※ これは「アラシの会」が作成した配布用チラシの文章の転載です。
 状況が日々変化していくことなどを考慮に入れていただけると幸いです。
 (内容の訂正についてはコメントを受け付けることが出来ませんのでよろしくお願いします)



競走馬が競走馬でなくなったら?

 

毎年、北海道や九州、果ては海外の生産地(牧場)で生まれて買い上げられ、トレーニングを積んだ競走馬が晴れてデビューできても、活躍できる馬はごく一部です。競馬で決められた期間に勝ち上がれなかったり、ケガや病気のために引退を余儀なくされる馬が数多くいます。

そして、競走馬としての登録を抹消(引退)する際、馬の用途変更をあらわす一般向けの言葉のひとつに「乗馬」があります。

年間を通じて公表される抹消馬の多くがこの「乗馬」として扱われています。


本当に「乗馬」になるの?

さて、これらの競走馬全てが果たして本当に引退してから「乗馬(乗用馬)」に転身出来ているのでしょうか。

普通、乗馬といえば乗馬クラブなどの施設で人を乗せたり、競技会に出たりして活躍している姿をイメージされるのではないでしょうか。ところが現実には、ここで言う「乗馬」は一時的な表現に過ぎず、いったん「乗馬施設」に馬を留め置き、その後は大半が肥育場(肉用にするため、太らせる施設)から食肉への道のりをたどります。

もちろん、現実に乗用馬として再スタートする馬もいますが、それはほんの一握りに過ぎません。

関係者の意向で乗馬に転身した馬でも、中には「適性がない」として廃用にされたり、管理の悪い乗馬施設でケガをしたりして、先に述べたような末路をたどる場合も多いのです。


公営競馬場でも…

 また、中央競馬(日本中央競馬会:JRA)から、関係者のさまざまな事情で公営競馬(地方競馬全国協会:NAR)に
移籍する馬もいますが、この場合も「走らない・走れない」となると、登録抹消されて人知れず消えていきます。     

最近、公営競馬場の存続が叫ばれる向きもありますが、大きな改善・対策がなされないままでは存続中の競馬場から廃用になる馬が出続けるのです。

「要らない=殺される」の図式

日本の馬産地では、全体数は減少してきているものの、国内のみならず海外からも毎年種馬が輸入され、子馬が生産される反面「走る子を出せない」種馬や母馬が多く処分されています。

 また、昨今の不況や過剰生産のしわよせで買い手がつかず、競走馬としてデビューできなかった子馬も、仲介業者に安価で払い下げられ殺処分されてしまうことも数多くあり、生産側にとって馬は「売れたら幸運、だめなら大損」という状況です。                                          <裏面へ続きます>