世界はアメリカの政策待ちになった。 [経済・社会]

アメリカは正しい経済政策を選択できるのか。

世界は、今一つの分岐点にある。アメリカの次の政策によりデフレの解消の方向に向かうのか、あるいは再びデフレを促進するのか、その岐路にある。

本来これを担うべきであったはずの日本の政策的低迷は、世界の進路を決定する機会を失ってしまった。良い方向に向かっていた民主党への政権交替が、代表者選びの失敗と、新聞メディヤによる間違った世論の形成によって、再びデフレを促進し、経済を崩壊させる方向に向かい始めたのである。

そのため、アメリカの政策決定が世界をデフレから救うか否かを左右するものになっている。しかしアメリカはまだデフレという物を良く知らない。

アメリカ政府当局は、これまで行ってきた低金利による過剰金融緩和や財政出動による公共投資を、これ以上推進せず模様眺めをしばらくするようだ。

闇雲にただ教科書どおりの間違った政策を踏襲するよりはるかに良い姿勢だろう。

しかしながらデフレはこの模様眺めの時も、容赦なく資金を漸次減少させて行く。そのため市場が要求する形で、来年度なにがしかの経済政策を取ることになるであろう。

それは、ユーロの崩壊や、イギリス経済の変調、発展途上国の破綻などが引き金になるだろう。あるいは大統領選のための選挙公約がその引き金になるのかもしれない。

現在の論調では再び、小規模な公共投資や、引き続きの金融緩和や、輸出促進策を取る可能性が高いようだ。しかしこのような毒にも薬にもならない政策では、デフレを止めるだけの力はない.

いわゆる自律回復しない、実質GDPの成長だけを促し、コストを膨らませるだけのデフレ促進策になりがちである。

このような従来型の政策を取らずに、消費者の消費を促す政策を取れるかどうかが、景気を大きく左右する。しかしおそらく来年もこのような消費者の購買力を増やす政策を取らない公算が高いようだ。

現在アメリカは、サブプライムによる土地資産、金融資産の崩壊からようやく立ち直りつつあるように見えるが、実際は、借金がまる残りし、デフレの縁から少し内側に入った地点にいるのである。

日本のバブル崩壊後の1995年頃に良く似た状況である。大規模な景気対策が、思うような回復をみせず、自律回復しない、借金だけが増えた状況なのである。

アメリカは、この3年の低金利や公共投資、自国通貨安政策、輸出促進などの政策は、急激な金融崩壊は避けることはできたが、デフレから逃れることはできなかった。

現在莫大な100兆円近い公共投資や補助金政策は、ほとんど税収を増やす事なく、借金を作っただけになり、景気は自律回復しない状況にある。

これは借金の持った人が多く存在し、全体の消費が生産量に比べて著しく少なくなっている状態だからである。明らかに所得線が45度以下の角度のデフレ状態に陥っているのである。しかし日本などと比べるとまだまだ初期の段階に過ぎない。

このような借金の持った人が多い市場では、何もせず放っておくと漸次市場から資金が失われ、景気が悪化する。そのためデフレを解消するための正しい政策をとる必要がある。

それは公共投資や、生産者への補助金、低金利を維持するような従来からの政策を踏襲するのではなく、消費者側への直接給付を増やし消費を促すことである。

消費者が借金を持っていても、消費が増えるような政策が重要なのである。

一つは預金金利を引き上げ、消費を促すことである。
あるいは、住宅ローン破綻懸念者に対し国がそれを肩代わりするような政策、雇用保険期間の延長、
消費税の引き下げ、税金に物納を広く認めることなどがある。

あるいは輸入原材料や商品の価格を安くするような、自国通貨引き上げるような政策が必要である。

またアメリカ特有の問題としてデフレの間は低開発国からの移民を制限すべきであろう。
(デフレと日本の移民政策参照http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/teraxBLG/blg-hiduke.html

しかしながらアメリカの論調は、日本の失敗を参考にしながらも、消費者側への給付は行わず、従来からの政策に流れがちのように見える。

この半年2千11年7月より後半、何もせず無為に過ごし、来年早々悪い経済統計が出てきて初めて、なんらかのアクションを起こすのだろう。

オバマ政権が大統領選を前にどのような政策を取るか
、それが再び公共投資や、補助金、低金利政策に戻るようだと世界はさらに深刻な状況に陥ることになる。

来年度にアメリカが従来型の政策を大規模にもう一度推進することになれば、世界の危機は今以上に深まり、どこかで崩壊が始まるだろう。

少なくとも従来型の政策を取るようでは、3年後を容易に想像できるだろう。アメリカのデフォルトの可能性のさらなる増大、ユーロー圏のギリシャ以外の国の危機、日本の消費税増税による破綻、である。

この3つの危機を新興国の成長により克服するとは思えない。
逆に
新興国のバブルの崩壊の可能性の方が高いだろう。発展途上国の破綻などに対して今から対策を立てておくことが肝要だ。

一気に直ぐに完全に逃げることはできないであろうが、来年度アメリカが間違った行動を取ると同時にやっていけばかなり救われるであろう。

日本は経済政策の変更がなされるかどうかにかかっており、消費税が引き上げられると日本が発生源となった世界の崩壊が始まるだろう。

しかしこのまま消費税が引き上げられない場合でも、アメリカの変調は、大きく日本に影響を与え、日本の経済的縮小は避けられない。

いずれにせよアメリカがしなければならない政策は、自国の購買力が増える政策を取ることであり、それは所得をを増大させ消費を増やすのではなく、直接国民負担や借金率を減らすような消費者への直接投資が必要である。

低金利の過剰金融緩和を止め、国内預金の金利を引き上げること。過剰金融緩和は、全世界にデフレを広め
る悪しきものであり、アメリカにも他国にも良い結果を招くことはない。

また国内においても預金金利の低下は購買力を減少させ、企業の付加価値を減少させるものであり、結果的に企業を救済する役目を持っていない。デフレでは、生産増より、消費増が優先され、それが生産増を招き所得を増やすことになる。逆は失敗する。

実際に他国の多くをバブルにしており、その崩壊が直ちにデフレを招くことを知るべきである。また輸入物価が高騰し、アメリカの購買力を削いでいる。

TPPなどの自由化は、自国経済が強い時に行う政策であり、デフレで弱っている国がすることではない。思った以上の効果が上がらない所か返って弊害が多いだろう。

完全な自由主義経済が、すべての国を潤すのはどの国の経済も正常な場合においてであり、デフレ国にとって弊害以外に何もない。アメリカも同等である。

ニューディールなどの公共投資政策を止めること。デフレで下での公共投資や生産刺激策は、デフレを促進するものでありなんら効果がない。経済に対するモルヒネ効果があるだけであり、終われば借金の増大と付加価値の減少が残るだけである。

アメリカにも船中8策のような消費を刺激する政策が必要である。 


一言主。

2011年7月14日

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