大企業のため込み利益4%で、466万人の新規雇用
労働運動総合研究所(労働総研)は19日、「賃上げと雇用条件改善で超円高・デフレ不況の克服を―内部留保をわずか3.94%活用すれば可能」という2012年春闘提言を発表しました。
提言は、正規労働者で月1万円の賃金引き上げ、パートの時給100円の引き上げとあわせて、不払い残業(サービス残業)の根絶、年次有給休暇の完全取得、週休2日制の完全実施、法定休暇を完全取得した場合の経済効果を試算しています(表参照)。これによると、新規雇用者が466.1万人分創出されます。また給与総額が18兆1373億円、国内生産額が19兆6945億円、国・地方あわせた税収が2兆124億円、それぞれアップします。
これらの改善で企業の負担は、2010年度の企業の内部留保460.9兆円(このうち資本金10億円以上の大企業の内部留保は266兆円)の3.94%(大企業の内部留保では6.8%)活用すれば実現可能としています。
提言では、日本経済の危機を打開するには、国際競争力強化、企業利益第一主義の経営を、国民生活重視に転換することであり、労働者の賃上げ、雇用・失業問題の解決が第一歩だと指摘。膨大な内部留保を活用することはきわめて有効だとしています。
全労連・国民春闘共闘は、2012年の春闘で、誰でも時給100円以上、月1万円以上の賃上げという水準引き上げと、時給1000円、日額7500円、月額16万円以上という最低賃金の要求を掲げています。
日本経団連はベースアップの実施は「論外」と身勝手な理屈を持ち出しています。「景気が悪いから賃上げは望めない」とあきらめず、「景気回復は賃上げと働くルールを守ることで」と世論を広げましょう!
新規雇用者の増加 | 現金給与総額の増加(円) | 家計消費支出の増加(円) | 国内生産額の増加(円) | 付加価値(≒GDP)額の増加(円) | 国・地方の税収の増加(円) | ||
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正規労働者の賃金を 月1万円引き上げ |
46,834億 | 29,974億 | 45,716億 | 26,316億 | 4,671億 | ||
パートの賃金を 時給100円引き上げ |
13,390億 | 9,868億 | 15,051億 | 8,664億 | 1,538億 | ||
働くルールの厳守と 法定休暇の完全取得※ |
466.1万人 | 121,149億 | 89,287億 | 136,178億 | 78,391億 | 13,915億 | |
※内訳 | 不払い残業(サービス残業)の根絶 | 310.9万人 | 80,809億 | 59,556億 | 90,834億 | 52,289億 | 9,282億 |
年次有給休暇 の完全取得 |
138.4万人 | 35,973億 | 26,512億 | 40,436億 | 23,277億 | 4,132億 | |
週休2日制 の完全実施 |
16.8万人 | 4,367億 | 3,218億 | 4,908億 | 2,825億 | 501億 | |
合計 | 466.1万人 | 181,373億 | 129,129億 | 196,945億 | 113,371億 | 20,124億 |
国会議員減らす衆院比例80削減で、消費税増税派の議席が9割に
野田首相は、自ら「身を切る」との理屈で衆院比例80議席を削減するといいますが、現行の選挙制度でもっとも民意を反映する比例代表の議席180のうちの80議席を削れば、大政党がますます有利になります。「一体改革」応援の「朝日」でさえ「大政党を利するお手盛り」(19日付)と指摘します。
たとえば、2005年の総選挙の結果で試算したところ、自民党と民主党という消費税増税派の議席占有率は89%、同じく09年の総選挙結果では、民主党と自民党が92%の議席を独占します。 「身を切る」というのなら、年間320億円の政党助成金こそ廃止するべきです。