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         デフレ・インフレの一般理論
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2007年02月01日 水槽経済学2 デフレにおける石油価格の上昇

水槽経済学2
石油価格の高騰と資金量
正常な経済状態で石油価格が高騰した場合図F

石油価格の高騰によって輸入部門が1升増えると、それに応じて製品価格も上昇し同じ分量ハートランドの水嵩が増す。ハートランドの各生産物の付加価値が他の製品と同じように変動し、極端な片寄りをしない。順調に価格転嫁がなされる。石油製品が極端に上昇すると、ハートランドの生産物価格が上昇し過ぎるため、その分の消費が押さえられ、不景気になる。その結果輸入品の石油価格が上がった分だけハートランドの生産物価格が再調整される。これも正常な状態の調整といえよう。

インフレの状態で石油価格が上昇した場合、この場合石油価格の上昇分が、それ以上の上昇で価格が転嫁されていく。便乗値上げである。全体の水量も増える。輸入部門、ハートランド、資産部門も水量が増える。
金魚は大きくなり、数が増える。しかし水膨れの状態であり、金魚の健康状態が良くなったものではない。贅肉が付き動きのにぶくなった金魚が増える。輸入部門以上にハートランドや資産部門の水量が増えるところに特徴がある。

デフレの状態で石油価格が高騰した場合

全体の資金量が増えず輸入部門の資金が増える。これはハートランドの資金が輸入部門に流出するからである。ハートランドの生産物は価格を転嫁できず、ハートランドの水量が増えない。資産部門からさらに資金が流出する。
デフレ時の輸入素材の高騰はハートランドの水量をさらに縮小させ、金魚はさらに小さくなり、窒息する金魚が大量に出る。石油製品の価格は上昇するが、その上昇分を全部価格に転嫁できず、利益を削って売上げを維持しているのである。企業は生産コストの上昇と製品価格の維持により付加価値を減らし苦しい状況に追い込まれる。廃業や、倒産が増えるのである。
このような状況を価格が上昇しデフレが解消しつつあると、取るのはあさはかなことと言えよう。現在、消費額が変わらぬまま価格が上がり、その結果消費量が少なくなりかけている状況である。普通の状態であれば不景気になっていくのである。ひょっとすると政府は2千6年の前半の価格の上昇を、デフレの解消と思っていたのではないか、単に不景気に入る前兆の値上がりに過ぎなかったのである。