SST40 製作の詳細
2009/7/13
Last update : 2015/11/28
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2015年10月、トリマコンデンサで、CW ピッチ周波数の調整と、BFO発振周波数調整による受信通過帯域のシフトができるようにし、写真と文章を見直しました。
周波数可変範囲拡大について
キットには2つの可変容量ダイオードが付属しており、製作時に周波数範囲が2種類選択できます。今回は、2つの可変容量ダイオードをフロントパネルに追加したトグルスイッチで切り替えて広い周波数範囲を確保することにしました。
2つの可変容量ダイオード切り替え部、および、 LM386 周辺
(電解コンデンサ C15 は斜めに取り付けている)
(トグルスイッチの構造はシーソーなので、MVAM108 を上に、MV209 を下に取り付け、極性にも注意する)
周波数可変範囲拡大のため、VXO の水晶振動子とパラに 2〜4pF 程度の温度補償セラミックコンデンサを追加するのですが、それに先立ち、CW ピッチ周波数を調整しています(後述)。
2006年当時、VXO の水晶振動子とパラに追加するコンデンサは、表のように 2.5pF (5pF を 2 個シリーズ)にしました。周波数下限をさらに 7.00000MHz に近づけるためには、2.5pF と 3pF の間で調整することになりますが、例えば、4pF と 10pF をシリーズにすると計算上 2.86pF になります。
2013年における、2.5pF は測定していないのですが、夏と冬の温度差により(?)、ずれているようです。再調整の結果、最適値は 4pF でした。
測定年月 | VXO の水晶振動子とパラに 追加するコンデンサ |
周波数可変範囲 (スイッチ下側) |
周波数可変範囲 (スイッチ上側) |
備考 |
2006年 6月 |
なし | 7.01017〜7.01968MHz | 7.01799〜7.02544MHz | |
2.5pF | 7.00128〜7.01782MHz | 7.01567〜7.02520MHz | ←2006年当時設定値 | |
3pF | 6.99882〜7.01762MHz | 7.01529〜7.02521MHz | ハンダづけしてからすぐに測ったため、参考値 (時間をおいて測定するべきであった) |
|
2013年 1月 |
2.72pF (5pF//6pF) | 7.00671〜7.01939MHz | 7.01882〜7.02607MHz | フタあり |
3pF | 7.00548〜7.01908MHz | 7.01848〜7.02594MHz | フタなし | |
4pF | 6.99932〜7.01822MHz | 7.01766〜7.02592MHz | ←現状設定値、フタあり |
(注)周囲温度に影響されるようです。
CW ピッチ周波数の調整、および、BFO発振周波数調整による受信通過帯域のシフトについて
周波数可変範囲拡大に先立ち、CW ピッチ周波数を調整することにしました。C24 を交換するとCW ピッチ周波数は表のようになりました。2006年当時、47pF に設定しましたが、より 700Hz に近づけるには 43pF が最適と思われ(本機の場合)、2013年1月改造時に 43pF に交換し 720Hz 程度になりました。2015年10月に 50pF トリマコンデンサ+33pF に交換し、ぴったり 700Hz に合わせられるようになりました。
測定年月 | C24 | CW ピッチ周波数 | 備考 |
2006年6月 | 33pF | 590Hz | |
47pF | 744Hz | ←2006年当時設定値 | |
68pF | 890Hz | ||
2013年1月 | 43pF | 720Hz | ←2013年当時設定値 |
2015年10月 | 50pF トリマコンデンサ+33pF | 570〜870Hz (700Hz に設定) |
←現状 (別途 BFO 発振周波数も変更) |
C24 を 50pF トリマコンデンサ+33pF に交換(左)
C10を 50pF トリマコンデンサに交換(右)
(スペースが無いので、トリマコンデンサにリード線をあらかじめハンダ付けし、基板に取り付けた)
SST40 の BFO の発振周波数の微調整は C10 でできますが、オリジナルは 22pF の固定コンデンサであり、BFO の発振周波数とと CW フィルタの通過帯域の関係により、私の SST40 では、検波後の AF における受信通過帯域が 600〜1300Hz 程度となっていました。中心が 700Hz より上にずれていたので、500Hz 上の局の混信を受けやすい状態でした。そこで、2015年10月に、C10 を 50pF トリマコンデンサに交換し、受信通過帯域の中心を 700Hz 程度に合わせました。コンテストなどの混雑時に使いやすくなりました。調整順序としては、CW ピッチ周波数の調整前に行う必要があります。
周波数表示について
周波数表示は、Small Wonder Labs の'FREQ-mite'(Small Wonder Labs からは販売終了だが、2015/5 現在、Four State QRP Group から購入可能 )を使い、フロントパネルに追加したプッシュスイッチを押すと送信周波数の100/10/1kHzの桁がモールス音声で出力されるようにしました。
Small Wonder Labs 'FREQ-mite'
(周波数のオフセット設定は右下の10組のピンにジャンパーを挿すことにより行う)
(実際の設定と写真とは異なる)
AF信号(モールス音)取り込み部(写真中央の抵抗器)
(抵抗器の頭から取り込んでいる。'FREQ-mite'付属の 100kΩ でOK だった。)
なお、Wilderness Radio 社純正オプションの「KC1 周波数カウンタ、キーヤー」を追加すると、同様の周波数カウンター(モールス音声)だけでなく、エレキー、メモリーキーヤーの機能が追加されますが、キット購入当時、たしかエレクトロデザイン株式会社のホームページで在庫切れだったので、また、エレキーは外付けにする方法もあるので、このようにしました。2013/6 現在、エレクトロデザイン株式会社のホームページに「KC1」が掲載されており、購入可能なようです。「KC1」の詳細は、エレクトロデザイン株式会社ホームページの「ウィルドネスラジオ」→「Sierra用オプション 」をご覧ください。「KC1」の詳細は、Wilderness Radio 社のホームページにも掲載されていますので、同社から入手可能かもしれません。「KC1」を使う場合は、可変容量ダイオード切り替え用トグルスイッチのスペースも使うため、レイアウトの工夫が必要です。
スピーカ仕様について
2013年1月、スピーカ仕様に改造しました。直径 50mm のものが収まりました。位置は外観の画像を参照してください。
天板に取り付けた 50mmφスピーカ
ヘッドホンジャックからスピーカを配線するだけでなく、以下の改造をしました。AF アンプが LM386 なので小改造で済みます。
フィルタの増強
近接スプリアス低減のために、送信用ミキサの後のバンドパスフィルタを1段→2段に増強しました。効果大でした!!
増強したバンドパスフィルタの回路図
(点線で囲った部分を追加)
増強したバンドパスフィルタ
横から(写真左:右のコイルが増強したコイル)
真上から(写真中:黄色が増設したトリマコンデンサ)
下から(写真右:固定のコンデンサ3個が見える)
高調波低減のために、ファイナルの後のローパスフィルタを2段→3段に増強しました。
増強したローパスフィルタの回路図
(点線で囲った部分を追加)
ローパスフィルタを増強した部分
(ハンダ面のパターンをカットして取り付け)
以上のフィルタ増強は、十分な効果がありました。
2006年6月〜2015年10月改造前の画像を、「SST40 の過去画像」に掲載しています。
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