ひなたの死因について


 山部先生は、ひなたを診察されて「おそらくフィラリアと思われる」と言われました。

フィラリアは犬だけの病気だと思っていたので驚きました。予防接種も駆虫も実施しているのに効き

目はないのでしょうか、と質問したところ、薬の効果は絶えず持続するものではなく、薬効の切れ目

にタイミング悪く虫が入ってしまう例があるとおっしゃっていました。

 大変気になりましたので、発症の様子や経過を記入し「ウマ医療センター」さんに質問をしたところ

以下の回答を得ました。



  ご相談の馬は担当の獣医師により、「フィラリア」と診断されているようですので、

「フィラリア症(糸状虫症)」についてご説明させていただきます。

 馬にもフィラリア(糸状虫)による病気があります。通常、馬糸状虫(うましじょう

ちゅう)と呼ばれる寄生虫が蚊を介して夏場に馬から馬へ感染を引き起こします。

この寄生虫は通常、お腹の中に寄生しており、馬にはそれほど重い病気を引き起

こすことは少ないとされています。 今回のご相談内容ですと、担当の獣医師は指

状糸状虫(しじょうしじょうちゅう )と呼ばれる寄生虫の感染が原因と考えられてい

るものと拝察いたします。 この指状糸状虫は、通常牛のお腹の中に寄生いたしま

すが、馬に感染した場合には、腰萎(ようい:腰ふら)を起こし、四肢に力が入らず

立てなくなります。ご相談いただいた馬の症状から、この病気の疑いがあるものと

思われます。この寄 生虫は、蚊が牛を吸血した際、ミクロフィラリアと呼ばれる幼

虫が蚊体内に入り 、約14日ほどで馬に感染する感染幼虫となります。

虫体は馬の体内では成虫になれずに、脳脊髄や眼に入り込み病気を引き起こしま

す。潜伏期間は16〜66日と言われています。この病気は秋以降に突然、運動失

調を生じ、重症例では犬座姿勢(犬のように後肢を横たえている状態)や起立不能

(たてなくなる状態) となり、死亡することがあります。このフィラリア(糸状虫)は馬の

体内で成虫になることはできませんので、馬から馬への感染は心配ありません。

ただ、周辺で牛を飼われていると、この病気にかかりやすくなると言われていますの

で、放牧等に注意が必要なうえ、夏から秋にかけての時期に駆虫薬投与により糸状

虫の ミクロフィラリアを駆虫しておくのが望ましいといえます。

エクイバラン投与は 年4〜6回の投与が一般的とされています。

                                              

                                                  以上