CQ誌付録基板を使った 7MHz CW 送信機 あゆ40 の製作
2011/6/24
Last update : 2017/5/21
2016/9/19、500 QSO に到達しました。
あゆ40 のみで、JARL創立90周年記念アワード全賞達成 (2016/5/23 掲載)
あゆ40 のみで、JARL創立90周年記念アワード全賞達成し、記念オーナメントを取得しました(2016/5/21 到着)。特記は「7MHz-CW-QRPp」となりますが、あゆ40 以外での交信は含めませんでした。
また、アワードのうち「90賞」(90の異なる局との交信(受信)を行う。)については、「創立90周年の特別記念局との交信(受信)は、バンドが変われば異なる局とみなし、また9局分として数えることが出来る。」の規定は使わず、異なる90局と交信しました。
交信頂いた局、ありがとうございました。
あゆ40 とJARL創立90周年記念アワード全賞達成記念オーナメント
JARL創立90周年記念アワードの交信(受信)有効期間は、2015年6月12日00:00〜2016年6月11日24:00 JST、アワードの申請受付期間は、2016年12月31日までとなっています。
ある程度以上のアクティビティの方でしたら、QRP 特記であっても達成はそれほど難しくないと思いますが、QRPp の「あゆ40」だけですと、少し意識した運用が必要でした。
あゆ40の概要
CQ誌 2009年7月号付録基板を使った 7MHz CW 送信機「あゆ40」を製作しました(2009年8月完成)。
2013年2月に VXO 等を改造しました。
2009年8月〜2013年2月 VXO 改造前の画像はこちら。
この企画では、基板が雑誌の付録であり、必要な部品は自分で調達するか、マルツパーツ館が当時販売していた「7MHz CW QRP送信機 製作部品基本セット」(基板なし)を利用するというものです。穴あけ加工済みの「7MHz CW
QRP送信機製作キット専用アルミケース」も用意されていました。私は「製作部品基本セット」は利用し、ケースは別途調達しました。
2016年4月現在、マルツパーツ館のウェブサイトによると、製作部品基本セットは基板がついて「7MHz CW QRP送信機 製作部品基本セット基板付き」として販売されておりますが、「7MHz CW QRP送信機製作キット専用アルミケース」は販売終了しているようです。
この送信機は、JF1RNR 今井 OM の設計であり、「作りながら理解するラジオと電子回路」にも掲載されています。
発振・ファイナルの2ステージというシンプルな構成で、出力は 200〜300mW です。
基板は写真のようにかなりゆったりしており、トロイダルコイルを巻くのを慎重にすれば、初心者にも作りやすいのではないかと思います。
あゆ40 基板
(フルブレークインのパーツも取り付けた)
(今回の製作では左端の水晶振動子、トリマーコンデンサは基板に取り付けない)
CQ誌でケーシングコンテストをしていたので応募したところ、入賞こそしませんでしたが、CQ誌 2010年3月号に掲載して頂きました。
QRPの素朴さ、シンプルさを強調するため、専用ケースより一回り小さいアルミケース(テイシン TC-110:W80×D110×H30・・・QSLカードの面積比60%の大きさ)に収納しました。
今回製作した あゆ40
(テイシン TC-110 に収納した)
(スイッチ類は左から、キャリブレーション、送信表示 LED、水晶切り替え、チューニング)
(チューニングツマミは、サトーパーツのメタルツマミ K-59-S-AG を使用)
今回製作した あゆ40 リアパネル
(左から、電源ジャック2個、受信機、電鍵、アンテナ)
(電源ジャックが2個あるのは、たこ足配線用)
今回の製作概要(改造点)
今回の製作概要は以下の通りです。
苦労点としては小さいケースに詰め込むことと VXO の調整です。しかし、「小さいケース」については、後から考えると、ポケロクなどのその後の製作と比べるとゆったりしたものでした。
出力は 280〜300mW になりました(2009年当時は、260〜290mW)。
今回製作した あゆ40 内部 (2013/2)
(付録基板以外にFCZ基板を増設した:写真の下のほう)
VXOについて
オリジナルの VXO は 水晶振動子が 7.000MHz、VXO コイルなしで、基板上のトリマーコンデンサで周波数を変化させることができます。CQ誌の説明文では、周波数可変範囲の一例として 7.0006〜7.0034 MHz と書いてありました。トリマーコンデンサなので、ケースに穴をあけて運用時にドライバーで変化させるのもひとつのやり方ですが、使いやすさと耐久性を考慮してポリバリコン(20pF)を使って周波数可変としました。
2009年当時は、オリジナルの 7.000MHz 水晶振動子を用いたLなしVXOと、7.030MHz 水晶振動子を用いたLありVXOとがトグルスイッチで切り替えられるようにしました。当時の画像はこちら。
2009年当時の結果として、7.0004〜7.0024 MHz と 7.0164〜7.0295 MHz で運用可能になりましたが、7.003 MHz もだめだし、真ん中あたりが無くていまひとつでした。周波数が低いほうの水晶振動子を 7.015 MHz くらいに替え、Lありにして上手く調整すれば、7.003 MHz あたりから真ん中あたりがカバーできる可能性があります。サトー電気のウェブサイトを見ると 7.010 MHz の水晶振動子はありますが、7.015 MHz の水晶振動子は無いようです。7.015 MHz の水晶振動子は Small Wonder Labs の 7015 kHz 仕様の Rock-mite に使われているので、Rock-mite を違う周波数で作り、7.015 MHz の水晶振動子を余らせれば、この用途に使うことができます。
2013年2月の改造では、7.015MHz(上記のように Rock-mite から転用)および 7.030MHz の水晶振動子をトグルスイッチで切り替え、それぞれLありとしました。両方で 7.0000〜7.0298MHz がカバーでき、良好な結果となりました。
今回製作したあゆ40 VXO (2013/2)
(写真左:水晶振動子2個、スイッチ、ポリバリコン、VXO コイル、トランジスタ等の全景)
(写真右:スイッチ側から見たところ)
水晶振動子@(周波数が低いほう)の周波数可変範囲は以下の通りです。2009年当時の行をご覧いただくと、オリジナルの周波数可変範囲例と比較して、高いほうの範囲が狭まっています。オリジナルの回路に使われている
VXO 用のコンデンサは基板上のトリマーコンデンサであり、変更後は基板からビニル線で配線したポリバリコンなので、最小容量の違いと配線の浮遊容量が影響したものと思われます。配線を切りつめても残念ながら
7.003 MHz にはなりませんでした。
2013年2月の改造では、前述のように、Rock-mite から転用した 7.015MHz の水晶振動子を用い、Lありとしました。
測定年月 | 水晶振動子 | VXOコイル | 水晶振動子とパラのC | C1,C2 | 周波数可変範囲(※) | 備考 |
2009年 8月 |
7.000MHz | なし | なし | オリジナル | 7.0004〜7.0024 MHz | 発振しないことがある |
両方150pF | 7.0004〜7.0024 MHz | ←2009年当時採用 | ||||
2013年 1〜2月 |
7.015MHz | FCZ 7S1R9 +22μH +10μH |
4pF | 両方150pF | 6.9440〜7.0135 MHz | |
なし | 両方150pF | 6.9952〜7.0137 MHz | ||||
FCZ 7S1R9 +22μH +4.7μH |
なし | 両方150pF | 6.9999〜7.0135 MHz | ←採用 |
※:FCZ 7S1R9 はインダクタンス可変のため、周波数はあくまで「例」です。
水晶振動子A(周波数が高いほう)の調整状況は以下の通りです。
2009年当時は、Lだけでなく水晶振動子とパラにCを追加して可変幅を拡張したり、発振が停まることがあったので、C1、C2の変更も行いました。思っていたより手間がかかりました。
可変範囲の下側を 7.013MHz 程度に拡大すると、可変範囲が大き過ぎるのか、周波数が飛ぶなど、部分的に動作がおかしくなります。2013年2月の改造では、7.030MHz の水晶振動子をイギリスの Kanga Products から購入したものに変更すると、上手く動作しました
(この回路ではそのような結果だったという意味で、同社の水晶振動子のほうが優れているという意味ではありません)。
測定年月 | 水晶振動子 | VXOコイル | 水晶振動子とパラのC | C1,C2 | 周波数可変範囲(※) | 備考 |
2009年 8月 |
7.030MHz (サトー電気) |
FCZ 7S1R9 | なし | オリジナル | 7.0294〜7.0303 MHz 7.0289〜7.0301 MHz |
|
FCZ 7S1R9 +47μH |
なし | オリジナル | 不安定 | バリコンを左に回したり、 7S1R9のLを大きくすると 発振が停まる |
||
FCZ 7S1R9 +22μH +10μH |
なし | オリジナル | 7.0273〜7.0298 MHz 7.0260〜7.0296 MHz |
|||
FCZ 7S1R9 +22μH +10μH |
5pF | オリジナル | 7.0262〜7.0298 MHz 7.0196〜7.0296 MHz |
発振しないことがある | ||
FCZ 7S1R9 +22μH |
5pF | オリジナル | 7.0281〜7.0298 MHz 7.0262〜7.0297 MHz |
周波数の上のほうで 発振が停まることがある |
||
FCZ 7S1R9 +22μH |
5pF | 両方150pF | 7.0280〜7.0298 MHz 7.0258〜7.0297 MHz |
安定して発振 | ||
FCZ 7S1R9 +33μH |
5pF | 両方150pF | 不安定 | 発振しないことがある | ||
FCZ 7S1R9 +22μH +10μH |
5pF | 両方150pF | 7.0264〜7.0298 MHz 7.0164〜7.0295 MHz |
←2009年当時採用 |
||
2013年 1〜2月 |
7.030MHz (サトー電気) |
FCZ 7S1R9 +22μH +10μH |
5pF | 両方150pF | 7.0128〜7.0292 MHz | 可変範囲が大きいのか 周波数が飛ぶなど 部分的に動作がおかしい |
4pF | 両方150pF | 7.0190〜7.0294 MHz | この範囲なら動作正常 | |||
7.030MHz (Kanga) |
4pF | 両方150pF | 7.0127〜7.0298 MHz | ←採用(動作正常) |
※:FCZ 7S1R9 はインダクタンス可変のため、周波数はあくまで「例」です。
マイクロインダクタについては、2個で 22μH+10μH=32μH なら良好なのに、1個で 33μH のマイクロインダクタを使った場合は結果が良くなかったです。推定原因として、今回使った 33μH のマイクロインダクタは、7MHz 前後で並列共振をしているなど、うまくインダクタとして動作していなかったのではないかと考えられます。
2009年8月〜2013年2月 VXO 改造前の画像を、「あゆ40 の過去画像」に掲載しています。
交信状況
交信回数は 510 回以上で、日本全国に加え、以下の国・地域と交信できました(2017/5/21 現在、交信順)。
海外は限られています。
Asiatic Russia United States of America Republic of Korea Canada |
出力の点では、0.3W なので、FT-817 の 5W や SST40 の 2W と比べて、差が感じられます。
距離や電波伝搬状況などに大きく影響されるようです。
Copyright (C) 2011-2017 by MATSUMOTO Koichi, JN3DMJ