだろうと囁き合っていたらしいのですが、
式場に着き、媒酌人にあいさつをしたり、慌しい雰囲気の中で、式が始まり、
披露宴へと進んでも、感慨に浸る間もなく、
親戚の期待?どおりにはいかんゾ、と自分でも実は意外な状況だったのです。

 花束贈呈がありますので、と係員に促されて金屏風の前に妻と二人で並びました。
自分達の時はどうだったかなというようなことを思いつつ、
やれやれ、これで披露宴もお開き、貸衣装のモーニングから開放される、
なんて考えたりしていました。

 音楽が流れ、静まり返った会場で、司会者が朗読を始めました。


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