「ひろしくん」
「あ、トモノさん今晩は。」
「どうしたの、なんか、覇気が無いような。」
「いえ、別にそれほどでもないんですが。試験が近づいてるんで。」
「あ、そうか、ひろしくん学生だものね。試験は大事ね。」
「はー、やっぱりそうなんです。」

「あ、ところで、トモノさんいつもと、雰囲気違う、服着てますね。」
「お、えらいなあ、ちゃんと気がついてくれて上に、それを、言ってくれる。」
「あの、他ならない、トモノさんですから。」
「ふーん、だいぶ教育効果があったのかな。」
「え、」
「いや、何でもないけど。で、今日の私の服見てどう思ったの?」
「いや、いつもは、ビジネススーツ、というか、いかにも、キャリアおねーさん、じゃないですか。」
「ふんふん、で、今日は?」
「あの、フェミニンと言うか、どっちかというと、女らしさを出すための、という感じで。」
「ほー、たいしたもんだ。そんなとこまで、見てくれてるのね。」
「いや、あの」
「うんうん。実は、今日は、お見合いだったのよ。」
「え、」
「ふふ、財閥の、御曹司で、いい男だった。」
「は、」
「あ、固まっちゃった。そうか、ははは、そんな、漫画みたいなことが、あるわけないでしょ。
職場の、パーティーだから、ちょっと、気分を、変えただけなの。」
「え、え、」
「あら、まだ、固まってる。そんなに、ショック?」
「いや、お見合いじゃなくて、職場の?」
「そうよ」
「あ、あの」
「ふーん、そんなに、ショックだったの。お姉さんとしては、嬉しいかも。」
「だって、トモノさんがお見合いとか、聞いただけで」
「へー、私だって、それなりの年頃よ、お見合いの一つや二つ、あってもいいじゃない。」
「は、はい、それはそうなんですが・・・・・・・。」
「まー、そうなんだ。あたしのことを、それだけ思ってくれてるんだ。」

「ふうふう、あの、トモノさん・・・・。」
「はい?」
「あの、僕・・・・・・。」
「え、盛っちゃったとか、ふーん、する?」
「いやあのそういうんじゃなくて・・・・」
「うん、ひろしくんが言いたいこともわかるけど、もうちょっと、置いときましょ。」

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ひろしくん、えらく切羽詰ったようですね。
それに比べて、トモノさんは、余裕の、態度。
ま、ひろしくんも、そんなにあせらないでもよさそうだぞ。

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