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チャンネルディバイダー (12dB/oct 伝達関数G(s)=1)の製作


時間に余裕ができたので、長年温存(放置?)していたFostexの1インチホーンドライバーFD101のために、ウッドホーンを作りました。
30cmウーハーとクロス1kHzくらいでマルチアンプにしてみたのですが、どうも音が良くありません。
30cmウーハーの高域ではしかたないかな。やはり間にミッドレンジが欲しくなりますね。

製作

ということで3wayチャンデバをいろいろ物色していたら、
「無線と実験」2019年12月、2020年1月に、12dB/octなのに伝達関数G(s)=1の製作記事が載っていました。
理屈はよく分からないけど、合成波形に位相ずれがないらしい。面白そうだから作ってみることにしました。
記事の中に実用新案とかの言葉も出てくるので、具体的な回路図は伏せておきますが、
CR2段フィルタに補正アンプを入れているようで、オペアンプを使えば割と簡単に出来そうです。
回路図
オペアンプは音に覇気がない気がして避けていましたが、今はスルーレートも高くて高音質のオペアンプがあるので、使ってみようと思います。
FET入力でボルテージフォロアで使えるもの、ということでMUSE8920,
入り口だけ手持ちのMUSE01をおごってみました。

電源は、0.5Aのトランスに6800μFの電解コンデンサー、、三端子レギュレータの7815,7915。オペアンプ5個に供給するので、単純計算で1個あたり最大100mAとなるが、大丈夫だと思います。

電源

抵抗はタクマン電子のREY25FY,コンデンサーはPanasonicのメタライズPPSチップ型のECHU1H333GX5にしました。
どちらも入手しやすく、安いわりに音がいいという評判です。
チップコンなど扱える環境ではないけど、小型化できるメリットがあるので、なんとかしましょう。

先代のチャンデバの時に、クロス周波数変えるのに苦労したので、CR部分をユニット化して取り外し交換できるようにしました。
それと、音量調整するところがソース源のNASにしかないので、入り口にボリュームを付けました。
内部

調整

クロスオーバー周波数をどうするか。 私の自作スピーカーの構成は
 ウーハー:FOSTEX SLE34W。多分ピストン領域は250Hzぐらい、350Hzと600Hzが盛り上がっている。
 ミッドバスは10cmフルレンジのCORAL 4A-70.600Hzに谷がある、8kHzまで比較的平坦
 ミッドハイはFOSTEX FD101、ウッドホーンはfc=400Hzとしたので、1kHz以上で使う
 トゥイーターCORAL H-105、これはLCネットワークでホーンとつなぐ。
お年寄りにしか分からないような骨董品的ユニットばかりでしょう。

ついでにパワーアンプを紹介すると
 低域 : Pioneer M-22 最近壊れたので終段をMOSFETに変えました。
 中域 : LUX A3700  真空管はKT88の3極管接続に変えてあります。
 高域 : 自作FETアンプ NJM2037というちょっと変わったIC(廃版)+MOSFET

まずはクロスを260Hzと1250Hzでお試し
ミッドバス(CORAL 4A-70)を正相接続して、ミッドハイ(ホーン)の正逆を入れ替えてみます。
音色は変わるけど、どちらがいいかは微妙。逆相のほうが少しいい感じかな。
ミッドバス(CORAL 4A-70)の1250Hzはたぶん分割振動領域だし、ホーンの音源位置ともずれているので、何が正解かよく分からない。
ウーハーの高域がまだ出しゃばっている感じ。そのせいかミッドバスの存在感がすこし薄い。
試しにウーハーを逆相でつないでみました。あれ?悪くない?いや、こっちのほうがいい。
中低域の量感が増した。逆相のはずなのに?

低い方のクロスを195Hzにしてみた。
良くなってきた。4A-70のきれいな中域が効いてる。
ヴォーカルも管楽器もなかなかいい感じで鳴ってくれる。
ウーハーはやはり逆相のほうがいい。

ミッドバスに対して低域も高域も逆相接続になってしまった。
これでは伝達関数G(s)=1にした意味がないですよ。トホホ
なにか間違ったかな?ということで色々確かめてみます。

測定

まず、チャンネルディバイダーはちゃんと動作しているか?
オシロスコープはキットで作った1現象しか持ってないので、位相のずれはうまく測れない、と思う。
そこで、各チャンネルの出力を合成して、もとの波形と比べることにしました。
まず、合成するための加算回路を作ります。

加算回
別にきちんとしたものを作る必要もないので、ブレッドボードに組みました。

自作発振器 → チャンデバ → 加算アンプ → オシロスコープ での測定結果です。
左端が発振器の波形、右端が合成波形。
 オシロ画面
素晴らしい! ソース波形とほとんど変わらない。ちゃんと出来てるではないですか。

さらに、パワーアンプも通してみた。
自作発振器 → チャンデバ → パワーアンプ → 加算アンプ → オシロスコープ での測定結果です。
上が発振器の波形、下が合成波形。
throuPA
3つのパワーアンプの出力を合わすのが案外難しい。
少し波形が乱れてきたけど、まあこんなもんでしょう。

因みに、チャンネルディバイダーのf特は下のとおり。
周波数特性グラフ
予定どおりです。フラットではないが、この回路はそういうものらしいです。
これでスピーカー手前までの信号経路は問題ないことが分かりました。

次にスピーカーからのf特をとります。マイク位置はミッドバスの少し下で50cmくらい離しました。


10kHzより上の盛り上がりと、100Hz以下のダラ下がりは、マイクの特性が影響しています。
ウーハー、ミッドバスの正相接続(青線)ではfcの200Hzから上600Hzまでレベルが下がっています。
逆相接続がいい音に聞こえるのも当たり前ですね。
fcではなく、それより上にディップがあるので話がややこしい。スピーカーの位相回転かな?


というわけで、今はウーハー逆相で聴いています。
自作にしてはいい音で鳴ってくれてると思います。
音楽ソースを変えると低中高音のバランスをいじくりたくなるのですが、
ベストバランスになっていないのか、ソースが悪いのか?

それにしても、「合成波形の忠実再現」がうやむやなままで気持ち悪い。
どなたかスピーカーの位相回転を簡単に測定できる方法を教えてください。


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