当局のアンテナ
2011/7/19
Last update : 2018/11/25
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当局のアンテナ(VX4000、A430S10R ×2、UMX42A、8バンドダイポール)は 2018/9/4 に襲来した台風21号の影響で倒壊しましたので、現在は無事だったアンテナと、仮設の8バンドダイポールで運用しております。
全般(2018/5〜)
2018/3/1 に台風並みの低気圧が襲来し、CP-6 が破損したため、アンテナを全体的に見直しました。
目玉は 7MHz フルサイズダイポールのはずなのですが、エレメントが長い分、高さが低い(屋根に近い)からなのか、調整が甘いからなのか、今のところ、既設の
8バンドダイポールの 7MHz に負けています。
もともと CP-6 を設定していた位置には、COMET の GP-15 (50/144/430MHz の GP:グランドプレーンアンテナ)を設置しました(7MHz ダイポールと共に 2018/4/28 設置)。
GP-15 を選んだ理由としては、14/21/28MHz は、メインが UMX42A、バックアップが 8バンドダイポールで足りており、7MHz
も2本あるので、足りないのは 50MHz の垂直偏波となり、50MHz の GP を選ぶにあたり、144/430MHz 付きにしたというわけです。50MHz
垂直偏波アンテナにこだわる理由は、QRPp 自作機などで、地上波により交信するとき、水平偏波(UMX42A)と垂直偏波のうち、良い方に切り替えるためです。
GP-15 の 50MHz のラジアルは容易に調整可能で、50.0〜51.2MHz がカバーできるように調整しています。GP-15 の垂直エレメントは継ぎ目がないので、50/144/430MHz
の GP として、おすすめできます。
144/430MHz において、VX4000 より高性能と思われる GP-15 を最も高い VX4000 の位置にしたいところですが、ラジアルが
A430S10R ×2 や UMX42A に干渉するかもしれないと考え、こうなりました(VX4000 はラジアルが無い)。
ちなみに GP のようなアンテナとしては、2002年までのアパマン時代はノンラジアルのモービルホイップ、2003年からは VX4000 を長く使っておりますが、本当の
GP を設置するのは今回が初めてです。
なお、上記低気圧の影響で、UMX42A も A430S10R ×2 にからまるほど傾いたので、2018/5/26 に補修しました。
当局のアンテナ(2018/5/26〜)
(左:GP-15、7MHz ダイポール)
(中央:上から VX4000、A430S10R ×2、UMX42A、8バンドダイポール)
(右奥:EH-V160ve)
種類 | メーカー、型番 | 周波数帯 | 地上高 |
ノンラジアルバーチカル | DIAMOND VX4000 | 144/430/1200MHz | 13m |
10ele×2 YAGI | DIAMOND A430S10R ×2 | 430MHz | 13m |
2ele ミニビーム | ミニマルチアンテナ UMX42A | 14/21/28/50MHz | 12m |
8バンドダイポール | DIAMOND W-8010 +サガ電子工業 MT-WARC のエレメント |
3.5/7/10/14/18/21/24/28MHz | 10m |
グランドプレーン | COMET GP-15 | 50/144/430MHz | 9m |
ダイポール | 自作 | 7MHz | 9m |
EH アンテナ | エフアールラジオ・ラボ EH-V160ve | 1.9MHz | 8m |
当局のアンテナのマストはグラス・ファイバー工研のスーパーフィールドポール、ステーは同社デべグラスワイヤーを使っています。
HF ミニビーム UMX42A
ミニマルチアンテナ UMX42A は 14/21/28/50MHz の4バンドですが、14MHz の2エレと 21/28/50MHz の2エレを組み合わせたものです。エレメント長 3.63m、ブーム長 1.7m、重量 10kg なので、14MHz を含むHF ミニビームとしては世界最小と思われます。デュアルラジエータを採用しているのでサイズの割にはバンド幅が広い特徴があります。
HF ミニビーム UMX42A
(上部には 430MHz 10エレスタック)
説明書は34ページもあり、アンテナ設置のノウハウが満載されています。ウェザーコートや導電グリスも付属していました。
アンテナにはフェライトコアが2個付属しており、ビーズ式バランとして使用することが推奨されています。アンテナ注文時に同軸ケーブルのサイズを聞かれましたが、これが理由のようです。
UMX42A の給電部
(左:同軸ケーブル(8D-2V)にフェライトコア2個を通したところ)
(右:給電部に同軸ケーブルを接続しテーピング処理後)
当局の UMX42A の VSWR 特性を例示します。UMX42A は組み立て時に 14MHz 帯を CW 用にするか SSB 用にするか選択しますが、CW 用にすればディジタルもカバーできそうなので CW 用を選びました(それぞれの組み立て位置にビス穴が開いており、中間位置は想定していないようです)。UMX42A に調整個所はありません。説明書通り組み立てて、十分な高さに上げれば表のような VSWR 特性が得られるのが素晴らしいです。
(単位:MHz) | 晴れ 17℃ | 雨 11℃ | ||
VSWR≦1.5 | VSWR≦2.0 | VSWR≦1.5 | VSWR≦2.0 | |
14MHz帯(CW用を選択) | 14.033〜14.193 | 14.010〜14.234 | バンドエッジ〜14.090 | バンドエッジ〜14.130 |
21MHz帯 | バンドエッジ〜21.205 | バンド全体 | バンドエッジ〜21.091 | バンド全体 |
28MHz帯 | バンドエッジ〜28.910 | バンドエッジ〜29.016 | バンドエッジ〜28.779 | バンドエッジ〜28.934 |
50MHz帯 | バンドエッジ〜52.45 | バンドエッジ〜52.70 | 詳しく測定していないが50〜52MHzでOK |
表より、エレメント長の割にバンド幅が広いこと、雨の影響が比較的小さく、使いやすいことが分かります(他社製ミニビームの中には雨の影響が大きい機種があるらしいです)。
UMX42A は2エレかつエレメント長が短いのですが、ビームアンテナの魅力を堪能できます。大圏コース地図を見ながらビームを回すと、ノイズの中から目的の信号が浮かび上がってくる感じです。
(以下は2012年に記載)
最近はヨーロッパ方面との交信に力を入れていますが、特に 21MHz の飛びが良いようで、例えば QRP(5W) の CW で Sweden,
Lithuania, Germany, Romania, Croatia, Cyprus などと交信できています。JT65(出力5W) も含めると
France, Austria, Slovenia, Spain, Canary Is., South Africa とも交信できました。もちろん北米、南米も
OK です。中米(カリブ含む)、アフリカ、中近東と QRP でどこまで交信できるかが課題です。
8バンド ダイポール (2014/5〜)
2014/5、 サガ電子工業 MT-WARC(10/18/24MHz)を、8バンドダイポールにグレードアップしました。これは、DIAMOND W-8010 (3.5/7/14/21/28MHz)に MT-WARC のエレメントを追加したものです。エレメントは8本で、18MHz 以上がフルサイズとなります。エレメントは2本ずつまとめて圧着端子を付け直し、バランに接続しました。すべて、屋根の上に設置したのですが、3.5/7/21MHz のエレメントは両側で約 19.2m あるため、Z字に曲げて設置しています。
W-8010 のコイル、バラン(左)と 8バンドダイポールの給電部(右)
VSWR特性とバンド幅を示します。ほぼ1日かかりましたが、概ね目的の周波数に合いました。
8バンドダイポールのVSWR特性
8バンドダイポールのバンド幅(kHz)
Band | VSWR≦1.5 | VSWR≦2.0 | VSWR≦3.0 |
3.5MHz | 39 | 58 | 90 |
7MHz | 100 | 170 | 260 |
10MHz | 150 | 250 | 460 |
14MHz | 380 | 550 | 980 |
18MHz | 1200 | 2100 | 3000 |
21MHz | 500 | 1300 | 2200 |
24MHz | 870 | - | - |
28MHz | 2000 | - | - |
放射パターンは多少乱れているのかも知れませんが、1つのアンテナで8バンドに出られるというのは夢のようです。14/21/28MHz は UMX42A がメインなので、3.5/7/10/18/24MHz のメインアンテナとして使ってみようと思います。
160m EHアンテナ EH-V160ve (2012/10〜)
2012/10、エフアールラジオ・ラボの EH-V160ve を設置しました。
同社の垂直偏波型 EH アンテナ「V シリーズ」の 160m バンド用としては、EH-V160 などがありますが、160m バンド用としては超小型とは言え、長さ 4.2m、質量 11.5kg なので、今回 EH-V160ve を設置した位置(一戸建て2階のベランダから屋根の上に突き出す)への設置は難しいと考えました。新製品である EH-V160ve は、カタログには「アパマンハム専用」とありますが、長さ約 1.6m(標準)、質量 4.5kg 程度なので、設置可能と判断しました。下の画像のように、エレメントと位相遅延コイルユニットを一直線に垂直に設置しましたが、マンションのベランダなど、上方に障害物がある場合でも設置できるよう、エレメントは垂直だが、位相遅延コイルユニットは水平に設置することが可能です。そのように設置した画像が、CQ誌2012年10月号(表紙とユーザーレポート)に載っています(80mバンド用の EH-V80ve ですがほぼ同じ外観)。
EH-V160ve の耐入力は、SSB・CW で 100W ですが、当局は QRP なので余裕です。EH-V160ve では周波数調整用のリモコンが標準でついており(ちなみに
EH-V160 は別売)、同軸ケーブルに DC±12V を重畳しているので別途コントロールケーブルが不要である点が便利です。
なお、「V シリーズ」には接地が必要です(当局の接地極は後述しますが、ここまで本格的な接地極が必要というわけではありません)。ポールにスーパーフィールドポール(非金属)を使用したせいか、若干エレメントの長さを調整する必要がありました。最終的にシャックで測った
VSWR は 160m アマチュアバンド全域で 1.05 以下となりましたが、同軸ケーブル(雷サージプロテクタのアンテナ側)にパッチンチョーク(大)6個を設置するなどの工夫をしました。いずれにせよ、一般的な
HF のアンテナと比較して、調整は容易でした。
160m EHアンテナ EH-V160ve
(エレメントは自宅と近隣の屋根の頂上より上に出ている)
(エレメントと位相遅延コイルユニットとの合計の長さは約 1.6m (標準))
(位相遅延コイルユニットを横向きに設置することも可能)
付属のリモコンでアマチュアバンドの下限から上限まで周波数が移動できますが、周波数を(例えば 1.910MHz に)合わせた時のバンド幅(VSWR≦2.0)は
26〜29kHz 程度あるので、1.810〜1.825MHz の間、または、1.9075〜1.9125MHz の間においてはリモコンでの微調整は不要です。
受信の感想は、ノイズが少なくて聞きやすく、国内については感度も十分です。
設置して 5 年半になりますが、QRP 5W 以下での交信回数は 370 回以上になります(2018/6/15 現在)。
国内各地に加え Asiatic Russia、Republic of Korea と交信できており、非常に満足しています。
当局の接地極
2002年に自宅新築時、アンテナ用のために、電気工事屋さんに接地工事をしてもらいました。
スペックとしては「避雷針用接地極同等仕様、接地抵抗10Ω以下、銅板使用」でお願いしたので、写真の銅板 2枚に加え、接地棒を 37本を埋めてもらい、接地抵抗は
5.5Ωになりました。
EH-V160ve 用の接地としての用途に加え、同軸避雷器などの接地に使っているので、当局のアンテナのアース側は直流的にはこの接地極に接続されています。
当局の接地極に2枚使っている銅板
(900×900×1.5mm)
リグの雷対策としては、使うとき以外は同軸ケーブルを抜くことにより、アンテナ系とリグを分離するようにしています。
当局の過去のアンテナはこちら。
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