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いそかわキッズクリニック 

礒川 利夫

新生児のいるお母さんへ

御出産おめでとうございます。実際に育児をやってみていかがでしたか?育児書の情報に惑わされすぎず、実際の赤ちゃん自身を見てください。育児は100正しいというものはないので、基本的に、ミルクの飲みや機嫌が良ければ、お母さんが一番正しいと思う育児をしてください。
新生児の不機嫌の原因ですが、暑い、抱っこ、オムツ等、まずミルク以外の原因を考えてください。特に乳児は、首が短く、熱が逃げにくい体の構造になっていて、暑がりです。泣くとさらに暑くなり、不機嫌になります。手足が冷たいのは、冷え性でなく、熱が逃げにくい構造になっています。くしゃみやしゃっくりも暑くて汗をかいて、汗がひく時に出るので、暑いのです。薄着を心がけましょう。どうしても不機嫌な場合、車に乗ると振動で寝てくれたり、心臓の音を聴かせるとお腹にいる時の様に落ち着く事もあります。今の時期は不機嫌でも、とりあえずミルクを飲ませれば、機嫌が直ります。
育児が辛いかどうかは、睡眠がとれるかどうかです。夜寝やすい環境を作ってください。
例えば、

1 昼夜逆転しやすいので、夜寝る時は、豆電球も消して部屋を真っ暗にする。
2 授乳が4時間開くと1回の夜間授乳で済むので、間隔を最低3時間はあける。
3 夜中ぐずぐず起きないように、夕方から寝るまであやして起こしておく。
4 寝ゴザ類を敷く等、布団が暑くならないように工夫する。
5 寝る前に湯温38度やシャワーのお風呂に入って、湯冷ましではなく、母乳とミルクを飲んで寝る。等です。
授乳の基本は、母乳ですが、母乳の後ミルクを足す混合栄養を勧めています。混合栄養のメリットは、足りないのではという不安がなくなります。母乳には、子宮を収縮して産後の回復を早め、体重も元に戻し、経済的で、免疫もあります。しかし、あまり母乳にこだわりすぎると、足りているか、母乳育児にしなければならないという固定観念は、マタニティーブルーの原因になります。母乳育児は、離乳食を食べない事や、夜間まとまった時間寝ない事のデメリットが多いです。
母乳が出ているかどうかは、体重の増え方と3時間以上授乳間隔が開くかどうかです。母乳を増やしたい場合は、毎回吸わせることと、飲んだ後搾乳して、空っぽにすることです。母乳が残っているとお母さんの体が母乳を作らなくていいと考えます。口角に触れると口を開けたり、吸啜したりするのは、原始反射なので、空腹なわけでも、ミルクをあげないといけないわけでもありません。十分な量のミルクを飲んでも12時間しか開かない場合は、ミルク以外の原因を考えてください。
授乳時間は、母乳が本当に出ているのは、23分なので、5分もあげれば十分で、もう片方5分、ミルク5分で、トータルで10分〜15分で、終わるように心がけてください。哺乳瓶も時間がかかる場合は、穴を大きくしたり、乳首のサイズを大きくしたり、出やすい乳首にしたり等工夫してください。熱いと嫌がるので、温度も3536℃にしてください。23ヶ月の吸啜反射のある時期に、哺乳瓶も使えるようにしていた方が、ちょっとお父さん等に預ける場合も便利です。
お風呂の温度は38度の低めやシャワーがいいです。熱いお風呂は、お風呂嫌いや、夜寝ない原因にもなります。寝ている間にかなり汗をかくので、朝もシャワーなどで汗を落としてください。入浴剤、湿疹の原因になるので、使わないでください。ニキビの様な湿疹ができるので、顔も石鹸で洗って下さい。
赤ちゃんの湿疹は、基本的に汗によるかぶれです。湿疹がある場合は、暑くて汗をかいているので、薄着にするなり、暖房を控えたり、寝ゴザを敷いたり工夫してください。お尻拭きは、アルコールや消毒薬がついているので、擦らず押さえるようにして、家では、シャワーや洗面器等で洗い、押える様にして拭いてください。
便ですが、機嫌が良くて、吐かなくて、飲みもよければ、心配ないです。12日でなければ、食べた後と寝た後が出やすいので、朝おきてミルクを飲んだ後、綿棒にオイルをつけて肛門を刺激してください。便秘も症状がなければ慌てなくていいです。真っ赤な顔をしてうなっているのは、便秘でなく暑いのです。母乳やミルクの便は、軟便ですが、回数が多くなければ、下痢ではないです。
向き癖ですが、顔の向きだけを治すのは難しいので、バスタオルやクッション等で、体ごと横にしてください。向き癖は、頭が変形したり、股関節が固くなったりする事があります。自分で体位も変えることができなくて、寝返りもできないので、抱き癖ではなくて、背中が暑くて、抱っこして欲しいと不機嫌になります。
予防接種ですが、生後2ヶ月になったらヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、ロタを接種して、3か月から4種混合とBCGを接種してください。生後6週目からロタウィルスワクチンが開始します。嘔吐で水分がとれなくて、点滴や入院が必要な場合や、お母さんもつわりや嘔吐下痢で嘔吐したことがありますが、かなりつらいのと、感染すると稀に痙攣をおこします。保育園で流行することも多いので、必ず接種しましょう。本人は、6か月からですが、家族の人はインフルエンザワクチンを接種しましょう
最後に、お母さんの免疫が移行しているので、お母さんと同じ程度に風邪やインフルエンザになります。家族の人が、風邪やインフルエンザにならないように気をつけてください。発熱があっても、機嫌がよくて、食欲もあって、夜寝ていれば、あまり心配はいりません。電話相談のシャープ8000や、姫路の292-4874や、インターネットで小児科学会の子供救急のホームページもあります。地域の小児救急のシステムや、予防接種や、こどもの病気の基礎知識も調べておいてください。
実際に、新生児をたくさん診ている小児科医が、日頃思うことを書きました。少しでも育児に悩むお母さんの参考になれたらと思います。あまり頑張り過ぎず、神経質にならないようにおおらかな持ちで、育児を楽しんでください。