生活援助・デイサービスはボランティアに
参院本会議で15日、介護保険法改定案が賛成多数で可決、成立しました。日本共産党、社民党は反対しました。
介護利用料大幅値上げのおそれ
一つは、「要支援」と認定された高齢者への介護のあり方です。
新設の「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)を導入した市町村は、要支援者へのサービスを従来通りの保険給付とするか、市町村任せの総合事業とするかを決められるようになります。
総合事業は
「総合事業」では、訪問・通所サービス、配食、見守りなどを行います。介護保険財政から上限つきで財源が出ますが、サービス水準について予防給付のような全国一律の基準がなく、市町村の裁量による切り下げが可能になります。利用料も予防給付では原則1割負担ですが、「総合事業」では市町村に任されるため、大幅に値上がりする恐れがあります。要支援者への予防給付を、行政にとって安上がりな「総合事業」に置き換え、給付費を削減する仕組みです。
保険給付のサービスと異なり、総合事業にはサービスの質を担保する法令上の基準がありません。費用を減らすため、生活援助やデイサービスをボランティアに任せるなどの事態が起きかねません。
医療行為を押し付ける
二つ目は、医療専門職が担うべき医療行為を介護職員に押し付けることです。
国が看護師不足を放置し、医療が必要な患者を無理に退院させてきたため、施設の介護職員がたんの吸引などを肩代わりせざるをえない現状です。改定法はこの現状を逆手にとり、たんの吸引を法律で追認することを突破口に、介護職員が担う医療行為を厚労省令で拡大していく仕組みです。
安全性を確保できるのか。事故の責任は誰が負うのか。賃金上の評価もなく研修と業務の負担が重くなれば、離職者がさらに増えないか。現場は多くの不安を抱えています。
要支援者切り捨ての総合事業を市町村に導入させないなどのたたかいを広げ、改悪部分を運用段階で骨抜きにすることが大切です。