雇用、雇用には、1に消費2に消費3に消費が必要 [経済・社会]

雇用、雇用、雇用というがしかし雇用には、1に消費、2に消費、3に消費が必要です。

間違った雇用確保は労働賃金の減少をもたらし、デフレを促進します。

例えば2千2年から2千7年まで続いたいざ凪を越えたと言われる経済成長(実際は経済消耗)は、労働賃金を減少させました。その間ずっと小売(スーパー、百貨店)の売上も減少していたのです。この間実質GDPがわずかに伸びていました。

(この経済消耗が、デフレ下では、労働生産性が右下がりであることが立証しています。)

この現象は、国内の消費が増えずに労働量が伸びても、賃金が増えないことを意味しています。

デフレ経済の労働生産曲線が右下がりの時、今までと同じ雇用政策を取れば、同じように賃金が下がり、余計にデフレが促進されます。

例えば、今回のような新卒の大学生を雇用するとその分を国が企業に助成するようなやり方は、デフレを促進するだけです。
政策として確かに一般受けはよいです。しかし内容は意味がないどころか結果が悪くなる政策なのです。


このような政策を実施すると、企業は新しい人をより安く雇うことができます。これは既雇用者への賃金低下圧力になります。又正規雇用者が非正規雇用に替える圧力にもなります。

そしてこのような雇用により企業内の総労働賃金が低下し、それが生産価格の低下に結び付きます。デフレ市場の怖さは、ここから始まります。生産価格の低下が利益の内部留保に結び付かず、逆に価格的に有利に立った企業は、低価格競争の圧力から、価格を下げて販売するのです。

これが他の企業の収益を圧迫し、倒産やリストラに結び付きます。これが経済を縮小させ余計にデフレを促進していくのです。企業に行った雇用助成金は、他企業の倒産や減収により、返る事なく、借金になったまま積み上がっていきます。

他の企業も積極的に補助金を受けなければ競争負けするためこのような制度を受容していきます。

新卒だけでなく、既存の失業者を企業に押し込むために、より多くの補助金や優遇制度を新たに設けて企業に支援するやり方は、一時的に効果が上がっても、最終的に経済を縮小させ、賃金の低下や労働量の低下につながるのです。

結局このような雇用政策は、政府の借金を増やし、企業のより低価格競争を激しくし、労働賃金を減少させるだけなのです。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/雇用確保は錦の御旗ではない参照)


消費の増加がない労働政策は、一時的な雇用の増加を、労働賃金の減少によって最終的に均衡させることになります。

デフレ下の労働政策のあり方の基本は、前から言ってきたように、企業に雇用助成金を与えるのではなく、政府が直接労働者に給付すべきなのです。雇用を促進するのではなく失業者に手厚く給付することです。それが消費を増やし、労働賃金が上がり、雇用が増えていくのです。

雇用保険の満額支給や、保険期間の延長などが、デフレ時の正しい処方箋です。同じような補助金であっても、労働者の消費が減る事なく、又低価格競争に巻き込まれることもない、デフレ解消型の政策なのです。

今まで生産刺激型の経済政策だけをまともだと思ってはなりません。デフレでは、このような消費者への直接給付が経済を拡大させるものであり、一時的なものやバラマキではないのです。

逆にデフレでは生産刺激策の方が、自律回復しない一時的なものになり、ばらまきになってしまうのです。


今まで全く逆の雇用策のため違和感のある方も多いでしょうが、もう少しよくお考えください。
残念ながら菅政権は、今までの自民党のやり方をまねするだけなので、何を言ってもむだかも知れません。

雇用、雇用と叫ぶなら消費が第1であり、国民の懐を潤す政策が必要なのです。消費税の増税のような国民の懐からお金を巻き上げる政策では、余計に経済を縮小させ、労働賃金を減少させ、生活ができなくなるのです。

現実的に
このような紐付き採用を積極的にするのは、輸出産業になります。内需産業は青息吐息なため、積極的な採用はないでしょう。

輸出産業にとっての急務は、現在の円高局面において如何に新興国向けに安く出荷するかです。そのため法人税の値下げをもくろんでいます。ここにこのような新卒の補助金制度は渡りに船であり、又政府にこれだけ採用しましたと恩を売ることもできます。

この結果派遣社員は大きく削減の圧力にさらされるでしょう。国内の賃金の低下は、輸出産業にとって有利であり、他の国内産業より賃金を上げながら、なおかつ輸出に有利になっていくのです。


単なる行き過ぎた雇用確保は、労働者の生活難をもたらすことでしょう。それはもう既に実際に起こっていることです。

デフレでは、雇用確保より消費の拡大が大事なのです。
雇用雇用とうわ言のように言っても、消費の拡大がないかぎり、所得の拡大や税収増は起こらないのです。

一言主


2010年9月8日

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