子どもにマイナスの安上がり教育
いま、公務員削減が叫ばれていますが、未来をつくる子どもの教育に深刻な影響を及ぼしています。いったいどうなっているのでしょうか?
幼稚園・小中学校の先生は、昔は正規教諭が当たり前でした。ところが、今年度、東大阪では、小学校では7.6%、中学校で18.9%、幼稚園では過半数の51.7%が臨時に雇われている教員(常勤講師)となっています。担任の先生をしていても、正規の教諭ではなくて、常勤講師の先生である場合すらあります。
講師の先生から「来年は教師ではないと思うと、心から子どもに『来年は、こんな風に頑張ろうな』と声をかけられない。かけるとウソになるから」といった悩みを聞いたことがあります。子どもの教育にとって正規の教諭をきちんと配置すべきです。
常勤講師など臨時雇いを増やしたため、産休や病休の代わりの先生がいない…
学校現場は、過労死ラインをこえる長時間労働で働いている先生が多く、在職死亡の先生が年間8人(08年度)も出るなど、病気休職者もあとを絶たず、大変な実態にあります。
こうしたなかで本来、正規の教諭でなければならない定数内の教職員に、常勤講師をあてるため、産休や病休の教諭が出た場合の代わりの臨時教職員の待機者がいなくて、教育に穴があく事態が広がっています。理科や数学の先生の代わりが来なくて、学校長や教頭が授業にあたることなども起きています。
講師急増は、安上がりの教育すすめてきた国の行革が原因
講師が増えている原因には、04年に小泉政権がおこなった義務教育国庫負担制度の改悪があります。
もともと公立小中学校の教員の給与額の半分は国が負担し、都道府県はその負担額に応じた数の正規教員を雇うことが義務づけられていました。ところが改悪でこの義務づけを取り払い、「総額裁量制」を導入しました。正規教職員用の給与で講師を雇ってもよいことにし、正規教員の代わりに講師を自由にふやせるようにしてしまいました。
さらに、06年の地方財政「三位一体改革」で、国負担は3分の1に減りました。
また国は06年行政改革推進法を制定し、教員定数の「純減」を明記。教師の定数改善計画はストップしたままです。
正規の教諭の配置で、ゆたかな教育を!
全国的には非常勤講師として働く先生のなかには、ダブルワークしていることや生活保護を受給せざるを得ない方もいることがマスコミでも取り上げられています。これ以上、臨時雇いの講師ばかり増やしていては、子どもの教育によくありません。学校の先生は正規の教諭が当たり前の声を広げていきましょう!
1996年度 | 2001年度 | 2006年度 | 2011年度 | ||
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幼稚園 | 教諭 | 49名 | 48名 | 50名 | 29名 |
講師 | 16名 | 22名 | 27名 | 31名 | |
合計 | 65名 | 70名 | 77名 | 60名 | |
小学校 | 教諭 | 1153名 | 1035名 | 1098名 | 1123名 |
講師 | 16名 | 86名 | 109名 | 92名 | |
合計 | 1169名 | 1121名 | 1207名 | 1215名 | |
中学校 | 教諭 | 757名 | 655名 | 623名 | 630名 |
講師 | 21名 | 41名 | 69名 | 147名 | |
合計 | 778名 | 696名 | 692名 | 777名 | |
※教諭には、養護・栄養教諭は含まれていません。 ※講師には、養護助教諭・技師は含まれていません。 |