シリアへの違法な軍事攻撃の企てに強く反対する

日本共産党 志位和夫委員長が談話

 日本共産党の志位和夫委員長は30日、「シリアへの違法な軍事攻撃の企てに強く反対する」との談話を発表しました。談話は、英訳もして、国連常任理事国をはじめ関係各国の駐日大使館、国際機関に送り、党として働き掛けています。談話は次のとおりです。

 一、内戦が続くシリアに対し、米国などが、政府軍が反政府勢力に化学兵器での攻撃をおこなったと一方的に断定し、軍事攻撃をおこなう構えを見せている。化学兵器の使用は、誰によるものであれ、人道と国際法に反する重大な残虐行為であるが、事実の解明は現在、国連の調査団が進めている途上にある。

 そうしたもとで、国連安保理の決議もないまま一方的に軍事攻撃を強行することは、明白な国連憲章と国際法違反である。日本共産党は、米国などによるシリアへの攻撃計画に強く反対する。

 一、米国などは、化学兵器使用の禁止という「国際規範への違反」を口実にシリア攻撃を正当化しようとしているが、軍事介入で化学兵器問題を解決することはできない。

 シリアは、化学兵器の全面禁止と全廃を義務付けた化学兵器禁止条約に加入していない数少ない国の一つである。国連が中心となってシリアでの化学兵器使用をめぐる事実を明らかにし、国際社会が一致して化学兵器の廃棄を迫ることこそが、この問題の解決の道である。一方的な軍事攻撃は、こうした国際社会の協力に障害をもちこむとともに、シリア国内での化学兵器拡散という極めて重大な結果をもたらす危険がある。

 一、潘基文(パンギムン)国連事務総長は、内戦の双方の当事者に外部から軍事的支援をおこなうことに対して、「軍事の論理が、一つの国を完全な破壊の瀬戸際に追いやり、地域を混乱に陥れ、世界規模の脅威をもたらしている。なぜ火に油を注ぐのか」ときびしく警告している。外部からの軍事介入は、さらなる人的被害と内戦の激化をもたらし、地域全体に破壊的な影響を及ぼすものである。シリア問題の軍事的解決はありえないことを、強調しなければならない。この点で、国連安保理決議なしに外部から軍事介入したイラク戦争などの過去の経験から学ぶべきである。

 シリア問題の政治解決を求める国連総会決議(2013年5月15日)は、シリア政府と反政府勢力との双方に、真剣な政治対話を開始し、双方を包括する暫定政権樹立をはかることをよびかけている。国際社会は、政治対話による解決にむけて、紛争当事者を交渉の席につかせるためのあらゆる外交努力を強めるべきである。

ハーグの平和宮殿(国際司法裁のある建物)での国連事務総長の演説(8月28日)から

 シリアでは、破滅的な内戦が10万人以上の命を奪い、宗派間の緊張に火を付け、地域全体の不安定化を作り出している。今われわれはこの紛争で最も重大な瞬間に到達している。

 最近の激化によって恐ろしい犠牲が生まれている。21世紀にわれわれが見たことがないような映像を通じて、化学兵器の亡霊が立ち現われている。誰によるものであれ、いかなる理由であれ、どのような状況であれ、化学兵器の使用は残虐な国際法違反となるだろう。

 事実の確定が不可欠である。国連の調査チームがそれをやるために今現地に入っている。攻撃の数日後、チームは貴重なサンプルを採取し、被害者と目撃者の聞き取りをした。その仕事には時間が必要である。

 この平和宮殿で、こう言おうではないか。平和にチャンスを。外交にチャンスを。戦闘をやめて交渉を始めよう、と。

 そして法の支配にささげられたこのホールで私はこういう。国連憲章を順守しよう、と。

 双方に武器を供給している者たちにたいし、われわれは問わなければならない。さらなる流血以外に、その武器はなにかを達成したのか、と。

 軍事の論理が、一つの国を完全な破壊の瀬戸際に追いやり、地域を混乱に陥れ、世界規模の脅威をもたらしている。なぜ火に油を注ぐのか。

 われわれは、当事者を交渉の席に着かせるためにあらゆる方策を追求しなければならない。国連とアラブ連盟の共同特使は、努力を続けている。

 なによりも国連の安全保障理事会が、国連憲章に基づく道義的政治的責任を果たさなければならない。

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