50MHz DSB トランシーバ ポケロクの製作
2011/6/19
Last update : 2017/5/31
ポケロクの概要
50MHz DSB トランシーバ「ポケロク」を製作しました(2010年9月完成)。
ポケロクのキットは、製作当時、キャリブレーションから発売されており、2017/5/31 現在、後継機種(パーツセット)が「50MHz QRPp DSB トランシーバ」として販売されているようです。
ポケロクの基本設計は「手作りトランシーバ入門」の著者でもある、JF1RNR 今井 OM で、CQ誌2006年10月号にも掲載されています。
出力は 20mW で、ファイナルは受信機によく使われる 2SK241 です。
DSB で運用している局はほとんど無いので交信相手は SSB 局となり、クロスモードになってしまうのですが、シンプルな回路に興味を持ち、製作と運用を楽しんでいます。
今回製作したポケロク
(ケースはタカチの SW-100B。改造してスピーカ仕様にした)
(上面の LED 2個、左側面の MIC ジャックは改造によるもの)
(左のボリウムは AF ではなく RF のアッテネータ 兼 電源スイッチ)
(文字は黒地に銀文字のネームランド)
今回の製作概要(改造点)
主な改造点は以下の通りです。
ポケロク基板
(この時点ではまだマイクゲインの半固定 VR は取り付けていない)
0.2mm 銅板を曲げてシールド板作成(左)
シールド板と 57mmφスピーカを取り付けた状態(右)
(シールド板はフタと干渉しないように切る必要あり)
今回製作したポケロクの内部
(フタにもシールドのために銅板を貼り、さらに0.2mmプラ板を貼った。基板にアース)
(左下の半固定 VR はマイクゲイン調整用)
(オリジナルより基板は高い位置にあり、基板面からフタまで 14mm しかない)
VXOについて
オリジナルの VXO は 水晶振動子が 50.200MHz、VXO コイルなしで、ポケロクの説明書には周波数可変範囲は 50.168〜50.203 MHz と書いてありました。
周波数可変範囲として、できれば50.150〜50.300MHz を確保したかったので、以下のように改造しました。
今回製作したポケロクの VXO 部分
(VXO コイルは FCZ 7S3R5 を用い、スポンジ付の両面テープで貼った)
(100pF セラミックコンデンサ× 2 は温度補償タイプ NP0 に変更)
キャリブレーションから発売されている「50.2VXO水晶」、サトー電気の 50.250MHz も試した後、CYTEC の 50.300MHz (当時新発売)を採用しました(水晶振動子はアースなし)。
状態 | 水晶振動子 | VXOコイル | 周波数可変範囲(※) | 備考 |
バラック | オリジナル (50.200MHz) |
なし (オリジナル) |
50.1698〜50.2038 MHz | 説明書には 50.168〜50.203 MHz と書いてあり、再現性が良い。 |
バラック | オリジナル (50.200MHz) |
FCZ VX3 | 50.1235〜50.1923 MHz 50.1000〜50.1897 MHz |
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バラック | 50.2VXO水晶 | FCZ VX3 | 50.3450〜50.4345 MHz 50.2555〜50.4315 MHz |
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バラック | 50.250MHz | なし | 50.2486〜50.2736 MHz | |
バラック | 50.250MHz | FCZ VX3 | 50.2149〜50.2671 MHz 50.1833〜50.2628 MHz |
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バラック | 50.250MHz | FCZ 7S3R5 ケースアースなし |
50.1495〜50.2603 MHz 50.1329〜50.2588 MHz |
コイルに手を近づけると 周波数が大きく変動する。 |
バラック | 50.250MHz | FCZ 7S3R5 ケースアース |
50.1484〜50.2527 MHz 50.1267〜50.2508 MHz 50.1000〜50.2495 MHz |
|
組立後 | 50.250MHz | FCZ 7S3R5 ケースアース |
50.1794〜50.2339 MHz 50.1500〜50.2279 MHz 50.1450〜50.2280 MHz |
|
組立後 | 50.300MHz | FCZ 7S3R5 ケースアース |
50.1476〜50.3120 MHz | ←採用 |
※:FCZ VX3、7S3R5 はインダクタンス可変のため、周波数はあくまで「例」です。
ポリバリコンで 160kHz 以上可変させており、減速機構が無いので、チューニングは難しいですが、努力すれば何とか可能です。
(オリジナルの周波数可変幅は 35kHz なので、チューニングは容易と思われる。)
水晶振動子を2種類用意し、スイッチで切り替えるとチューニングが楽になると思います。
製作後の感想
Eスポが出ると、北海道などの多数の局がスピーカから聞こえ、交信もできる FB なハンディー機が出来ました。
県内(20km 以内)や、徳島県の山の上で運用している局など、強い局だとスピーカからの音量は十分です。北海道の局も聞こえます。
回路がシンプルなせいか、受信音がとてもきれいで素朴です。
今のところアッテネータは「減衰なし」でしか使ったことがありません。もしアッテネータがないと歪む局があれば、外付けのアッテネータでも対応可能ではないかと思われます。アッテネータのスペースはファインチューニングなどに使ったほうが実用的かもしれません。
銅板のシールドは効果があるように思われ、手で持っても周波数変動がありません。
交信記録
相手局は SSB です。
「2mW」、「200μW」は、リグとアンテナの間に 10dB、20dB の外付けアッテネータを挿入して運用したものです。
20mW | 電離層反射 | 和歌山市〜北海道枝幸郡浜頓別町 (2012/6/10 距離更新) |
約1330km |
20mW | 地上波 | 和歌山市〜徳島県那賀郡那賀町 (2010/11/14) |
約80km |
2mW | 電離層反射 | − | − |
2mW | 地上波 | 和歌山市〜徳島県名東郡佐那河内村 (2011/2/6) |
約75km |
200μW | 電離層反射 | − | − |
200μW | 地上波 | 和歌山市〜兵庫県洲本市 (2011/8/21) |
約27km |
1000km 以上飛ぶことが分かりましたので、次は海外をねらいます。
ポケロク関連リンク
JF6LIU 「アマチュア無線ホームページ CQCQCQ.ORG」・・・50MHz DSB 20mWトランシーバ(ポケロク)
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