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平成296

保護者各位

いそかわキッズクリニック

礒川 利夫

園医のごあいさつ

初夏の候、保護者の皆様には益々ご清祥のことと存じます。

保護者の皆様は、仕事に子育てに忙しい日々を送られていることと存じます。通園されると、子供さんが風邪にかかることも多いですが、入園後1年で免疫ができてくると、風邪にも罹りにくくなってきますので、もうしばらく辛抱してください。昨今、ご両親共に仕事をされているご家庭が多く、子供さんが病気の場合でも、お仕事を休めないのが実情です。子供さんが病気になり、また保護者の方のご都合も調整しなければならないという様な事を防ぐためにも、病気に対する予防が重要です

今回、この機会に、感染症予防に対する予防接種、生活習慣登園基準についてお話しさせていただきたいと思います。予防は、規則正しい生活や睡眠、うがい手洗いマスクの着用、予防接種の接種や薄着、登園基準を守る、受動喫煙の防止等が中心になります。

@まず、うがいや手洗いの効果は15分といわれているので、30分〜1時間毎、頻回に行った方がいいのですが、無理な場合もあるので出来るだけするように心がけてください。特に、11月から5月までのインフルエンザの流行期は、うがい手洗いやマスクをしてください。2歳から手洗い、3歳頃からうがいもできるようになり、熱心にうがい手洗いをしている園では、風邪やインフルエンザ等の感染症の流行も少ないです。マスクは、暑いので嫌がりますが、加湿にもなりますし、特に咳のある時は、エチケットとしてマスクをしましょう。乾燥するとウィルスが飛ぶので、加湿しましょう。

A規則正しい生活と睡眠です。近年は共働きの家庭が多く夜型の家庭が多いので、睡眠不足の園児が多いです。夜、寝付かない場合は、電気や豆電球が点いていないか、布団や寝間着が暑くないかを確認してください。豆電球が点いているだけでも、ちょっとした事ですぐに起き、いい睡眠が得られません。布団を蹴飛ばして、汗をかいて動き回っているのは、布団や寝間着が暑く、運動している状態と同じなので、交感神経が優位になって寝つけません。夜泣きも暑いと泣いていることが多く、泣くとさらに暑くなるので、いつまでも泣いています。睡眠不足の場合、寝起きが悪く、保育園で風邪をもらいやすいですし、腹痛頭痛・咽頭痛・蕁麻疹・吐気・筋肉痛・関節痛・乗り物酔い等の自律神経症状や朝食欲がなかったり、排便がなかったりします。できるだけ早く寝かせることを継続し、睡眠環境を整えて、良質な睡眠を心がけましょう。

B大事なのが排便でおむつの場合は、の誕生日までに取れていたおむつが、紙おむつでは、を過ぎてもとれていません。特に夏場は、紙おむつはナプキンの様に蒸れますおむつは容量が限られているので、全部が出ず、便秘になります。食後と寝起き、特に朝食後が出やすいので、出なくても食後は便座に座る習慣をつけましょう。朝排便をしないと腹痛や頭痛を伴ます。トイレの快適さを知らないだけなので、2歳過ぎたらトイレトレーニングをしましょう。おむつだと温泉もプールも入れません。下痢も15回以上、園で3回以上排便があれば、呼び出されます。病気を予防し、賢いこどもを育てる為にも、「早寝早起き朝ごはん、朝の排便の規則正しい生活の継続が大切です

C薄着も大事で、汗で濡れるのが一番冷えます。子供の手足が冷たいのは、冷え性ではなく熱が逃げない構造で、首も短く、いつも動いているので、子供は暑いのです。昔は、年中半袖半ズボンの子どもがたくさんいました。汗は老廃物が酸なのでかぶれて、乾燥肌やアトピー性皮膚炎にもなります。汗でお腹が冷えると、腹痛・頭痛・嘔吐・蕁麻疹・くしゃみ・鼻水・しゃっくり・筋肉痛・関節痛・全身倦怠感の自律神経症状の原因になります。

Dお腹が冷えると自律神経症状出やすくなるので、氷・アイス・水筒を凍らすのは、やめましょう。お腹を冷やすと夏バテ・夏痩せの原因にもなります。

Eお風呂上りに赤くなる痒くなるのは火傷です。お風呂につかるのは日本人だけなので、外国人よりかさかさしやすいです。乾燥肌やアトピー性皮膚炎の方は、シャワーだけで洗ってすぐ出るようにしましょう。入浴剤の使用やナイロンタオルで擦るのもやめましょう。

F予防接種は、死亡したり後遺症が残ったりする病気に対して開発された経緯があります。メリットとしては、感染症にかかりにくい上、病気になっても症状が軽く抑えられます。入園までに済ませておくのが望ましいのですが、未接種の方は、今からでも接種していただけたらといます。通園していると、完全に咳や鼻水が無くなることは少ないので、少しくらいの咳や鼻水があっても、元気で食欲もあれば、予防接種は可能です。1歳までに18回、2歳までだと27回も接種しなければなりませんので、同時接種をお勧めします。同時接種の方が予防接種の後が少なくなるので、副作用も少ないです。

VPDという言葉をご存じでしょうか?Vaccine Preventable Diseasesの略で、予防接種で防げる病気のことです。在園中に、かかった方がいい病気はありませんし、感染症にかかると登園もできませんし、遠足や発表会や卒園式等の園の行事に参加できません

任意予防接種は、姫路市の補助や健康保険が使えないので有料すが、子供さんが、予防接種をしないまま発症すると、症状が重くなったり、合併症をともなったり、約1週間保育園を休むことを考えれば、接種しておいた方がいいです。特に「おたふく風邪」・「水痘」・「インフルエンザ」の予防接種率が低いと保育園で流行します。海外では、予防接種しないと小学校はもちろん保育園にも入園できません。日本は予防接種後進国で、定期接種が当たり前の予防接種も任意接種のままです。やっとB型肝炎が定期接種化されました。

G子どものタバコの致死量は半分から1本で、猛毒です。タバコの煙はPM2.5で、中耳炎や肺炎や風邪をひきやすくなります。タバコの炎が赤いのは不完全燃焼なので、一酸化炭素中毒で練炭自殺と同じです。タバコは老化物質で、美容にもよくないし、寿命や健康寿命を短くし、寝たきり期間が長くなります。失明や難聴や味覚障害・嗅覚障害・触覚障害等、五感に悪影響を及ぼします。タバコは発癌物質で、1本喫煙すれば必ず癌細胞ができていて、自分の免疫で除去できないと癌を発症します。女性は受動喫煙でも肺癌になります。

H登園基準についてす。通園していると、園で感染症等をもらったとか、行事があるが感染するので登園させてくれないという苦情が出ます。

1まず発熱の場合ですが、37.5℃以上を発熱とします。電子体温計は、短時間で測れるのですが予測値なので、高めに出ることもあります。高めに出た場合、まず実際に触って暑くないかどうか確認してから、電子体温計以外の体温計で再測定することをお勧めます。朝解熱しているからといって登園すると、園で熱が出ましたと呼び出しを受けたり、他の園児に感染したり、逆に他の園児から別の風邪をもらいます。1日は熱が無く、元気なのを確認してから登園してください。

2全身状態ですが、園児の普段からの様子をみます。食べなくなったり話さなくなったり、遊ばなくなったら重症であるとするバロメーターを持つことが大事です。

3食事です。朝食は登園できるかどうかのバロメーターですので、朝に食欲があるか、元気かどうか確認してください。朝食事ができないような状態では、園では預かってくれません。腸炎の場合は、1日しっかり食べられるのを確認してから登園してください。食欲もないのに登園させると、給食食べられなかったり、嘔吐したり、他の人にうつしたり、また別の風邪をもらいます。晩ご飯から朝ご飯まで12時間以上間隔が空きます。朝ご飯は三食の中で一番大切な食事です。子供は予備能が少ないので低血糖にもなります。朝ご飯を摂らないと脳や筋肉に糖分が充分行かないので、体も脳も目覚めず、眠くて元気が出ません。

I最後に、現在の小児救急医療を取り巻く環境は、現場で働く医師の疲弊や全国的な医師不足からくる医療機関の救急業務からの撤退など、非常に厳しい状況にあります。朝までやっているのは、兵庫県も姫路と神戸と阪神北の3か所だけになっています。急病センターの夜間休日の患者数の増加と医師不足により、姫路市の小児救急も崩壊寸前で姫路市夜間・休日急病センターも診察時間が朝530分までに短縮しています。

まずは、こどもの救急ホームページ(http://kodomo-qq.jp/)や、兵庫県小児救急医療電話相談(#8000)姫路の救急医療電話相談(079-292-4874)等を利用し、判断の目安にしていただいて、乳幼児医療制度があっても、コンビニ受診は控えましょう。

姫路急病センターでは、インフルエンザやおたふく風邪、水痘等のVPDで、年間数千人の受診があります。予防接種と生活習慣によって姫路の小児救急を守り、地域の安全を守り、園の感染症の流行を防ぎましょう。