皮膚病について

皮膚は体のうちで最も大きな器官であり、その重量は体重の約12%(新生仔では約24%)を占めます。 従って、皮膚は遺伝的・先天的背景(これにより好発犬種というものが存在します)を元に様々な 内的・外的要因によって変化するため、その病気を診る場合には生理学・解剖学はもとより免疫学・ 内科学・外科学をある程度熟知していなければいけません。
また皮膚病の症状はその病気によって出てくる変化(原発疹)に加えて、大抵は二次的な病変が加わるため 多くの場合が似たものになりがちです。皮疹は非常に重要な診断へのファーストステップですが、 それだけでは多くの病気が考えられるため、「検査・評価・治療に対する反応」という手順を複数回 行わないと診断がつかない場合も数多く存在します。
皮膚病は場合により、診断・治療に非常に時間と手間がかかるものがあります。病気によっては 生涯に渡るケア・治療が必要なものもあります。そして、獣医師はその手助けができるだけで、 実際に治療を行うのは飼主さんです。「出来ない事」をがんばって行おうとするのでは無く、「出来る範囲」で じっくりと行うことが重要です。

耳の病気について

人では耳の病気は耳鼻咽喉科になりますが、動物では耳道を皮膚の一部と考えて皮膚科で診察します。
現在では外耳炎はPSPP分類と呼ばれる考え方に基づいて治療を進めていくことが一般的であり、その 診断・治療においてビデオオトスコープ(VOS)が必須となりつつあります。また外耳炎は鼓膜の病気という考え方を される先生もおられ、その評価・治療にもVOSが必要です。従来原因とされていた細菌・マラセチアは二次的要因であり、 主因では無いためこれらを排除しただけでは外耳炎は完治しません。
VOSによる処置は基本的に全身麻酔下となるため費用もやや高額になりますが、VOSを用いなければ改善・治癒しない 外耳炎もあるため当院ではVOSによる積極的な外耳炎治療を行う場合もあります。

皮膚病の検査

当院で通常行っている検査は以下の検査です
一般的検査
 抜毛検査:毛包虫、糸状菌、毛の変化などを見る検査です
 スタンプ検査/テープストリップ検査:球菌、酵母菌、角質の状態などを見る検査です
 掻爬検査:疥癬虫、毛包虫などを見る検査です
培養検査
 細菌培養:深在性膿皮症が疑われる場合や抗生物質の感受性を見る場合に行う検査です
 真菌培養:痒み、フケ、脱毛などで皮膚糸状菌の有無を確認するためなどに行う検査です
針生検
 いわゆる「できもの」において構成細胞をみるための検査です
皮膚生検
 難治性疾患や免疫介在性疾患などが疑われる場合に行う検査です
血液検査
 一般血液検査:ホルモン異常や代謝性疾患の可能性、ステロイド性肝障害などを見るために
        行います
 ホルモン測定:一般血液検査で内分泌性疾患が疑われた場合などに行います
 特殊血液検査:エリテマトーデス鑑別に行う抗核抗体検査などです
レントゲン検査
 関節疾患などで舐性皮膚炎を起こしている場合などが疑われるときに行います

皮膚病受診の注意点

診察を受けられる場合は、発症時期・最初に出た症状と部位、過去の治療があればそれに対する 経過と反応、現在までに投与している薬物、食事とシャンプーなどがわかるとスムーズな診察が 可能です。紙に書いていただければ、より良いかもしれません。
わからなければ、獣医師に問い合わせると良いでしょう(治療を知るのは飼主さんの権利です)。

皮膚病治療の一般原則

犬種や病歴を踏まえた上で、症状・皮疹や検査などの評価を行い、考えられる病気をいくつか リストアップします。
多くの皮膚病において重要なことは、「外部寄生虫」と「感染」の除外です。 痒みのある皮膚病では、できれば“必ず”動物病院で扱っているノミ予防薬を投与してください。 スポット剤や内服タイプなど投薬状況にに合ったものを使用していただけます。
シャンプーは症状に合ったものを使用してください。薬効成分が含有されており、かつ不要な成分が 含まれていないものが好ましいですが、きちんとした薬用シャンプーの使用法で行ったうえで 使用感を確認する必要があります。市販の薬用と書いてあるものは基本的に使用しないでください。 動物病院で処方する薬用シャンプーはある特定の目的のために使用する外用薬替わりですので、病状 の変化によりシャンプーも変えていきます。
食事はできるだけ皮膚病用の食事を与えて下さい。皮膚は非常に代謝の活発な組織ですので、 微量元素や脂肪酸なども含めた栄養バランスが重要です。状態によっては亜鉛や不飽和脂肪酸、 ビタミンA等の補給が有効な病気もあります。アレルギー性では漫然とした“低アレルギー食” ではなく、原材料に注目して下さい。新奇蛋白・加水分解蛋白・アミノ酸/ペプチドを使用した フードにはそれぞれ特徴があります。これらを踏まえた上で選択することが重要です。 自家食も有効ですが、原材料の選択と栄養バランスを取るのが難しく、既製品に戻すことを嫌がる場合が 多いため、一般的にはあまりお勧めできません。
おやつは出来る限り与えないほうが好ましいですが、どうしても必要な場合は手作りしてください。 全く手間暇かからずに作ることが出来ます。
当院では単にフードやシャンプー、薬等を処方するだけではなく上記のようなことについても 考慮した上でお話をさせていただいております。特に初診時等の検査や使用薬によっては、また長期にわたる治療では 費用が高額になることもございます。気になることがあれば、診察時にでもお気軽にご相談下さい。
                         内田壽久(日本獣医皮膚科学会認定医)

東加古川ペットクリニック

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兵庫県加古川市平岡町新在家460−4
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