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         デフレ・インフレの一般理論
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2007年10月26日 低金利はデフレに役立ったのか

低金利はデフレに役だったのか。

低金利信仰は日本を滅ぼす。低金利信仰にデフレの出口はない。

低金利は本当にデフレに良い影響を与えているのだろうか。
ほとんど良いものはなかったのではないか。積極的に景気を回復させたと思われるものはなかったと思う。

今の経済成長率が実質GDP2%ぐらいで名目がそれ以下の成長などほとんど停滞に近いものであろう、
またこれ以上伸びる可能性があるのだろうか。上への伸びがほとんど感じない成長である。

またそれは、はたして低金利によって良くなったものなのか。
それともデフレが深まったために、低価格競争に拍車が掛かり余計に消耗したことによる生産増ではないのか。
そして輸出による成長が国内の低金利と関係あるとは思えない。

低金利は、消極的には借金過多の企業の寿命を先延ばししたと言えるが、先延ばしをしても景気が良くならないため、倒産が先に延びただけになってしまっている。これでは先延ばしにあまり意味がない。

低金利がデフレに有効であると思うのは気のせいではあるまいか。実際に日本経済を拡大しているようには見えない。今までの惰性で使っているに過ぎないのではないか。
不況だ、それ低金利にして景気回復だ。と皆が思ってきたが違うのではないか。効果がないと思える。

昨年2千6年後半から日銀が金利を少し上げたが、
いまだ低金利には変わりがない。このような状態で再び景気の下振れが少し始まっている。
これに対して再び日銀に低金利を継続するよう、さらに金利を下げるような圧力を経済界筋や評論家筋、さらには自民党筋が掛け始めている。

低金利の上にさらに低金利にしてはたして回復するだろうか、おまじないみたいなものではないか。
日本は思考停止状態なのではないのか。

昨年から内需は良くないのである。それはトヨタの乗用車の国内販売が良くなかったのを、代表として考えても明らかであろう。今年も良くないのである。
わずかな成長は外需が支えていたのである。

現在の不調は、石油製品の値上げがようやく2年ほどの歳月を掛け企業の製品価格から消費者価格の値上げに表れてきた結果である。その価格上昇を日本は製品転嫁という形で解決できないかもしれない。今の不調はその現われと言えよう。
これに対してさらに低金利にしたとしても、過剰融資しても何か起こるだろうか。単なる気休めだけだろう。
今の成長の鈍化が仮に外需の不振からきているとした場合、それは本質的に外国の問題であり金利の上下が左右した分けではないだろう。

今の日本に必要なのは、消費であり企業にとっては売上であり、融資ではない。
しかしデフレにおける低金利には消費や売上を上げる仕組みはない。消費を促すのとは逆に、預金金利を下げる方向に向かうので消費や企業の売上にはマイナスに働く。
融資してもらっても売上がなければ返せません。銀行は売上のないところに貸しません。低金利にし企業への融資をしやすくして、生産増を促しても、また補助金等をもらって生産を増やしても、消費が増えないのでは、低価格競争になり消耗するだけです。低金利は売上減の生産増を、招くだけなのです。これでは借金を返せません。

このことから低金利が現経済状況下において効果をもたらすとは考えられないことです。
それどころか災いをもたらしているのではないでしょうか。

1、デフレにおける低金利の効果、
大借金を背負った企業の延命策として効果があっただろう。急速な連鎖倒産を防いだ効果はあっただろう。
しかし当座はしのげても、売り上がじり貧になれば、結局倒産せざる負えない。結局低金利政策では救えなかったのである。

2、デフレにおける低金利の弊害
低金利は景気回復に必要な売上増をもたらしていない。企業は、売上があれば借金を返せるし、借金もできる。しかし売上がなければ借金を返せないし、借金もしない。

デフレにおける低金利の最大の問題点は、生産量を増やすが売上額が伸びず付加価値に対して十分に価格が乗せられないところにある。あるいはたとえ売上が伸びたとしても、生産費用の増加により付加価値が減少するところにある。
これが所得を減少させ賃金を下げ、消費が少なくなる悪循環をもたらす根源である。

単純に今主流のケインズ経済学で説明すると、デフレは資金が生産能力に対して大幅に少なくなり貯蓄がない状態であるため、企業が生産を増やしてもそれに対する有効需要が出てこない。それ故売上が増えないのである。だからケインズ流の経済学はデフレに対して効果がないのである。
確かに低金利による生産刺激策は、貯蓄が存在し消費が乗数理論に必要な分発生すれば、成功するだろう。しかしデフレにはそのような余計な消費が発生しないのだ。これはここ何年かの日本経済が顕著に物語っている。

しかしもっと重大な理由がある。低金利にはデフレの状況をさらに促進する作用があることです。デフレをより深刻にしているのです。これにもっと早く我々は気が付くべきだったのです。
デフレは生産能力に対して資金が大幅に減ったために、急速な消費減による競争激化から価格が低下し、生産量が増える傾向があることです。
それ故、デフレから脱出するためには生産量を減じて価格を上昇させる必要があります。

しかし低金利はこの生産量を増やして価格を減じる方向に作用するためデフレを進行させてしまうのです。
デフレの解消には消費者側への資金を増やす必要があるが、低金利は預金金利を少なくし消費を冷やす方向に動きます。
デフレにおける低金利を一言で言うと、「もっと働け、お金はやらないけどね」と言っているようなものです。いくら働らいても、給料は上げないよ、ということなのです。

3、低金利過剰融資の弊害
低金利による過剰融資が外国へ資金を流出させ、輸出による還流資金が国内の金融資産や土地資産を上昇させている。

スタッグフレイションなる言葉がある。これは不景気の金あまり現象といわれる。デフレにおける低金利過剰融資政策は、これを完璧に誘発するものである。
デフレにおける低金利はスタグフレイションの最たる形態といえよう。。

国民所得を生む産業経済基盤をハートランド呼ぶことにしよう。デフレはこのハートランドが縮小し有効な投資先のない市場である。この時いくら低金利にし、資金を企業に押し付けても、国内の内需が低迷しているため有望な投資先がないため、借りないのである。借りるのは外需を謳歌している輸出産業や外資系企業ということになる。円キャリーと言われる程の低金利のため
日本の資金が外国に流れ、サブプライム問題や資産インフレを招いた公算が高い。世界が日本のデフレに対する政策的失敗で被害を被ったと言える。又は、世界がデフレというものを知らず、間違った対策を取ったともいえよう。

皮肉なことに日本の低金利による資金が外資により日本企業が安く買われる事が多くなっており、それに対して政府は法改正をして買うのを容易にしているようである。

好調な輸出による還流資金が円安の応援を受けて日本国内に戻ってくるがそれが国内市場に回らない。
これも同じ事情からである。国内のハートランドの縮小が有効な投資先をなくしているため、輸出企業は、外需用の設備を充実させたり、資金を外国で投資をしたり、国内の金融資産や土地資産に投資をし一部地域の地価を上げているのである。
これも低金利による過剰融資策が一番回ってほしいところに少しも資金が回らない事の現われである。
(デフレインフレの一般理論のハートランド理論参照のことhttp://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/

4、低金利による構造改革への弊害

一体日本政府はどういう構造改革を目指していたのだろうか。
発展途上国型の経済構造になった日本経済

デフレにおける低金利は、内需を不振にするため多くの企業は国内を見限り、輸出に活路見いだした。
内需の不振は所得の低下を招き、低価格品が幅を聞かせている。それ故低価格の輸入製品に押されがちである。内需の不振は日本の地盤沈下速め、各地の地場産業が消えようとしている。これは地域格差を生み出し、民間労働者と公務員の格差、輸出企業と内需企業の格差などを生み出している。さらにデフレの継続は付加価値を減らし続け賃金を低下させ、下層階級を増やし続けている。このままこれが続けば内需がなくなり輸出と輸入に頼った経済に陥り、没落するだろう。今はまだ、輸出競争力が高く技術力のあるものが輸出されているが、内需の不振はやがて開発力も弱めていくだろう。

5、インフレターゲット問題。低金利過剰融資政策の意図はインフレを起こすことにあったと思う。しかしこの意図は完全に失敗に終わっている。いまだにゼロインフレと言われる水準である。日銀の福田総裁がいくら取り繕っても消せない事実である。
これはデフレでは生産物の作り過ぎは価格を下げることを実証している。
低金利の過剰融資はものを作り過ぎるのである。そしてお金が消費者側に殖えないのである。消費が増えない限り所得が増えず、付加価値に十分な価格が乗せられないだろう。
この過剰融資の最大の失敗は、円キャリー問題を引き起こし、世界の資産を撹乱させたこと、そして円により日本の企業が安く買い叩かれることであろう。

今、日銀が金利を上げようとしているのは、インフレにできず、それどころか円キャリーを招いた自らの失敗を直そうとしているのであり、残念ながら、高金利がデフレの解消の道筋であることを知らないことです。
デフレにおける低金利過剰融資政策は、インフレを招来させることができなかった。それはもともと理論的に無理があったからです。(デフレインフレの一般理論参照)

6、結論:デフレにおける低金利政策は結局デフレを促進していたのです。これは理論的にも、実際にも明らかである。実際に日本経済が証明している。9年連続の民間賃金の減少はそれを物語っているでしょう。

理論的にはハートランド理論から明らかであろう。
消費者側に資金を与えず、生産量を増やすことは、低価格競争を引き起こし付加価値を減じることになるからです。成長ではなく消耗にすぎない。

しかしケインズ経済学ではこのことを明らかにできない。それは貨幣価値の変わったデフレを扱っていないからだ。

いまや景気回復には低金利政策という一般常識が、抵抗勢力になっているのである。地位のある経済学者や、評論家、政治家など昔ながらの経済を聞きかじった人達が抵抗勢力となっているのである。

資金増を伴わない生産量の拡大はデフレを解消できないどころか、進行させていることがわかったのである。
巷では今ようやく格差是正という名目で消費者側に資金を増やそうと画策されている。彼らは平等や福祉という目的で、動いている。デフレ解消や景気回復という意味で動いてはいない。
しかし
経済学者より彼らの方がデフレ解消に近い政策を取り始めているのだ。彼らはまだハッキリとそれがデフレ解消につながっていくものだとは知らないので大きな政策転換になっていないがそれが分かった時大きく変わるだろう。
1、最低賃金の引き上げ、これは一律1、000円/時は暴論で返って不景気を招来するがきめ細かくやれば効果が少しは出るだろう。トヨタなどの輸出企業の季節従業員の正規雇用などは非常に効果のあるものだ。
2、ガソリン税、高速代金の引き下げ、など使えば特になるようなもの
3、年金を物価にスライドさせないで支払う、
4、消費税の引き下げ、これは日本全国でも良いが四国や北海道などで限定的にしても良い。
5、失業保険を公務員にも支払わせ民間の雇用保険料を引き下げるなど。
デフレの時必要な考え方は、新たな借金をせずに、今あるもので、消費者側の負担を減らすような政策が一番良いのである。

このような政策を首尾一貫として取り続けることが所得線の角度を上昇させ、付加価値が正当に価格で評価されることにつながって行くのです。
しかしながら、今までの経済学では不景気になれば低金利、公共投資であり、ほとんどが企業への優遇策であり、消費者側への政策は減税ぐらいなのです。
所得減税は社会不安から貯蓄に回り易いので、利用すれば得になるもの、使えば負担が軽減されるような政策が効果的である。

今、日本は発展途上国並になり、没落するか、はっきりとデフレ解消策を取るかの技路に来ています。
ここでの間違った政策は取り返しがつかないものになります。内需に対して、消費者側、需要側への優遇策がデフレ解消につながるのです。消費に傾斜した、政策が必要なのです。それは低金利ではありません。
低金利信仰にデフレからの出口はないのです