ドライブとラブホ

「ひろしくん」
「あ、おはようございます、トモノさん。」
「今度の土曜日、空いてる?」
「トモノさんの、お誘いだったら、いつでも空いてます」
「おお、なかなかそれらしいことを言える様になったじゃない。」
「実のところは、まあ大抵いつでも空いてるんですけどね。」
「友達が、車を、貸してくれるっていうので、ドライブに行かない?」
「トモノさん、運転できたんですか?」
「・・・・・・・」
「あっ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、」
「田舎育ちだからね、ペーパードライバーじゃないわよ。」
「あの、どこへ行くんですか、あの、どこでも嬉しいですし。あの、たのしみです。」
「はて、『海が見たい』とか言うのでもやってみますか。」
「海って、10分も走れば海岸に出ますけど。」
「はあ、もうちょっとロマンチックなものの見方をして欲しいよ。」
「ううう、トモノさんの感性に付いて行くのは、難しいです。」
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「いいねえ、天気はいいし、道は快適。」
「ええ、確かにそうですけど、どこに、向かっているんですか?。」
「さあ」
「さあって、目的地、無いんですか?」
「だから、天気も道も、快適で、車が走ってるんだから、それで充分。
 ドライブって車を走らせることを楽しむものでしょ。」
「うう、まあそう言えば、そうかもしれないけど・・・・」
「ひろしくん、どこかに行きたいの?それなら、そこへいくけど」
「あの、僕は、トモノさんとドライブができたら、それでいいんですけど。」
「じゃあ、のー・ぷろぶれむ ねっ」
「いきなり英語ですか・・」
「なんか言った?」
「いえ、何にも言ってません・・・・」
「こら、せっかくのドライブなのに、なんか暗いぞ、ひろし!」
「ひっ」
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「トモノさんここどこでしょう」
「さあ」
「さあって、なんか雲行きも怪しくなってきましたよ。」
「そうねえ、どっか、ドライブインとかで、休憩したいところね。」
「わ、雨が降ってきましたよ」
「うん、雨の中の運転は、苦手だなあ。事故った10回のうちの7回は雨の中だったし。」
「ひー、あの、トモノさん、雨が止むまで、どっかで休みましょう。」
「まあ、それが賢明かな。」
「あっ、トモノさん、あそこに、なんかにぎやかそうな、明かりが。」
「うん、とりあえず、あれを、目標にしますか。」
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「ラブホだねえ」
「ラブホですね」
「まあちょうどいいや、いっぺん、ひろしくんと、入ってみたかったのよ。」
「はあ」
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「おお、なかなかいいじゃないの。」
「ラブホの中って、こんなんなんですね。」
「まあ色々あるけど、ここは、奇をてらってもいないし、清潔そうだし、いいとおもうよ。
 じゃあ早速する?」
「するって?」
「ラブホですることは、きまってるでしょ」
「いえ、そう言われれば、そうなんですけど。」
「なんか、後ろ向きねえ。あっ、そうだ、お風呂に入ろうよ。ワンルームのお風呂って、小さすぎて
とても二人じゃ入れないから、いいチャンス。隅々まで洗ったげるから。」
「あ、あのトモノさん何してるんですか。」
「なにって、お風呂に入るために、服を脱いでるんじゃない。あっ、お湯入れなきゃ。」
トモノは素っ裸で風呂の方に、走っていった。
残されたひろしは
「ふう、トモノさんといると引っ張りまわされっぱなし、だなあ。」
と、深いため息をついた。
程なく、風呂から戻ってきた、トモノは
「あら、まだ服脱いでないの?、よしよし、お姉さんが、脱がしてあげる。」
「ひーっ、いやいいです。あの、自分で脱ぎますから。」

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「ふー、極楽、極楽」
「トモノさん、おやじ入ってますよ。」
「もー、素直な印象を、言ってるだけなんだから、変な突っ込みいれないでよ。」
「でも、つきあってると、トモノさんってほんとに、漢で、おやじだと、思っちゃいます。」
「あたしたち、つきあっているんだっけ。」
「ドライブして、ラブホに入れば、世間では、普通そういうことになると思いますけど。」
「そっか、そういう見方もできるね。ところで、いっぺん出ようか、約束だから、体洗ったげる。」
「それ、トモノさんが言っていただけで、約束なんて、してないです。
 それより僕がトモノさんを洗ったげます。」
「え、嬉しい事言ってくれるね。じゃあ、あがるよ。」
「トモノさんって、そうして見ると、ほんとにスタイル、いいですね。
 脱がなくても、凄いが、脱ぐともっと凄い、と言うか。」
「ほめても、何にもでないよ。それより、洗ってくれるのでしょ。うふ、楽しみ。」
(なんか寒気が走ったような。)「ではでは、まず背中から・・・」
「うん・・『お客さん、痒いとこありませんか』は?」
「それって、髪の毛洗う時じゃないんですか。」
「だって、背中の痒いところも、掻きにくいじゃない。孫の手なんてのもあるくらいだし。」
「僕は、孫の手、ですか・・・」
「下僕は、とやかく言うんじゃない。」
(下僕だったのか)「次は、いかがいたしましょう、ご主人様。」
「お、いい乗りしてる。それじゃ、前を洗って、手のひらで優しくね。」
(かなり、嬉しいかもしれない)「いかがでしょうか、ご主人様。」
「あーいいわよ、そうそう、やさしくね、あーん。・・でも、ひろしくんって、ほんとに、おっぱい星人。」
「・・・・・・」
「足も洗ってね、ご主人の足なんだから、つま先まで、丁寧に洗うのよ。」
「・・・・・・」
「どうして、足の付け根を避けるの?そこもきれいにして・・」
「で、でも、そこは」
「下僕じゃない、ひろしくんに、やさしく、洗って欲しいのよ。ほら、こんな風に、指先で・・・。」
「なんか、石鹸じゃない、ぬめりがあるようですけど・・・」
「下僕の癖に何を・・・、じゃなかった、ありがと、ひろしくん。今度は、私が洗ったげる。」
「あ、あの、いいです、自分で洗いますから。」
「私たちの間で、遠慮は不要よ。」
「あの、遠慮ってわけでは無いので、」
「ご主人の、命令は、絶対よ。」
(わー、来たー)
「ほら、そこに、マットがあるわよ、そこに、横たわって。」

「どう、あたしのおっぱいで、洗われる感触は・・。」
「あ、あの、天国です。しょ、昇天してしまいそうです・・。」
「喜んでくれて、嬉しいわ。パイズリも、したげようか?」
「い、いえ、あの充分満足しました。もうおなかいっぱい。」

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「ああ、いいお風呂だったね。」
「はい、疲れました。」
「どーしてお風呂に入って、疲れるのよ。お風呂は、疲れを、癒すために入るのよ。」
「御説、ごもっともですが、疲れを癒すためには、一人で入った方が・・・」
「何か、言った?」
「何も、言ってません」

「さ、しよ」
「なにをするんですか?」
「何をって、裸の男女が、ラブホのベッドの上にいるのよ。」
「それでは、お昼寝しましょう。」
(うう、微妙にかわしたわね。)
「そーね、ひろしくん、ドライブで疲れたんだね。そこで寝ていて。」
(トモノさんの運転する車の助手席も、結構疲れるけど、風呂ではもっと疲れた・・・)
「あっ、トモノさん、何するんですか。」
「お疲れ、ひろしくんはそこで、おとなしく、寝ていればいいのよ。」
「で、でも、そんなことされたら・・・。」
「大丈夫。じっとしてれば、いいのよ。」
「あの、トモノさん、僕にまたがってなにするんです。」
「目を瞑って、我慢してれば、すむことよ。」
(ううう、僕は、横を向いて、陵辱される悲しみに、涙を流すしかないわけか。)

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「ほら、雨も上がったわ、そろそろ帰りましょ。」
「はい・・・」
「何か元気ないわね、どうしたの」
「いえ、べつに・・・・」
「ナビゲーターが、居眠りするのは、許されない行為なんだけど、まあ、許してあげるから、寝てらっしゃい。」

「あの、トモノさん、今どこですか。」
「もうすぐ我が家だよ。」
(やっと、たどりついたのか。)
「楽しいドライブだったね。また行こうねっ。」
(もう二度と・・・)
「返事は?」
「ええ・・」
「返事が、悪い!!」
「は、はい!」
「うふ、すなおなひろしくんが、大好きよ。」

 

 

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キャラが、わりとしっかり固定したので、成り行きでも、結構簡単に書けるような。
残っていた課題の、ラブホ

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