CGS紋紙データ        



  CGSとはコンピューターグラフィックスシステムの頭文字で、京都の西陣織工業組合が制定した紋紙をフロッピーディスクに入力する為の規格である。
 以前は各電子ジャカードメーカー個別の紋紙データーフォーマットを採用していたが、混乱を避け統一化を計るため、関連工業組合、京都府、京都市、と共にCGS委員会が結成され、これにより決定された。CGSは、日本の紋織物業界での事実上の標準ルールとなっている。
 媒体は、8インチ両面倍密 IBMフォーマット(IBMparts No.1766872仕様に準拠)のフロッピーディスクを基本とするが、最近では3.5インチサイズも認められている。

  256byte/sector   26sector/track   2track/cylinder  77cylinder/disk

                         

 CGSの作成にはパソコンを用いた業界専用の画像修正処理機で出力したり、直接紋紙からデーターを読み取ってFDに入力する方法などがある。  画像処理メーカーには数社ありそれをつかって紋意匠業者が柄の企画制作にあたっている。  他方CGSのユーティリティーソフトも作られており活況を呈している。
 一方CGSに対応する電子ジャカードメーカーも数社存在し、各々附加機能を競っているが、現在西陣では従来の紋紙が通るジャカード部分に電子部品を取り付けたタイプが一般的である。紋紙に比べコンパクトで複製も容易な為、CGSは急速に普及したが、不慣れな媒体のため当初製織現場ではかなりトラブルが発生したようである。 しかしいまでは評判もよくて確実に定着しつつある。  また織元サイドでは、新たに柄の盗用という便利さ故の問題が起きている。


   

 コンピュータを取りまく環境が急速に変化している今CGSに求められる課題をいくつか提議したい。
  1..CGSを保存管理するため、大容量メディアを使えない。
  2..パソコン通信やインターネットでCGSがあつかえない。 
  3..フロッピーディスクどうしのコピーが将来にわたって保証されない。 
  4..各種のグラフィックソフトとCGSがなじまない。 
 等等である。 大胆な意見ではあるが、ぼちぼちCGS第2フォーマットを考えてみたらどうかと思うこの頃である。


       CGSUフォーマット決定
先年来より提案して参りました、CGSUフォーマットが、ついに完成しました。
京都市繊維技術センター(旧京都市染織試験場)が西陣織物工業組合の依頼を受け
策定いたしました。CGSU紋紙データ規格は一口に言うと、メディアにとらわれず
ウィンドウズ上で読み書きできる、ファイルになったということです。
また、OSに依存しないので、マキントッシュやリナックス上で扱える形式となります。
 ただ、問題点としては、今後の課題として、いくつかあげられます。
現時点で、CGSUデータを直接制御する機(はた)のコントローラが存在しない事。
これは、業界の景気が良くないせいでもありますが・・・・。。
CGSとの互換が100%でない事。単に、ユーティリティーの開発が遅れている為だけでなく
業者間の思惑があるみたいです。それに現場の人間が現在の環境(CGSのユーティリティー等)に満足しており、特に不満を感じていないことも、普及を遅らせる遠因と考えます。
なにせ、設備投資ですから、資金も要りますし、新たにスキルを上げるストレスも発生します
から・・・・・たいへんです。

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