旧同和施策の見直し始まる
長尾淳三市長は公約に基づき旧同和施策の見直しを始めました。07年度予算案は緊急に見直す10事業を対象に、約2億円を見直ししました。新年度に入ってからも引き続き見直すとしています。
見直し基準は次の3点です。
- 法・条例や公平・公正の観点からみて、特別の優遇措置と受け取られる内容となっていないか
- 効率的な行財政運営の観点からみてどうか
- 一般社会通念からみて理解を得られるものになっているか
「差別解消に有効でない」
旧同和地区にみられた格差は基本的に解消し、国の特別法も02年3月末でなくなっています。長尾市長はこの基準に沿って「特別対策を続けていくことは、差別解消に必ずしも有効でない」と見直しました。
3つの基準のうち、公平・公正の観点を中心に次の事業を対象にしました。(かっこ内は見直し額)
- 長瀬診療所運営補助金 (2500万円)
- 荒本平和診療所運営補助金 (1200万円)
- 新大阪タクシー借り上げ (1390万8千円)
- ひとり親ヘルパー事業 (962万6千円)
- 妊産婦ヘルパー事業 (1193万円)

補助金見直し対象の長瀬診療所
このなかの長瀬・荒本平和診療所は旧同和地域内にある民間の診療所です。
東大阪市は1979年度から無利子の貸付金を出し、97年度からは補助金を毎年支出し、その額は06年度で3700万円です。貸付金の合計は96年度までに、13億8857万円にのぼっています。しかし、両診療所からの返還金は、わずか4億9622万円。9億円近いお金がいまだ未返還です。
ところが、長瀬・荒本平和診療所は補助金を受け取ることにより、それぞれ2180万円、3633万円の繰越金を出しています(04年度)。さらには、両診療所には市職員も4人派遣され、市の負担は毎年7300万円にのぼっています。一般の民間診療所には市からの補助金も職員の派遣もありません。
これらを「公正・公平」の観点から見直しています。
特別対策を「廃止する」
新大阪タクシーの借り上げは「同和産業の振興」を理由に行い、06年度の借り上げ料は年間1390万8千円でした。05年度の実績で見ると、使用件数は1日2.7回、時間にして2時間12分。支出金額は1回1万400円でした。一般のタクシーを借りたときの1回の支出金額は、平均約4300円です。
「ひとり親」「妊産婦」の両ヘルパー事業は、「同和問題の解決をはかる施策の一環として」旧同和地域だけで実施されていました。
見直しについて、長尾市長は「特別対策になっているもので、廃止する」と述べています。