大阪都構想の害悪
「大阪都」構想とは、政令市である大阪市を廃止し、東京都心部のような特別区に分割、そのなかで市の重要な権限と財源を「大阪都」(府)に吸い上げ、「一人の指揮官」がやりたい放題にできる仕組みをつくる構想です。橋下氏は「都」と称していますが、仮に市が廃止されても現在の法律では「府」の名称は変わりません。来年4月の実現を目指しています。
「二重行政解消で4000億」ウソ
維新はかつて「都」構想で“府と市の二重行政をなくして毎年4000億円を生み出す”と宣伝していましたが、制度設計案(修正後)で示された「都」構想の「効果額」は596億円と激減。しかもその大半は、市営地下鉄・バスの民営化約183億円や、今実施中の「市政改革プラン」による市民負担増237億円など府市再編とは関係ないものです。あえて「府市統合・再編の効果」といえるものを集めても9.4億円にすぎません。しかも、その内訳も病院の統廃合(6.2億円)など実際には実害でしかありません。
無駄な開発のオンパレード
「大阪都」で何をやりたいのか。橋下氏は「都」になれば彼のいう「改革」や事業の「民営化」がさらに進むと言います。これ自体問題ですが、一番はっきりしているのは大規模事業の推進です。
実施を主張しているのは、橋下氏が「都構想の試金石」というカジノ誘致や、大阪から関西空港まで1分短縮に400億円かかる鉄道新線「なにわ筋線」(2000億円前後)の整備、関空リニアの整備促進や、高速道路・淀川左岸線延伸部の建設など。まるで無駄な大型開発のオンパレードです。
府市に巨大な借金を残した過去の開発事業の失敗を繰り返し、府民の懐に目を向けずに大阪経済を落ち込ませてきた誤りを際限なく広げる内容です。
サービス低下 財源争いも
「住民に身近な特別区の設置で行政サービスが充実する」という宣伝もすっかり色あせました。専門家は、本社が集中する東京と違って財源が乏しい大阪で「都区制度」を敷けば、「都」と特別区間や特別区同士で財源や予算をめぐる激しい争いが起き、結果として特別区では市民向け予算の削減が進められていくと指摘します。そこに、再編で確実に増える行政コストが覆いかぶさって、住民サービスの継続さえ困難になるのは明らかです。
初期費用小さく見せようと
設計案では、初期費用を小さく見せようと無理に無理を重ねています。特別区に新区役所をつくると5区でも1000億円前後かかるので、今ある24行政区の役所をバラバラに活用し、足りない分は民間ビルを借りるといいます。住民はたらい回しにされ、混乱が起きかねません。主要事業のシステムは変更せず、全特別区一本でいくといいます。何のための市解体なのかわからなくなっています。
二重にも三重にも破綻構想
「都」構想は昨秋の堺市長選で「大阪都ノー」を掲げた竹山修身市長が維新候補に圧勝し、痛烈な審判を下した問題です。加えて今回、府市の議員と首長でつくる法定協議会で議論が
日本共産党大阪府委員会は「二重にも、三重にも破綻をきたした『大阪都』構想は、きっぱりと断念し、橋下市長は辞職して、そのまま市政から去るべきだ」と訴えています。