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         デフレ・インフレの一般理論
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2008年1月15日 2千8年の経済展望 

2千8年度の経済展望

星占いのような政策的な物をなんら考慮せず予測するのは、今年非常に難しいと思います。少しの政策によって変わってしまうところまで日本経済に余裕がなくなってきています。

今年最も一年中を通じて散見される物は、経済学者や政策担当者の狼狽、困惑、そして無意味な経済政策でしょう。現在政策の土台になっているケインズ理論がデフレに全く通用せず、やることが分からなくなっているのです。政策に参加している人達も、またそれを外野から取り巻く人達も同じ間違った経済学の土俵に居るため、似たり寄ったりの同じ政策を進めることでしょう。

恐らくまた今年も*「日本経済は底堅く、一部では弱含みも見られるが堅調であるというようなコメントを政府関係者は発表し続けるでしょう。」*

デフレでは実質GDPが実態の悪さ以上に伸びるためこのようなコメントが出ます。他の指標がすべて悪くなっていてもです。このデフレの偽装経済成長を成長と見なしていることから出る弊害です。デフレ下では景気が下降し始めると販売競争から価格が下がり、生産量が増えることになり、それが実質GDPが下がらない原因になります。

デフレにおいて経済の成長とは名目GDPの成長であることが、彼らには飲み込めないのです。デフレにおいて実質GDPの成長のみを増やす政策は返ってデフレを促進していることが分からないのです。なぜならケインズ理論は、貨幣価値の比率が変わった経済を分析していないからです。(デフレ・インフレの一般理論1、2、3章参照http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi)
昨年多くの政策担当者や経済評論家達が、デフレが解消していると思ったのは、単なる物価上昇がインフレ、下落がデフレと思っているからです。

本来デフレやインフレは、市場全体の資金量が減少しているか増えているかによって判断するものです。それは生産量に対して資金が多いか少ないかで、表され、大幅に資金量が少ない場合がデフレであり、多い場合がインフレなのです。この定義がはっきりされていないところに現在の経済理論の不毛さがあらわれています。

それ故去年のような石油価格の上昇に伴う物価上昇は、全体の資金が少ないため、企業が付加価値に対して十分に価格をつけられず、売上が同じでも利益が少なくなるのです。これが名目所得が上がらない要因であり、民間賃金が下がる理由です。
デフレの解消には資金を消費者側に投入する必要があるのです。購買力を増やすためです。

自民党政権がバブル崩壊後、特に小泉政権下において、企業側に資金を投入し生産を刺激する政策を取るばかりであったことが今の一向にデフレが解消せず、深刻化する経済の理由です。企業側への資金投入は生産物の増加を促し購買量を刺激しないのです。

今年の予想
1年を通じて株式市場は、値下がりになります。サブプライムの解消のためアメリカ資金はその借金返しに多くが向かうからです。たまにアメリカ連銀の金利引き下げのアナウンス効果で株が上昇するかも知れませんがあくまでアナウンス効果であり、実際にこの1年で完全に解決することはありません。
基本的にバブルの崩壊は資金が減少しそれが消費に影響してきます。しかしその傷は日本と比べると浅いのではないかと思いますので、連銀はあまり低金利にする必要ないでしょう。消費の回復策を主に取れば良いだけです。下手に日本のように企業側を優先した政策を取ると深手を負うでしょう。

1、先ず日本政府が何もしない場合。
現在なをデフレ状態です。いまなを市場の消費に流れる資金は減少しつつあります。デフレの経済は上向くに難く、下方へに流れやすいものです。
去年から続く石油製品のコスト上昇による値上げラッシュ、と住民税の増加が縮小する民間賃金を直撃し、さらに消費が少なくなり、国民所得が減少していくことでしょう。名目GDPがより以上下がり実質GDPとの差が開くでしょう。

日本政府は何もできないのが功を奏して国内の生産量が伸び悩み、生産量が伸びてよりデフレを促進するよりは、ましな状態でしょう。というのは生産量が伸びない方がデフレの場合低価格競争が生じないからです。しかしこのような時デフレの分からない経済評論家などが日銀に金利を下げるよう働きかけそれを下げるようだと、再び日本の深刻度が増すでしょう。株価を上げるためのアナウンス効果があっても、日本経済にはマイナスです。このような状態が3月末まで続くと思われます。

年間の成長率に直すとこの3月までは名目が1.5%ぐらい実質が1.8%ぐらいか。この辺は私は調査機関ではないので勘に過ぎません。言いたいことは輸出の伸び悩みとそのアナウンス効果で実質GDPが下がり、それに応じて、名目GDPも下がるというだけです。
しかし統計上の実質GDPは景気後退をを示すほど下がりません。ですから相変わらずいざなぎを上回る景気が続くことになります。これは経済がデフレに陥り、長期にわたり沈滞しているということを意味します。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/息の長い悠長な景気回復、または、いざなぎ景気を越えたという景気を取り消させよう。参照)

しかし読者の方はご存じだと思いますが、デフレ下の経済状態の姿はこのようなだらだらしたものが真の姿なのです。所得線が45度以下になった消費不足のデフレ経済は、売上減を避けようとするため、企業の生産量を誘発し実質GDPはなかなか下がりません。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/デフレにおける生産量増強システム)
しかしその他のデーターはすべて不景気を指し示します。如何にデフレ下において、実質GDPを基調にすることがおかしなことかが分かります。この辺をなんとか気が付いてもらわないと、日本の終了が近いでしょう。

2、4月以降、
3月末に政策的エポックがあります。道路財源の暫定税率が廃止になりガソリン価格が値下がりします。今年はこれがどうなるかまだ分かりませんがこの動向により日本経済の方向が良い方向にやや変わる可能性があります。
このような方法こそがデフレ解消の具体的な方法のひとつなのです。資金を消費者側にいれる方法でハートランドを拡張させる事になります。一時的なものでなく循環的に拡大して行きます。所得線の角度を上げる効果があるのです。
これだけでは力不足ですが、さらにいつからになるか知りませんが、高速代金の引き下げ、最低賃金の引き上げなど適切なデフレ解消の策が実現すれば、結構効果を上げて行くでしょう。これは弱者対策や、ばらまきではなく、デフレに必要な対策です。本来消費税の引き下げのような物が最も効果的ですが、今はそれをいっても信じてもらえない情勢なのが残念です。

この政策が今年の後半に確実に取られるなら、名目GDPが少し上がる可能性があります。
デフレを解消させる場合に大事なことは、生産量を上げて低価格競争を起こさないことが肝要です。生産量は押さえ気味にした方がデフレの消耗が防げます。
常に資金の増加を先行させ、その後生産量を増やすというやり方が大事なのです。それによって所得線が45度の正常な角度に引き上げられます。名目GDPを常に先行させ、実質GDPがそれに追随する事が大事なのです。これがデフレを解消させる具体的な目標値になります。
もはや当たり前のことですが、今の日本のように名目GDPが実質GDPより低い状態で生産量を増加させる政策は、デフレ促進策を意味します。実際にデフレを促進しました。

今年の政府はなんら政策を立てることができないので、返って間違った経済学による政策を実行されるよりはましな状態です。皮肉なことですが。
後半は名目が1,8%実質が1.8%ぐらいになるかも知れません。
名目が2%ぐらいになれば、国内のデフレの解消の芽が出てきたことになります。
こうなることを希望しています。

しかし難問は3月末の道路財源の暫定税率が廃止されるかどうかです。もしこれが廃止されなければ日本経済の深刻度が増すことでしょう。外需内需とも期待できないでしょう。こうなるとデフレ特有の低価格競争が現れ、実質が1.8前後だったとしても名目が1.3%かそれ以下も有り得るでしょう。

また怖いことは、金利を引き下げがこの効果を無くしてしまうことです。低金利はデフレの日本経済にとってなんら良い効果がありません。ただ株式市場にとっては、低金利、景気回復、株価上昇というイワシの頭も信心からがまだ有効ですので、少しは増しでしょうが日本経済に取っては何の効果もなく、また世界経済にとってもマイナスです。再び原油価格の上昇や、円キャリー問題が出てくるでしょう。外資による日本社の買収なども増えます。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/低金利はデフレに役だったか。)

政府が生活者重視に転換するのはデフレ解消にとって重要です。しかしその政策が従来のままでは意味がないのです。高金利の方が政策者重視の政策であり、デフレの解消に有効です。
今年預金金利を上げられるかどうかが、もう一つの今年のポイントになります。

今や経済学者の多くは抵抗勢力に成り下がっています。デフレに対する全く効果のない政策をなんら思考する事なく、無責任に提案します。新聞記者程度の知識は昔習った暗記したことをそのまま流し害毒をもたらしています。
欧米の経済学の棒暗記と試験の暗記偏重主義が日本を没落に導いています。
民主党が政権を取った場合、年金を消費税で補うというような案が通る可能性があります。今の情勢でデフレ下で、以下なる消費税の増税も成り立ち得ません。

日本の将来は、この道路暫定税率の廃止が一つの命運かも知れません。これによりデフレには何が必要かが明らかになるからです。デフレの解消の道筋が分かるからです。
今年の肝は道路財源の暫定税率の廃止にあります。

「私事になりますがデフレ・インフレの一般理論の出版社が倒産してしまいました。困っております。いい案があれば教えて下さい。

一言主ホームページ(http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi)

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