さて、部品も揃ってきたので、基板の到着を待たずにとりあえず再生品を組んで音出しに向けて実装を始める。
これは、今日の作業で使う材料と工具のショット。左から、横浜で貰ってきたキューバ葉巻のケース(苦笑)、プロ用アロンアルファ瞬間接着剤、ギター工作用の西洋鉋、3年前ハンズで買った黒檀の板、そして、下に敷いてあるのがサンハヤトの銅箔シールだ。アロンアルファは空気中の水分を取りこんで硬化するので、その日の湿度によって硬化時間が変化する。今回はあくまで「目止め剤」として使用するので、できるだけ染み込み易い流動性の高い性質のものを選んでおく。銅箔はこのサイズでは足りなかったので、もうワンサイズ大きなモノを購入した方がよいだろう。黒檀は木口を目止めしておいた方が工作が楽なので、出来れば事前にアロンアルファを合浸させて処理しておくと良いだろう。
まず、電子部品を実装する前にケースの加工を行う。マホガニーはサクくて強度に問題があるので、実用性を考えた場合は必ず目止めが必要だ。そこで、僕の採る手段は邪道中の邪道、アロンアルファを目止め剤としてマホガニーに合浸させるという乱暴な方法だ。が、これは意外と便利な手法で、切削を行った場合も材料が欠損する危険性をかなり減らすことが出来る。また、水分にも強くなるのでまあ、乱暴にいったら塗装のようなものだと思って欲しい。次にブレードを配置する場所を想定する。蓋の部分は厚みがあって理想的ではあるが、この場所だと電装品の配線を採り廻すのが難しくなってしまう。従って板厚が薄いのが気になるが、箱の底面にブリッジを配置することにした。 ただし、このままでは取り付け用のネジにトルクを掛けたときの強度が心配なので、家に転がっていた黒檀の板を加工して、ブリッジ固定用のあて板を作り、それを箱の内側に貼り付けることにする。

写真中央に鎮座する不思議な物体はギター用の西洋鉋だ。これは日本の大工道具と違って押し出す方向で機能することに注意。慣れないウチは使い辛いが、流石にルシアー御用達だけあってなかなか操作感がよい。これもアメリカのギター・ルシアー専門ショップからの取り寄せだ。
インサーション用の板が完成したら次に箱の内部のシールドを行う。まず、箱の内径に合わせて、銅箔に折り目を付けておく。銅箔のシール面を剥がす際に、余り乱暴にベリっとやってしまうと銅箔側にシワが寄ってしまうので、保護紙側を丸める感じにしながら丁寧に剥がしていこう。そのあと、箱の内側に出来るだけ綺麗に銅箔を貼り付けていく。この時に物差しなどを上手く使って密着度を上げる。折り返し点など接触が心配される部分はハンダ付けを行うのだが、ココで注意する点はインサーションのサイズである。あまり、ハンダを盛りすぎると設計が狂ってくるので注意しよう。というか、狂った、、、。
次に、ボディー本体に取り付けるブリッジの下穴の位置を決める。そのあと、ブリッジの中間に設置するセンサー用のターミナルを設けておく。これには、前頁に紹介していた木工用のM3サイズの真鍮製スタッドを使う。ターミナルは絶縁されていることが必要なので銅箔と干渉しないように細心の注意を払っておく。下穴を開けてスタッドを打ち込んだ後、紙ヤスリを使って接触面がボディー面と均一になるように磨いておく。

センサーは熱を嫌うのでハンダ付けは不可。そのため、仕込みは毎回試行錯誤となるのだが、今回はブリッジを固定する圧力でセンサーの導通を確保するという新機軸の方法を採っている。
ブリッジ固定用のスタッドも同様に銅箔面からフローティングさせている。次回からは出来ればナイロンブッシュのようなモノを絶縁体として使うべきだろう。

配線はこの種のセンサーとしては特殊で、信号線、ブリッジ接続のグランド電位、シールドに接続するグランド電位(電源由来)の3極となる。

実験の結果、コンマ1oの隙間からもハム・ノイズが侵入することが解った。多少音質に影響してしまっても、センサーを銅箔で覆うことが必須となるようだ。
つづく